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ゲストをぶった切って本にする、倫理観欠如型カードゲームアドベンチャー

どうもコウスケです。今回はカードゲーム×TRPGというジャンルのゲーム「ライブラリーオブルイナ」のレビューと感想を書いていこうと思います。
対応プラットフォームはNintendoSwitch、PS4
日本語未対応ではあるもののSteamでもプレイ可能です。
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(ネタバレは含まないので、未プレイの方も気にせず最後まで読めます)

1.独特すぎる世界観

まずこの記事のタイトルを見て「なんじゃそりゃ!」となった方、結構いると思います。
誇張はしてあるものの、書いてあることは本当にこのゲームの中で行われます

とりあえず複雑な世界観、順を追って解説していきます。
本作の舞台は「図書館」です。
皆さんご存知の本がいっぱい置いてあってよく勉強する人がいる場所
なんて生ぬるいもんじゃありません

血みどろの戦闘が繰り広げられる場所になっております

というのも、本作の重要人物である「アンジェラ」さん

右の髪の青い子が「アンジェラ」
左のスーツの男が主人公の「ローラン」

彼女はどうやら「図書館」という現実世界とは異なる空間から出れないらしく、出るためにはとある1冊の本が必要になるとのこと。
そのためには図書館に招かれる「ゲスト」に「招待状」を送り、「接待」して本を貰う必要があるそうな。

ここまで聞くと「どうしたらそんな血みどろになるんだ…」と思われるでしょう。
では答え合わせ。

「ゲスト」=敵、「接待」=バトル
になります。
その様子が下の画像

右:主人公のローラン、左:ゲスト
ローランがゲストを「接待」する様子

はい、これでタイトル回収出来ましたね。ゲストを思いっきりぶった切ってます。そしてこの「接待」において倒した「ゲスト」は「図書館」という空間で本になります。

こうして、とあるきっかけから図書館に迷い込んだ主人公ローランはアンジェラに協力するため、「本」を集めることになる、というのがざっくりとしたストーリーの流れになります。

あらすじ

本を集めるために、「ゲスト」に招待状を送って、図書館に招待する必要があるようなのですが、何故かローランとアンジェラは招待状を送った人物の直近の情報を垣間見ることが出来ます。
これによって我々プレイヤーは閉鎖的な「図書館」から、外の世界観や時の流れを把握していくことが出来ます。

本を得るために毎回招待状を送るわけですが、段々と世間で「なんか招待状受け取ったら謎の空間にワープして戻ってこない奴がいる」という風に問題視され始め、外の世界では重大事件として扱われるようになります。
そうして、金目当てで図書館に入るものや、事件解決の為に図書館に入るものなど様々な背景を持った人と戦うことになるわけです。

なんですが、当然本にされた仲間の仇を討とうと気合いを入れて戦いに望んでくる人もいます。

仲間を本にされたキャラクター
ちなみにこのキャラクターも本にさせます

「うぉぉ!○○の仇、絶対討ってやる!!!」
そう気合いを望んでやって来たゲストも一刀両断

本がまた1冊増えた。やったね!

という場面が多いこと多いこと。最初はいやぁ、この人達本にしたくねぇなぁ…
なんて思いながら接待してたんですけど、段々と

新しいキャラクター来たってことはまた新しいデッキ作れるじゃん!

っていうゲーマー的思考に置き換わっていき、倫理観は無くなっていきます。
(もうお前が本になれよ)

そんな感じで徐々に図書館の外の世界の異様さに気付かされつつストーリーは進んでいきます。果たしてアンジェラの探し求めている本は見つかるのか…。ぜひプレイして体験してください。


2.戦闘システム

本作はカードゲーム×TRPGという挑戦的なシステムになってます。

まずTRPGとは何かについて軽く解説。
テーブルトークRPG(TRPG)とはサイコロを振って、決められた数値以上の出目が出たらプレイヤーの思うように行動できるジャンル。

厳密に解説するとものすごく文字数を取るので、本作のシステムを理解するにはこれさえ抑えておけば大丈夫です。

先に言っておくとこのゲーム
めちゃくちゃ難しいです
全部説明してたらキリがない。

今までの人生で100本以上のタイトルをプレイしてきた筆者ですら本作のシステムに慣れるのにかなりの時間を有しました。
ただ、慣れてからはその戦略性と、戦況を一気に打破するサイコロのランダム性の虜になってしまいます。

なので、「これは面白い!」と思った要素を掻い摘んでサクッとシステムを解説していきます。

まずはカードゲームの部分の解説

「オスカーのページ」と書かれた部分がデッキ

上の画像のように9枚のカードからなるデッキを構成して戦っていく。
ちなみにこのカードは接待した方々がなる本を「燃やす」ことで、まるでガチャのように集めることが出来ます。もちろんそこに情など無い。
強いゲストから得る本ほど、強いカードになるので下のようなゲームフローになっている。

「強いカードが欲しい!」

「強い敵を倒したい!」

「敵を倒してカードを集める」

「強い敵を倒す」

「強いカードを得る」

「より強いカードを求める」


左上のカードがプレイヤーの札
右上のカードが敵の札

プレイヤーの札に上から
「2-9」「3-8」「4-7」「3-8」という数値が書かれている。これはサイコロの数値の範囲を表しており、「2-9」なら2から9の数字が書かれたサイコロを振る、ということになる。

