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積極的ひきこもりで心をリセット~かりそめ一人暮らし日記

夫が出かけたため、今週末はかりそめの一人暮らしとなった。

午前5時、空港へ向かう夫が起き出し、ごそごそと準備をする物音を、布団の中で夢うつつで聞く。「バタン」と玄関ドアが閉まる音を最後に、家がしんと静まりかえる。と同時に、私も再び眠りに落ちた。

1 朝ごはんは、一人のときの定番「フレンチトースト」

「富士山が見えない側の席もいいね」
二度寝から起きて、スマホを見ると、夫からLINEが来ていた。
徳島空港から羽田空港に向かうとき、左側の窓側座席を指定すると富士山がよく見える。
今回、夫の座席は、富士山と反対の右側の窓側だったらしい。
「スカイツリーとディズニーランドが見えるよ」のメッセージと、写真が添付されていた。本当だ。ディズニーランドの山や湖、建物がよく見える。次に飛行機に乗るときは右側を指定してみよう。できれば、ショーの花火を空から見てみたい。

さて、夫がいない日の朝ごはんの定番は、フレンチトースト。(夫がフレンチトーストが苦手なため)
このために、平日のうちに食パンを買っておいた。
卵と牛乳、砂糖を混ぜた卵液に浸した食パンを、バターを溶かしたフライパンに入れ、弱火でじっくり焼く。甘くて香ばしい香りがたまらない。

カフェで朝ごはんを食べたつもりで、副菜も作った。
一人の朝ごはんに包丁を出すのは面倒くさいので、レタスを切るのも、かいわれ大根の根を切るのも、いちごのへた取りも全部手でやる。

フレンチトーストにはメープルシロップをたらり

2 積極的にひきこもることにした

ここから一人で何をしようと考える。
午前中に産直へ行って花を買いたい。
駅前の図書館で本を借りたい。
洋服やメイク用品が買いに行きたい。
晴れているうちに掃除がしたい。
手芸がしたい。
noteを書きたい。
MOSの勉強も始めたい。
周辺のカフェっぽいお店でランチを食べようか。
スーパー銭湯に行ってゆっくりしようか。
そうそう、夕方のピアノレッスンに行って、実家に寄るのは必須。
それから、晩ごはんにお酒を飲みたい。
ゆっくり本が読みたい。
見たい映画がある。

やりたいことはごまんと思いつくけれど、いかんせん、時間は24時間しかないし、週末は2日しかない。日曜は友人が遊びに来るので、完全フリータイムは土曜の1日のみだ。

外出先での行動スケジュールをシミュレーションした。ところが、出かけねばと思うのとうらはらに、イスから立ち上がる気力が湧かない。

SNSやニュースを見ていたら、外でおいしいものを食べたり、素敵なものを見たりしている人がたくさんいて、「自分も同じようにどこかへ行って、何かをして、充実しなくちゃ、置いていかれる」と根拠のないな焦りを感じていた。
考えてみれば、誰かがどこで何をしても、私には関係がないし、私がどこへ行っても、誰にも関係がない。行きたくもないのに無理して外に行く理由などないのだ。平日、仕事に「出かけて」いるんだし、これ以上、人混みに行かなくてよくない?
と思ったら、急に気が楽になった。

積ん読本もたくさんあるし、動画配信サービスには無限にドラマや映画があるし、コンテンツには事欠かない。
お風呂も綺麗に掃除すれば、スーパー銭湯気分を味わえるかもしれない。
食材も冷蔵庫にたんまり入っている。

だから、大げさな外出はやめて、積極的にひきこもることにした。

3 運動不足解消に自転車に乗る

洗濯機を数回回して溜まっていた洗濯物をゼロにして、風呂掃除をした後、運動不足解消に、自転車で近所の産直へ行った。

娘の高校時代の自転車、今は私の愛車

産直は花が充実している。今週末は母の日なので、カーネーションが切り花でも鉢植えでもたくさん売られていた。それから、紫陽花の鉢植えも購入。
定番のブロッコリー、たまねぎ、にんじん、トマト、いちごなどを買う。

自転車のかごが花で溢れていて、うれしい

玄関先に紫陽花が咲き誇っているところを夢想して買って帰ったのだけれど、どうやらすでに花の頃を終えてみたい。よく見たら花に元気がなかった。夕方、実家に持っていって、花はカットして、枝葉のところを実家の庭に植え替えてもらうよう、母に頼んだ。
花は持って帰って、鉢に放した。

もこもこしていて、かわいい

母の日だから、自分にカーネーション。
カーネーションは、ガーベラに次いで長持ちするのでいい。

4 昼ごはんは「あんかけうどん」

休日の昼ごはんはいつも悩ましい。
朝ごはんの時間も遅いし、平日より動かないので、本当はあっさりごはんと味噌汁的なもので、軽く済ませたいのだけれど、つい誘惑に負けて外食したり、ファストフードを食べたりしてしまう。これが体重がじわじわ増えている一因だと思う。最近ずっと気になっていた。

