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戦国時代を好きにさせてくれたコンテンツたち

学生時代から日本史の中でも古代が好きでした。
縄文、古墳、飛鳥・天平文化、平安文化が好きで、奈良や京都が好きで、お寺や仏像にも興味がありました。
入り口が、氷室冴子の「なんて素敵にジャパネスク」や、大和和紀の「あさきゆめみし」、里中満智子の「天上の虹」でしたから、恋とロマンがあふれる若い雅な時代という印象。

一方、戦国時代や江戸時代は、なんとなく大人の男性イメージ。
戦国武将ももちろん男性だし、池波正太郎、司馬遼太郎、吉川英治と時代小説を書く作家さんも、小説界の大御所感があって、強い印象。
日本史が好きなので、興味はありましたが、入り口が見つからずにいました。

そんな私が、数年前から戦国時代モノを楽しめるようになりました。
高かった敷居をぐんと下げてくれた戦国コンテンツをご紹介します。

1 のぼうの城

狂言師の野村萬斎さんが好きです。朝ドラの「あぐり」に出演されていた時からのファンです。特に、彼が演じる「陰陽師」が好きです。
ちょうどその時、同僚がこの映画の原作小説が面白いからと貸してくれたんですが、これが本当に面白かった。


聞けば、映画の主演は萬斎さんではありませんか。

豊臣秀吉の天下統一目前、敵対する北条方の支城に、周囲を湖で囲まれた難攻不落の「忍城」がありました。2万の大軍で攻める秀吉配下の石田三成と、それをわずか500の軍勢で迎え撃つ城主の成田長親の攻防戦。
後に「三成の忍城水攻め」として戦国史に記された戦いだそうです。
萬斎さん演じる成田長親の人柄が素晴らしくて。のんびりした性格で、村人から、「でくの坊」をもじった「のぼうさま」と呼ばれ、不思議と領民の心を惹きつけるんです。
金と権力で他をねじ伏せる、正に悪のイメージそのままの石田三成と、正反対の長親の対比が、とても面白い作品でした。

あれ、生き馬の目を抜く、下剋上華やかなりし戦国時代に、こんなに素敵な城主がいたの?! という発見がありました。

2 利休にたずねよ

直木賞受賞作と、小耳に挟んでいた作品。市川海老蔵さんが主演で映画化もされました(こちらもよかった)

直木賞受賞作だし、茶道に少し興味があるので読んでみよかと読み始めたら、あっという間に読了。
物語は千利休が秀吉に切腹させられるシーンから始まります。そこから、時代をどんどんさかのぼっていくという構成。なぜ、利休は切腹しなければならなかったのか、秀吉と利休はいつ知り合って、どう蜜月を過ごし、なぜ袂を分かったのか、冒頭の切腹シーンを読んだら、そんな疑問がどんどん湧いてきてページをめくる手が止まらなくなりました。

秀吉、信長、利休。安土桃山時代の時間の流れが少しだけ、分かるように。

ですが、そこからしばらく、戦国時代ものとは離れていました。

3 剣と紅 戦国の女城主・井伊直虎

大河ドラマ「真田丸」が人気を博していた2016年。
真田丸を見逃してしまいましたが、次回作の「おんな城主直虎」は舞台が戦国時代、そして主人公が女性と聞いて興味を持ちました。
そのころ書店で、この井伊直虎を主人公にした小説が文庫になって発売されていました。
遠州を治める井伊家。その長女として生まれたのが、井伊直虎です。今川家の策略で、家督を継げる成人の男子が全て殺されてしまう。今川家から強引に結婚を迫られた10歳の直虎は、自ら髪を切り落とし、尼となって結婚を逃れ、井伊家の惣領として、奮闘する物語。
面白かった。
死ぬまで紅をささずに生きた女性の生涯は壮絶。
直虎ができるかぎり戦をせずに、戦国の世を渡り歩いていく様はあっぱれ。

戦国時代モノ、ちょっと変わった装置があると、結構楽しめる?

