マガジンのカバー画像

【連載小説】スモール・アワーズ・オブ・モーニング

11
連載全5章 脱力系バンド結成物語か、国際化時代の日本人の在り方を問う問題作か?熱い湿気が覆う島シンガポールで多国籍メンバーのバンドが奏でるブルースが流れていく中で展開する人間ドラ… もっと読む
運営しているクリエイター

#夜明け前の小さな時間に

【連載小説】スモール・アワーズ・オブ・モーニング(5)最終章 収監

(第四章からの続き) すべてを出し切ったビア・フェスが終わった。 バンドメンバーは、燃え尽き症候群なのか、出し切った後の賢者の時間なのか、フェスがあたかも解散コンサートだったかのように、敢えてリハで集まろうという声がでてこないまま、数週間がすぐたった。 マルは、また意味不明の高熱が2日ほどでて、血栓ができたようだったが、ふたたび病院にかけこんだおかげで、へんな後遺症は出なかった。あえていえば、ちょっと味覚が変になった感じで、これまで大好きだったバッファロー・ウィングも、