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大好きな父の話

私の父は宗教家でした。
教義に【体は神の借り物、心(魂)だけは自分のもの】と有り
物心が付いた頃から、優しくて愛情深い父から
身体は自分のもので有っても自由にはならない。
病気になったり怪我をしても
自分で治すことは出来ない。
しかし、肌の色が違っても、言語が違っても、生まれた時は
皆同じ働きをしてくれる身体を持って誕生する
貴賤に関係なく皆平等である。
どう成長してどんな人生を送れるのかは心掛け次第なのだと教えられました

心だけは自分の思い通りに出来るから
神様の願い通りに
暖かい心を持って
他人には優しく思いやりの心で接して欲しい。と
事あるごとに言われてきました。
でも、
何故生まれに違いがあるのか、私も大金持ちの家に生まれたかった
と言う疑問には
人は出直す(父が信仰している宗教では、亡くなる事をこう言います)と

体は神様に返すが魂は今度生まれ変わった時の身体に宿るから

前世でどう生きたか(因縁というらしい)で
どんな親の元に生まれて来るかが決まると言われました。
だから今与えられた人生に感謝して自分を大切にして
他人には優しく、悪事を働かず
思いやりの心を持って人には優しく接していれば
今世も、来世も幸せな人生を
神様が与えてくれるからと教えられました。

中学生の頃
実在空間と実在エネルギーの理論とか
質量不変の法則の話とか聞かされましたが
チンプンカンプンでした。
父は全ての宗教の教義を勉強して
宇宙に関する科学の本とか、哲学書等も良く読んでいましたね。
たかが小さい木工所を経営する人には見えませんでした
困っている人がいたら助けてあげる、の考え方で
何度も知り合いの人の保証人になって借金の肩代わりをしたりで
お金を貯めることが出来ないと母が嘆いていました。

【よその子も、自分の子も可愛さは同じ】と言う言葉には
母も私も納得出来ませんでした。

私は父の影響を大いに受けて育っているとは思いますが
信仰心は余り育っていないようです。

父は私に、「どの宗教を信仰しても構わないし、
信仰しなくても良いよ。
だだ優しくて他人から好かれるひとになって欲しい」と言われていました。

私は【君子危うきに近寄らず】のタイプですし
父が願っていたような特別に優しい人でも無くて、
ごく普通に育ったようです。

父は私が中学生の頃、
過労から重い肋膜炎(肺結核と思います。)に罹り半年ほど
入院生活を送っていました。

後にお医者さんから「覚悟しておいた方が良いですよ。」と言われたことも
あったと母から聞かされました。

子供達と、妻を残して死ねないと思った父は
神様に【心定め】をしました。

心定め・とは神様に何かをお願いして、
こう言う事をさせて頂きます。と心に誓う事です。

父は事業を辞めて教会長になり信仰の為に生きることにしたのです。

母は大反対しました。
木工所は人も何人か雇っていて生活が出来ていましたから

教会長になれば収入は無く大変な生活になるのです。

でも、父の決意は揺らぐ事は無く
病院の先生に退院する事を伝えると
「とんでもない!あなた死にますよ」と言われたそうですが
レントゲン検査をした結果
何と肺の影が小さくなり菌も出ていないことが判明して
担当の先生に「これは奇跡だよ!」と言われたそうです。

母もお金より父の命が大事だと気ずいて
教会長になる事を承諾したそうです。
私が高校生の時でした。

母は苦労しましたが、
父と一緒に60組以上の仲人をして、何時も朗らかで
世話好きで。皆さんから好かれていたようです。

母が亡くなって10年余りは子ども達に迷惑をかける事なく
1人暮らしでしたが
父は93歳まで元気に生きて天寿を全うしました。

見出しの写真はテレビで見た霊峰富士山の初日の出です。






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