親の選びし服を着て

 また持っている服が増えた。
 バイト終わり電話で親に呼び出され、行ってみるとオフハウスで衣料品が全て50%オフになっているというわけだった。綿が入った掛け布団みたいなアウター、カーペットみたいな生地でできた上着、フリースの上着。「いいんじゃない?」と言われたので、「そうね。」と答えた。

 私の服はこうして無限に増えていく。しかし、私の身体はひとつしかないため、あまり着た覚えのない服もあったりする。もういらないんだけどなぁと思っている。私が同じ服ばかり着ることも、拍車をかけている。できるだけ昨日と同じ動作をしようとする習性があるため、同じ上着を同じ場所に掛けて毎日着る。箪笥を開けて最初に目に付いた服を着る。

 自分で服を買おうと思うことがないし、選んだこともあんまりない。服に興味がない。より正確には、自分が服を着てどういう姿になっているのかに興味がない。私は何を着たところでそう大したことにはならないので、面白くもなんともない。ゲームでキャラの着せ替えをするのは結構好きだ。

 安いからといって保護者が私の服を必要以上に買ってくる心理、長らく理解できなかったのだけど。多分、私がDLsiteのセールを物色している時と同じだ。いっぱいあるな~と思いながら選んでいる時が、楽しくてしょうがないのだ。もうそんなに買わないけどね。まだ聞いてない音声作品もいくらかある。ちんちんはひとつしかないため。まぁ、服と違って気候に左右されないのでそのうち聞き終わる。

 インターネットには、親コーデはダサいという定説がある。実際そうなんだろうと思う。が、私は服が分からなすぎて、今着ている親の買ってきたものがダサいのだという確証もない。自分で選ぶよりはマシなような気もする。私が地味な色の無地ばかり着るため、そんなにヘンな服は買って来ないのかもしれない。

 親の買ってきた服を拒否して自分で選ぶようになる、というフェーズを通過していないことも、私が大人になるのに失敗している証拠のひとつかもしれない。

 そういえば、自分でもなんか選べと言われたので、縦線の入った黒いワイシャツ型の服を買った。880円の半額である。自分で金払ったわけじゃないけど。

画像
こんなの。

 前から持っているコートを着て散歩に出ること数日、新しい服を着ろと命令されたので、今日はカーペットを着て国道沿いを歩く。一度洗濯してあるはずだけど、まだ少し、人ん家のにおい。

いいなと思ったら応援しよう!