そして敵のカードには
「4-8」「4-7」と書かれている。敵の札も同様に、「4-8」なら4から8のサイコロを振るという形になる。

カードの説明は以上。次はバトルの仕方について。
カードの上の数値から順にサイコロバトルが始まり、
相手よりもサイコロを振る回数が多いとその余剰分だけ一方的に殴れるというシステム。

上の画像を例にすると

  1. 「2-9」のサイコロと「4-8」のサイコロをお互いに振り、大きい数字を出した方が、出た数値分だけダメージを与える。

  2. 「3-8」のサイコロと「4-7」のサイコロをお互いに振り、大きい数字を出した方が、出た数値分だけダメージを与える。

  3. プレイヤーが「4-7」のサイコロを振り、出た数値分、一方的にダメージを与える。

  4. プレイヤーが「4-7」のサイコロを振り、出た数値分、一方的にダメージを与える。(本来は防御専用の数値だが、ややこしくなるため説明を省く)

この一連の流れを繰り返すというのが基本の戦闘システムである。サイコロというランダム性がある中で、どれだけ確率の高い選択肢を選べるか、というシステムが非常に面白いうえ、最大打点をひいた時の快感は競馬で万馬券を引き当てるたときのものに匹敵する。

カードには0~4のコストがあり、当然コストが大きいほど効果は強いが、次のターンで行動が制限されるので使い所も考えないといけない。

これが次第に1対1から4対4のチーム戦になっていったり、防御専用のカード、回避専用のカード、キャラごとの属性相性などなど、もっと複雑な戦闘システムになっていくが、その頃には基本システムを完全に理解してる状態になっている(はず)
なので、段々と本作の緻密な戦略性にハマっていくのである。


3.このゲームのここがすごい!

完璧なレベルデザイン

戦闘システムをなるべく掻い摘んで説明したつもりであるが、これでもまだ難しく感じていると思います。

しかし本作はその分、ゲームに慣れる期間を用意してくれている。
ゲームを始めたての頃は自分のキャラや敵の数も少ないので、少ない手数でバトルを終えることが出来て、シンプルな効果のカード同士の戦いになるので、特にデッキを難しく構築することも無く、なんとなくのプレイでバトルに勝利することができる。

段々と、なんとなくのプレイじゃ通用しない敵と戦うことになるが、その頃には本作のシステムに慣れてきている。
慣れてきた頃には敵の弱点属性に合わせたデッキや状態異常のシナジーを組み合わせたデッキの構築ができる状態なので、より戦略性のある戦闘を楽しむことができます。

その段階に来ると皆さんは気づくはずです。
このゲームの本当のジャンルは「カードゲーム×TRPG×死にゲー」だと…

臨場感溢れる声優さんの演技

本作は韓国のゲームメーカーが開発しており、日本語のローカライズ版はつい最近発売されたものである。

にもかかわらず、日本語吹き替えの声優さん達の演技のレベルが高い!

主人公ローランを初めとするメインキャラはもちろん、ぽっと出のキャラクターの演技も素晴らしい。

ローランの飄々とした性格とたまに見せる悲壮感のあるキャラクターを完璧に演じらている!

アンジェラの機械だけど、人間性が僅かにある感じを完璧に表現している!

基本1枚絵の紙芝居で進んでいくストーリーですが声優さん達がキャラクターに魂を吹き込んでいるため、没入感のある物語を楽しむことができます。

例えば上の画像に出ているモブキャラクター。
この人達は脳以外を金属のパーツにしたサイボーグなのですが、お金が無いため、質の低い金属で改造しているという設定。
そのため、脳の機能が低下しているのか、言葉を発しづらくなっています。

このキャラクターの声優さんが敢えて棒読みに近い読み方をしていたのが印象に残りました。
この演技からサイボーグだから感情の起伏が抑えられている、だけど安物のサイボーグだからどこか機械になりきれてない感じがある
というキャラクターのイメージがすっと植え付けられたのを覚えているます。

4.ここがイマイチ!

UIと複雑さとメニュー画面の操作性の悪さ

ゲームシステムに関しては非常に魅力的な内容となっているが、それ以外のUIやメニュー画面の操作性に難があった。

メインメニューを操作する際、家庭用ゲーム機版だとアナログスティックで操作するカーソルが画面上に表示されているものが多いが、本作ではそれが無く、メニュー画面の操作に不便を感じた。複雑なゲーム性ゆえに、メニュー画面もごちゃごちゃしていたのでよりカーソルがあれば…と感じた。

また、全体的にチュートリアルの文字が小さく見ずらい上に状態異常の説明が分かりにくいところに書かれているのではじめのうちはどういう効果なのか分からずにプレイしていた。戦闘中でもすぐにチュートリアルにアクセスできるようなシステムがあれば良かっただろう。


まとめ

複雑すぎるゲーム性ゆえに説明不足な点や操作性の悪さも感じていたが、インディーズのタイトルとしてこの出来は満点レベルの出来だろう。

順序立てて行動する必要がある戦略性、サイコロによってダメージが変わるランダム性。
一見反対側にある2つの要素が噛み合うと、戦術がハマった時の快感がより増長されて、ゲームプレイに深みが出るという事がわかった1作でした。

それでは最後にアンジェラの決め台詞でお別れとしましょう。

「どうかあなたの本が見つかりますように。」

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