4 信長協奏曲

戦国時代モノも、変わった装置があれば楽しめると気づいてから、見つけたのが「信長協奏曲」

織田信長そっくりの現代の高校生「サブロー」がタイムスリップして、織田信長になっちゃうお話。(本物の信長は明智光秀になるという!)
史実とうまく組み合わせながら、現代人のサブローが軽いノリで歴史どおり天下統一を目指しちゃうところが痛快。
現代で勉強嫌いだったサブローは、信長が誰に殺されるかを知りません。
これで、信長の人生とそれを取り巻く時代背景がよくわかるようになりました。ちなみに、衝撃の爆死を遂げる松永久秀も現代から来たヤクザという設定でした。

映画化された、信長協奏曲。信長を小栗旬さんが演じています。
映画では原作マンガでは描かれていない本能寺の変が描かれます。(その前にアニメ編とドラマ編があったようなのですが、知りませんでした)

イケメンの演じる戦国時代モノなら見れる!

5 おんな城主 直虎

そんなこんなで、2017年。ついに始まりました、大河ドラマ。

「剣と紅」ですっかりはまった世界がついに実写化されました。
大河ドラマでは、直虎を柴咲コウさん、直虎の婚約者だった直親を演じるのは三浦春馬さん、今川家の目付で直虎の側近、小野政次を演じるのは高橋一生さん、そして、成長した井伊直政は菅田将暉くんと、今をときめく、そうそうたる俳優陣でした。直虎を取り巻く、イケメンパラダイス!
強くて、でもどこかかわいげのある直虎像は、柴咲さんにぴったりでした。毎週楽しくリアルタイムで見てました。
そうせざるを得なかったとはいえ、直虎のような、悩みながらも、自らがリーダーとなって、人を率いて家を守るという大事を成し遂げる女性を見ると、今の働く女性にも通じるところがあって、毎回、とても共感しながら見ました。
直虎と小野と別れのシーンは壮絶で泣きました。

今も昔も、我々の悩みは同じ?

6 忍びの国

2017年夏、大好きな嵐の大野くんが主演の映画、忍びの国が公開されました。ファンとしては当然、初日に映画館で観ました。

忍びの国伊賀を、織田信長の息子、信雄が攻めようとして大敗を喫したという「天正伊賀の乱」が舞台。
大野くんが演じるのは、主人公の無門。無門は伊賀の忍の中でも最強。忍びとは、己にしか従わず、金のため、自分の欲望のために人を裏切り、殺す集団。
一方、天下統一を狙う織田信長。その息子の信雄が伊賀を手中に収めようと攻めてきます。
金や私欲のためにしか戦わない忍びと織田の大軍が対決し、果たして勝てるのかどうか、ハラハラしながら見ました。
大野くん演じる無門は最強の忍なので、軽快で華麗な身のこなしで敵を倒していきます。ダンスで鍛えた大野くんの体が、ひらりと宙を舞う様子は本物の忍者のよう。美しくてかっこよかったです。

推しが演じるなら、結構ヘビーな戦いのシーンも大丈夫。

原作の小説も、

コミカライズされたものも読みました。

7 花戦さ

またしても、野村萬斎さんが主演の映画。
今でも有名な華道の「池坊」の初代、池坊専好を萬斎さんが演じています。
時代は、豊臣秀吉の時代。
友人だった千利休が秀吉によって切腹させられ、専好の周囲の者も、秀吉の命でいわれのない罪で命を落としていく。
それを見かねた専好は、刀でなく花で戦いを挑むというお話。

利休が切腹させられるというのは「利休にたずねよ」で予習済み。違う物語とはいえ、リンクするところがでてくると、そのあたりの時代背景がより鮮明に分かるようになります。

同じ出来事を、別の視点で見ると、もっとよく分かる!

