【連載小説】スモール・アワーズ・オブ・モーニング(1)
第一章 みんな愛する人が必要
「シンちゃん、今度のボーカルいいね。英語うまいわ。あ、当たり前か、外人だから。なんか俺たち、かなりいい感じのブルースバンドになってきたじゃん。メンツまだ全然足りないけどね」
白髪の鼻ひげをたくわえた、もう初老といった年のおやじが、ベースを外しながらつぶやく。
「やっぱ、洋楽のボーカルは外人ですよね。今度のオーストラリア人のブルースは誰の知り合いでしたっけ。マルさんの?」
もうひとりの50代らしいほうが、汗だくになったサックス・ストラップ