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酔人どもの夢の跡・写真ビデオ

この拙筆の(↓)、実際の体験をかなりデフォルメさせて小説風にした「ユア・アイリッシュ・パブ インバウンド繁盛記」の、その舞台・題材となった本当のお店についてあれこれ。まあ、自己満足的な記録のようなもんですが。


今となっては架空の小説の中だけのお話のようで、実際になにがあったのかが、記憶の中でだんだん曖昧になってくる。

実際に起こったことより、小説の中で話されたことが、本当に起こったような気にもなる。

実際には2人なのにそれを1つにまとめたキャラが登場していて、なんだかそのキャラが存在しているかのような錯覚にも陥る。

でも、たしかにその店は存在していた。いまやAIが写真や動画さえ作れてしまうが、目の前のかなり動作が遅くなってきたPCの中に埋もれていた画像を拾ってみた。いつ突然死するかもしれないし。

2018年にたちあがった店は、2019年のラグビーワールドカップを経て、2020年の夏には閉店となっている。

グーグルストリートマップでみると今は花屋になっている。

京都の御所の西側の、こじんまりとした、テラスのある店だった。


小説にでてくるパブ犬ソース、本名はしょうゆくん
鐘をならして、そこに居た人にいっぱいづつおごるとその日の店の名前がその人の名前になるという話


制服


動画を2つ。小説からの抜粋と共に。

スローダンス

「ある木曜日の午後3時、20代かとみえるオーストラリアの若夫婦が、客一人いないパブにはいってくると、冷えたギネスを所望。ちょうど店番をしていたナガト(日本人が店番することも時にはあった)が話かけると、結婚したてでハネムーンでの京都旅行だという。ちょうど店内は、マルがこだわって自腹で買ったレコードのジュークボックスがあるのだが、そこから古い1930年代のスローなビックバンドジャズが流れていた。

ほろ酔いの二人は、そのジャズにあわせてゆっくりと踊りはじめた。きちんとしたダンスというよりも、チークダンスと時折ゆっくりとまわったりサイドに動いたりの、ゆるーいスローダンス。片手をつないだ新婦がくるりと回ると、それを笑顔で新郎がみている。ナガトがそれをビデオをとったので、後でみんながみるところとなったのだが、マルは「これなんだよ、これ。この空間を俺は提供したかったんだよ」と感涙」


ラグビーワールドカップ

「それは、予期されていたが、怒涛のような勢いでおしよせてきた。進路が予報されていた大型台風の上陸のように。

コアなラグビーファンは、ワールドカップ開催とともに世界旅行をする。どちらかというと、あまり興味のなかった東洋の日本も、ワールドカップがあるから初来日。1ヶ月以上続くゲームを長期滞在しながら楽しむ筋金入のファンたちが、ヨーロッパやオセアニアから大挙して来たのである。そして、彼らのビール消費量は半端でない。

チケット購入済みの試合は日本中動いて見に行くが、全部の試合を観るわけでなく、それで初めて来た日本の観光名所も行く。京都にも来るが、滞在中試合があるとやはり彼らはパブで盛り上がって観たい。我々は彼らに不可欠なインフラになる。

それで京都の我らがパブも非常事態体制を敷いて、物資と戦闘要員を配備、満を持して戦いに望んだ。結果は、予想をはるかに上回る、すごい事に。試合中は立ち見となって、生ビールサーバーには長い列ができた」


酔人どもの夢の跡、アーメン、Rest in Peace ■















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