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【SSお題】星屑ドライブ(2)

2020年代の前半、欧米そして中国メーカーはそれぞれの政府を巻き込み、まずは100%電気の車EVを普及させてしまえ、その電気をクリーンに発電するのは追々やればいいと躍起になっていた

日本メーカーはあくまでも正論を貫き、EV一辺倒でなく、水素ガスが水となる燃料電池車や、ハイブリッド車で緩やかな温暖ガス削減を目指していた

2020年代後半にはその戦略の違いの勝敗が見えつつあった

正論が政治に負けつつあった

日本車のシェアは激減し、世の中は充電が不便ながらも補助金漬けのEVが席巻しつつあった

それを救ったのが、SDD、スターダストドライブ車だった

名もない地方の天文好きの技術者が偶然見つけた新エネルギー

日系ペルー人のマヌエル山田は趣味の天体観測をしながら、ある時ふと思った

この満天の星の光、見ているだけで元気にさせてくれる

昔のエンジンはでかい音がしてそりゃよかったさと酔っては絡んでくる工場の上司や、苦手な漢字の勉強のストレスも和らげてくれた

これって可視光だけじゃない、なんかのエネルギーも来てんじゃね?マヌは思った

測定器を自作して測ってみると、無数の星屑にしか見えない遠い星から、特殊なガンマ波が届いていて、それを増殖機にかければ車くらい動かせるはずとわかる

かくして、この発明で、スターダストドライブ用の巨大なお椀型の集光機が星が綺麗な山々に据え付けられ、液体燃料としてエンジンを動かすようになる

漢字が苦手だったマヌだったが、この内燃機関をSDDではなく漢字で表記するのにこだわった

世界中で走るSDD車には必ずこう記されている

星屑駆動

(651字)

ちょっと字余り、文字超過でした


タイトル画は、Noteギャラリーで「満天の星」で検索して出てきた、とても美しい絵を拝借。山に登ってこんな夜空を見てみたい

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