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タンザナイトとダイヤモンド 2


あなたが好き。
あなたが大好き。
あなたを愛してる。
あなたに愛されたい。
わたしのものにしたい。
あなたのものになりたい。
わたしのそばにいて。
あなたのそばにいたい。

この気持ちを
わたしは何度も何度も飲み込むの。

頭の片隅に
“この一線を超えてはいけない”
その想いを置いておかなければならない。

わたしはあなたを何度も何度も傷付ける。
あなたの優しさに甘えて
あなたを何度も何度も裏切るの。

こんなにも、人を傷付けていることは
初めてかもしれない。
こんなにも、人に対して素直になれないのは
初めてかもしれない。


あなたが、わたしの街に帰ってきた。

あなたのいない間に
わたしはまた、わたしを離さない彼と
身体を重ねて愛を囁き合った。

あなたは、それを知っているから
わたしはあなたが帰ってきてくれたのに
あなたに会うのが怖くて怖くて
会う約束も作らずに
あなたからひたすらにひたすらに逃げた。

でも、そんなことは叶うわけもなく
どんな顔をしてあなたに会っていいかも分からず
不貞腐れた顔で、機嫌の悪い態度で
全く可愛くない姿であなたに「おかえり」
を告げた。

本当は、一刻も早く会いたかった。
あなたのくりくりした目を見たかった。
あなたのくしゃっと笑う顔が見たかった。
あなたの甘い声が聞きたかった。
あなたの腕に抱きしめられたかった。


溢れてしまったら
止まらなくなってしまうから
何度もあなたに好き?会いたかった?
と、聞かれても
顔を横に振ってあなたを拒絶する。

あなたに抱きしめられながら
何度もキスを交わしながら
溢れそうな想いを何度も飲み込む。

あなたには、
わたしの気持ちなんてバレバレなのに。

あなたに乱されながら
どろどろの独占欲が顔を出し始める。

あなたをわたしだけのものにしたい。
わたしのもの。わたしのもの。
どこにも行かないで。
誰にも触れさせたくない。
あなたを、愛してる。

伝えてしまう。
掠れた声で
叫びながら
愛してる。愛してる。
何度も、伝えてしまう。

あなたに甘えて
あなたの名前を呼んで
あなたに何度も求められて
身体が心があなたを欲して欲して
止まらなくなる。

でも、あなたを苦しめてはいけない。
あなたには守るものがあるから。

だから、一線を引いて付き合っていかないと。と
理解してる。


でも、本当は、本当はね
わたしの全てを吐き出して
あなたに受け止めて欲しい。

わたしの全てを理解しなくてもいい。
わたしの抱えてるものを少しだけ
あなたに渡したくなる。

甘えて甘やかして
わたしから離れられなくしたい。

支配して支配されて
ふたりだけの世界に閉じ込めたい。

そんなこと、できるわけないのに。
そんなこと、絶対にしてはいけないのに。

ぐちゃぐちゃな感情がわたしを締め付ける。



どうして好きなだけじゃ
いられないんだろう。

どうして愛してるだけじゃ
満足できないんだろう。




あなたとのデートの日
あなたに会いたい一心で
彼からもらったタンザナイトのピアスを
付けたまま、会ってしまったことに気付いた。

あなたは、すぐそのことに気付く。

「そのピアスは何?」

わたしの身体は一瞬で凍り付く。

そして、告げられる。

「ダイヤモンドの方が似合うよ。
だってふたりの誕生石だから。」

見つめ合って
わたしの体内に侵入してくるように
あなたの甘い甘い言葉に支配される。

タンザナイトのピアスを外す。

あなたの、目の前で。

無機質な部屋にカラン。と、音が立つ。

あなたの、目の前で。

ピアスを、捨てる。

あなたの、目の前で。



呪われる。呪われる。

あの空気感
2人の情景
あなたの熱い瞳
いつもより少し低くて感情のこもった声

頭から離れない。

解放して欲しいと願ったけれど
新しく洗脳して欲しかったわけじゃない。

楽しい恋愛なのに
幸せな恋愛なのに
離れられない恐怖をまた感じ始める。

あなたはわたしのためには死なない。
あなたはわたしがいなくても生きていける。

それなのに
わたしはまたここから動けなくなるのか。


行き先が真っ暗な階段を一段一段降りて
自分の首を絞める恋愛をしているつもりだった。

いつか終わりに向かって歩いていく
そんなイメージ。

だから
“今、一緒にいる楽しさ”
だけを優先して

それ以外は何も望まないようにしてた。

見て見ぬふりをして蓋をするの。

それでもあなたが
ずっと、一緒にいて。
と、その言葉を口にするのなら
それをわたしも望んでもいいのかな。

あなたが、許してくれるなら
あなたが、望んでくれるなら
あなたが、わたしを欲し続けてくれるなら

わたしも、少し勇気を出してみようかな。

そんな風に、思うの。

いつか、離れることを
いつか、終わることを

あなたが、嫌だ。と
言い続けてくれるなら

もう少し、もう少しだけ。
あなたのそばに、いさせて。

あと少し、あと少しだけ。
あなたと一緒の時間を過ごしたいの。


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