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Jazz

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Jazzがらみ。音楽がらみ。
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2020年11月の記事一覧

老牧師と殉教者

Amy Winehouseという英国のシンガーについては、彼女が2011年に自殺してかなりたって、最近になって知った。恥ずかしながら、それまで彼女のことは知らなかった。 1年くらい前、ブルースバンドのリハで、管楽器おやすみの曲で、シンガーとリズム・セクションが彼女の "Back to Black"を練習していたのが良かったので聞くと、もう死んでしまったAmy Winehouseという歌手の唄だという。さびのメロディがせつない。  それでいくつかYouTubeで彼女の唄を聞

「アドリブは音響エフェクト」とフェルナンドは言った

日曜の昼下がり、NYで暴漢に襲われて重傷を負ったピアニスト海野雅威さんの支援配信ライブを聞きながらの、つぶやき。しかしこの支援ライブ、ぶっ続け7時間で日本の錚々たるジャズミュージシャンが数十名総出で、(たしか)後からも録音が聴けて、3000円。こんな豪華でお得な企画めったに無い。チケット代は支援にいくし、ネット配信もさくさくでいい音。 90年代前半、NYに仕事で赴任していたときの思い出。仕事とは関係なく趣味で、たしか6番街と20丁目あたりだったかにあった音楽学校で週1回2時

【短編】チャーリー・パーカーの墓さがし

真夏の暑い昼下がり、カンザス・シティの墓地で、Mと僕とで手分けしながら草ぼうぼうの平らな墓石の中から、その上に斜めの棒に羽ばたいている鳥がのっているのを探していた。蝉がうるさく鳴いていた。 墓の写真が載った本が正しければ、この目の前の藪に囲まれた100m四方くらいの範囲にその墓はあるはずだった。 Mの新婚の妻Bは、今朝、僕が車でMを迎えに行ったら、けっこう怒っていた。 「結婚式の翌日に、うちの旦那をひっぱりだして、誰かの墓さがしなんて何考えてるの!」 顔はいつものよう

スローな「ジャイアント・ステップス」 時を経て見つけたマレーの虎の秘宝のような

Giant Steps (Alternate Version, Take 2, False Start) 最近、さっぱりJazzのCDを買ったりしてないのだが、最近の最大の収穫はANAの機内オーディオで聞くことができた、このGiant Stepsの”Alternate Take 2”(アルバムでは 13番目の曲)。 有名なTakeのほうは、難解なコードチェンジを高速でぐいぐいとドライブしていくソロが醍醐味。それがこのTakeでは、ちょっとゆっくりな演奏。有名なTakeしか