8 決戦!桶狭間

別の視点で見ると、もっとよくわかるを実践。
この本は、織田信長が今川義元を破った「桶狭間の戦い」をいろんな人物の視点で、いろんな作家さんが描いたオムニバス形式。
一番衝撃的だったのは、最後の「漸く、見えた。」
首だけになった今川義元の独白。「。(読点)」がなく、たった1センテンスで、今川義元の首がひたすらグチとも言い訳ともつかない独白するというびっくり設定。
この本には、ほかにも本能寺の変や関ケ原の合戦などのシリーズがあるようなので、全部読んでみたいと思っていながら、まだ実行できてません……

桶狭間の戦いなら、だいたい分かるようになった(と思う)。

9 麒麟がくる

ついに来ました、2020年の大河ドラマ、「麒麟がくる」です。
放送開始が遅れたり、撮影が一時中断になったりと受難のドラマでしたが、とにかく面白かったです。
衣装のことを、以前noteのどこかに書いた気がして探してみたんですが、見つからなかったので、夢だったみたいです。が、衣装が本当に素敵でしたし、染谷将太さんが新しい信長像を見せてくれたり、風間俊介くんがさわやかな家康を演じてくれたり、ちょいワルおやじ感のある松永久秀を吉田鋼太郎さんがミュージカルさながらの熱量で見せてくれたりと、毎週毎週、どっぷり引き込まれてみました。
信長協奏曲が信長の人生の芯の部分、木の幹を描いているとするなら、麒麟がくるは、その枝葉。明智光秀、斎藤道三、徳川家康、足利義昭と信長を取り巻くいろんな人物の思惑、感情が見えて、信長と光秀の生きた時代が、青々と葉の生い茂った大きな木のように、立体的に豊かに見えました。

10 光秀のスマホ

年末にテレビで一挙放送されていた、NHK制作の動画。ギャラクシー賞を受賞した作品です。
信長の時代にSNSがあったらという設定。
面白かった。全20話で1時間弱ありますが、あっという間でした。
今、見られてよかったと思いました。
信長と光秀と秀吉の人間性や関係性をよく分かって見るから、面白さがより際立ちました。
もちろん、何の予備知識もない娘にもウケていたので、知らなくても十分面白い作りになっていますが。
力を抜いて、ただただ笑って見られる作品です。

11 主君 井伊の赤鬼・直政伝

そして今は、3番目に紹介した「剣と紅 戦国の女城主・井伊直虎」の続編を読んでいます。
直虎が命を懸けて守った後継ぎ、井伊直政のお話。井伊家を再興し、徳川四天王と言われる徳川家康の中でも特に活躍した4人の一人となった井伊直政。そう、「おんな城主直虎」の時には菅田将暉くんが演じていた直政です。なので、すっかり菅田くんの容姿や声に脳内変換して読んでいます。
まだ読み始めたばかりですが、養母の直虎がその名前のごとく虎ならば、直政は昇り龍。戦場では勇猛果敢に戦い「赤鬼」と言われ、自ら先陣を切って敵陣につっこむ。その熱い人柄で周りの人間を惹きつける。
さて、これから彼に何が起きるのか楽しみです。

以上が、私を戦国好きにさせたコンテンツたちです。
戦国時代、知れば知るほど、どこを切り取ってもドラマがあるなと思います。コンテンツですから、ドラマチックにデフォルメして描かれているのはあるでしょうが、命を懸けて戦う彼らの中には、いろんな思いや考えがあって、その一つ一つが複雑に絡み合っていて、ただ、勝った負けたの陣取り合戦をしているのではなくて、戦わなければならない理由があるんですね。その中で、直虎は戦をいかに回避するか考えまくったし、光秀は平和な世の中、大きな世の中を求めて戦ったわけです。
現代の日本では、戦国時代のような命のやり取りはありませんが、世の中を見渡すと形を変えて戦っていることには、変わりない気がします。

なんて、偉そうに書いてしまいましたが、まあ、昔のこと、事実は分からないので、こうしてコンテンツとして単純に楽しめればそれでいいんですけど。

心残りは、真田丸を見逃したことです(いつか再放送されることを願います)

番外編

戦国時代ではないですが、面白かった歴史ものコンテンツも紹介しておきます。

















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