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2ストリートジオメトリックサイズの導出

初期条件

SPRをS
potサイズを1とおく
片方はA/Q
もう片方がK
1st bet roundでxベット
2nd bet roundでオールインになるように(=S-x)ベット

1ストリートを利用した2nd bet sizeの導出

2ndについては1ストリートの計算と同じのため、まずこちらから考えることにします。
bet size -x+S
pot 2x+1
K側の必要勝率が
bet/(2×bet+pot)=(-x+S)/(2S+1)
になるようにバリュー:ブラフ比が決まります。
A:Q=(x+S+1):(-x+S)=1:(-x+S)/(x+S+1)

1st bet sizeの導出

2ndの戦略を基に1stを考えることにします。
bet size x
pot 1
K側の必要勝率が
bet/(2×bet+pot)=x/(2x+1)
になるようにバリュー:ブラフ比が決まります。
このときAだけではなく、2ndでベットするQもバリューコンボに含まれることになる点に注意が必要です。
(K側からは2nd betについてどう対応しても追加の利益を得られないため、2ndでベットするAとQはもはや同価値といえるため)
バリュー:ブラフ=(x+1):x
バリュー→1+(-x+S)/(x+S+1)=(2S+1)/(x+S+1)なので、
ブラフ→(2S+1)/(x+S+1)×x/(x+1)=x(2S+1)/(x+S+1)(x+1)
この時K側のアクションによらずお互いの利益は変わりません。
Kが全てフォールドするとしてもおたがいの利益は変わらないので、K側がすべてのベットにフォールドした場合のAQ側の利益を計算すると、AQ側の利益はpot(=1)×ベット頻度のため
(2S+1)/(x+S+1)+x(2S+1)/(x+S+1)(x+1)
xについての利益f(x)は以下のように決定できました。
f(x):=(2S+1)(2x+1)/(x+S+1)(x+1)

利益の最大化

xを変えて利益が最大となる箇所を探します。xについて微分して振る舞いを確認します。(2S+1)は定数係数であることに注意して無視すると、
f(x)=(2S+1)(2x+1)/(x+S+1)(x+1)
f'(x)=(2S+1){2(x+S+1)(x+1)-(2x+1)(x+S+1+x+1)}/(x+S+1)^2(x+1)^2
(定数を除いた分子)=2(x+S+1)(x+1)-(2x+1)(2x+S+2)
=-2x^2+(2S+4-2S-6)x+2S+2-S-2
=-2x^2-2x+S
f'(x)=0⇔x=(-1+√1+2S)/2
上記xのときにf(x)が最大となることがわかります。

簡易サイズの提案

あるSPR Sについて2ストリートでポラライズしたベットサイズxを決定する関数を導出したものの、このままでは実戦で使うのは少し難しいです。ライブポーカーで√の計算とか面倒なので。
ということで√の近似を使って一部簡略化します。Sがどのくらいの値かによって多少近似式が変わりますが今回はSPR4付近でよく使うだろうとしてS=4を中心に近似することにしました。
S=4周りにおいて、
√2S+1≅(S+5)/3
x≅(-3+S+5)/6
=(S+2)/6
更に、実戦ではSPRを算出する時点で割り算を行わなければならないというのは煩雑なのでSについても変形します。
元々のポットサイズを1として計算していたことに着目して、S=スタック/ポット、x=ベットサイズ/ポットであることに注意して変形すると、
x=ベットサイズ/ポット=(スタック/ポット+2)/6
ベットサイズ=(スタック+2×ポット)/6
b:=(s+2p)/6
b:実際のベットサイズ
s:実際のスタック
p:ポットサイズ
少しは計算量がへってるでしょうか。

ちなみに私はb=p/3+s/6として、33%CB(=p/3)に自分のスタックの1/6を上乗せという謎の覚え方をしていました。(役に立つ人がいるかは知りませんが…)

練習問題

特定のSPRについて確認してみましょう。
(i)pot 1,500/effstack 6,000のとき
SPR4の場合です
b=(6000+1,500×2)/6=1,500

(ii)pot 2,400/effstack 3,600のとき
SPR1.5の場合です
b=(3,600+2,400×2)/6=1,400
ちなみに計算してもらうとわかりますが理論値は1,200となります。SPRは4からそこそこ乖離していますが使い物になりそうです。

(iii)pot 1,500/effstack 7,800のとき
SPR7,800/1,500=???
b=(7,800+1,500×2)/6=10,800/6=1,800
3問すらすらできた人は凄まじいですね。自信をもってポラライズしていきましょう。

まとめ

2ストリートのジオメトリックサイズは、
SPR Sのとき、1st bet xは
x=(-1+√1+2S)/2
または簡易的に、ポットサイズpに対してスタックsとしたときの1st bet bは
b=(s+2p)/6
となりました。
現実的には完全にポラってる状態自体珍しいので使用機会自体あまりないと思いますが、自己満足目当てでたまーーーに使ってみると相手が「結局次オールイン飛んでくるからなぁ」と言って降ろせたりします(本来の意図と合ってるかはさておき)。
ポラライズ感に浸りたいときはぜひ試してみてください。
以上使えそうで使えないポーカー数学講座でした。

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