やっと、軽めのランチが食べられる。
カニカマ入りあんかけうどんにした。野菜が足りないので、にんじんとくるみのサラダも付ける。

レシピはこちら。

にんじんとくるみのサラダは、利用している食材宅配サービスのレシピから。おいしかったので、レシピを切り抜いておいていたもの。
せん切りにしたにんじんをレンチンして、熱いうちに少しのバターとしょうゆで和えて、刻んだクルミを混ぜるだけ。
バターしょうゆがにんじんにほどよく絡んでおいしい。一人でにんじん1本食べてしまった。

5 庭の鉢植えパトロール

庭のデッキや玄関に置いた鉢植えをゆっくりパトロールした。
花の名前が覚えられない。特に最近は、ホームセンターに行くたび、育てやすくて、豪華に咲く新しい品種の花がたくさん売られているので、ますます分からない。

春先に3ポット植えたのが、大きくなった。

去年買ったすだちの木に、花が咲いていた。
枝は、風に吹き飛ばされそうに細いし、葉も虫に食われて少ししかないので、今年はダメだろうと諦めていたので、びっくりした。
「すだちの花」徳島の「県の花」にも認定されている。絵や写真で見たことはあったけど、実物を見るのは初めて。思ったより小さくて可憐な花だった。
さて、実がつくだろうか。

冬から春にかけて、玄関を飾っていた花が咲き終わったので、花を替えた。
こちらも、また新種らしく名前を忘れてしまった……
なんでも、夏の暑さに強く、長く咲いて、1株で幅60センチくらいまで成長するらしい。

白い花が涼やかで夏っぽいと思って買った

6 晩ごはんにビザを焼く

午後、本を読みながら少し昼寝をして、ピアノレッスンに行き、実家に顔を出して、帰ってきた。
なんだかんだ、出かける用事があって、あまりひきこもれていない……

庭パトロール中に、バジルが大きくなって葉がたくさん茂っていたのに気づいた。バジルの葉を食べるといえば、「ピザマルゲリータ」だろうという、「犬と言ったらポチ」くらい安直な発想で、晩ごはんにはピザマルゲリータを作ることにした。

作る前から飲んでいる。

ピザ2枚分のレシピだったので、半量で1枚だけ作る。
粉と水分を適当に混ぜて、10分ほどこねて少し寝かす。
その間に、お風呂に入ってさっぱりした。(本当はもう少し早い時間にお風呂に入りたかったのだけれど、実家で母と話していたら帰宅が遅くなってしまった)
ピザソースは市販のもの。冷蔵庫で眠っていたチーズを全部使い切った。
コンロの魚用グリルで7、8分焼いたらできあがり。

野菜が足りないので、産直で買った野菜を使ってチキンポトフも作った。

すでにハイボールが半分なくなっている……

7 午後9時、閉店

夫がいないので寝室も独り占め。シーリングライトを消して、家中の小さな照明を窓際に集めた。それから、キャンドルを少し。
簡易版、癒やしスポットが完成。

Google CastでSpotifyのそれっぽい音楽を再生し、本を読んだり、スマホのニュースを見たり、気づいたらソファに座ったまま寝ていた。
目が覚めたら、とてもスッキリしていた。

8 一人時間は心をリセットし、自分と向き合う時間

晩ごはんを食べながら、映画「日日々是好日」を見た。

お茶の作法は、言葉ではなく、体で覚えるものだそうだ。お稽古では、毎回同じ所作を繰り返すのだそうだ。いつしか、体が自然と動くまで、繰り返し繰り返し、稽古を繰り返す。季節が何度巡っても、茶道の所作はずっと変わらない。
主人公の典子(この映画の原作者)は、就職試験の前日、婚約者に裏切られたとき、父の死など、心が大きく揺れたとき、決まってお茶と向き合う。
通い慣れた先生の茶室で、体が覚えた所作を行いながら、平常心を取り戻す。

私のひきこもり時間と同じだなと思った。

掃除、洗濯、料理、買い物、読書、昼寝……自分がいつも何も考えずにやっていることを淡々と楽しんでやっていると、ざわついた心がどんどん穏やかになっていた。
いつもと変わらないものが、自分をリセットしてくれるのではないだろうか。
スマホを見ていると、新しい情報が次から次へと、それはもう無限に、私の目に飛び込んでくる。新しい情報は、生活を豊かにしてくれるものに違いないが、変わらないものはそこにはない。
普段と違うところへ出かけるのは刺激があって楽しいし、知見を広げてくれるが、私にとってはやっぱり非日常なのだ。

心がざわついたら、ひきこもってやりたいことをする。これが私のリセット術だなと気づいた、かりそめ一人暮らし。

何かを察したのだろうか、夫からの連絡も来なくなった。

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