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「令和の不適切」に向き合うドラマ

「こんな時代にするために、俺たち頑張ってきたんじゃねーよ」
とは、先週から始まったドラマ「不適切もほどがある!」の主人公オガワ(阿部サダヲ)のセリフ。オガワは昭和61年から令和6年にタイムスリップしてきたという設定。

昭和に子ども時代を過ごし、青春時代には平成のエンタメにどっぷり浸かり、令和を生きるアラフィフの私。
画面の向こうの昭和の若者文化に手を打って喜び、懐かしみつつ、所構わずたばこを吹かし、体育教師であるオガワのセクハラ・パワハラに眉をひそめる。

ところで、本当に現代は「生きやすい」時代になったのだろうか。
もちろん、多様性が認められ、これまで見えないもの、ないものとされていた問題に日が当たって、改善されていることはたくさんある。

一方で、行きすぎた「改善」のせいで、部下を叱ることもできなければ、落ち込んだ肩を抱きしめることもできない。
昭和の時代なら、拳と拳でぶつかり合ったけど、令和ではデジタルの世界で言葉と言葉で殴り合う。体が傷まない攻撃は相手の心が死ぬまで終わらない。

オガワじゃなくても、言いたくなる。
「こんな時代にするために、俺たち頑張ってきたんじゃねーよ」

「不適切にもほどがある!」は、どっぷり昭和の考え方を持ったオガワを、「あーあ、あんなことして」と笑うドラマではなかった。昭和なオガワを通して「現代の不適切」を考えるドラマだ。



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