本読んだ:障害者の経済学
「障害者の経済学」という本を読んだ。著者の中島隆信さんは経済学者、慶応義塾大学の教授で、脳性麻痺の子供がいる。障害者の家族としての視点と、経済学者としての客観的視点で本が書かれていてとても読みやすかった。
自分の中で引っかかったことを簡単にメモとして残す。
●障害児の子育ては終わらない
一般の子供と違い、障害児は成長するほど手がかかる。例えば肢体不自由であれば、衣服の着脱、食事、トイレ、車椅子での移動など、身体が大きくなるにつれて大変になる。と指摘している。
この指摘は日々感じていて、著者と同じ脳性麻痺であり、重度の身体障害手帳をもつ娘の介助は日が経つごとに大変になってきている。
さらに、今の成長曲線や、四肢肢体不自由の診断を考えると、一生の介助、介護が必要な可能性が高い。将来に対する不安だらけだ。
これに対する今の自分なりの答えは、個人や家庭で障害を抱えすぎず、社会的な問題として対応していくこと。社会に丸投げするというわけではない。自分の娘だから、自分ごと化して家庭で解決していきつつも、社会的な制度やコミュニティーに属することで精神面でのサポートを受け、その上で対処していくことで、前向きに取り組めると考えている。
いまは腰が重いことが多いが、社会との接点を設け、それを継続することが大切なのだとおもう。
ゆくゆくは、社会的にプラスになるような動き方が出来るとよいなぁと考えている。(正直今は自分の娘や家庭の目の前の対処で精一杯。)
●子供の自立が大切
子供の自立と親の自立。これらは相反するという著者の指摘。例えば、子供は自力で食事できるのようになるべきだが、親は辛抱強く道具の使い方をマスターするのを見守らなければならない。けど、時間がないために子供の食事を手助けしてしまったりする。
これはいま我が家も同じ問題に直面している。平日はほぼ全てを家内が行ってくれているが(本当に頭が下がる。)、兼業なので時間が限られていて、上の例と同じ状況だ。
他にも、自宅での娘のリハビリの少なさ vs. 限られた時間や疲労・心労など、娘の成長に直結する重要な課題もあって、この点は夫婦間でもコミュニケーションがかなり難しい点だ。
できる限り自分が積極的に子供の成長に関わる行動を取れるようにしてあげること。これが目の前で今できることだ。
●そのためには親の自立は重要
個人的な意見だが、親の自立は子供の自立をより手助けすると考えている。
いま、私達夫婦は娘が身体、精神ともに重度の障がい通知を受けて間もなくで、肩肘を張りすぎている。発作が起きてからまもなく3年ほど経つが、疲労が状態化している。とても良くない。
親が子供一辺倒の生活になると、時間的な制約、精神的な負荷が高まり、日々の感情の波が増える傾向にあるとおもう。それが故に夫婦感でぶつかることもよくある。(最近は減ってきたけど)
子供の障がいのタイプや程度にもよるれど、子供と自分の人生をある意味、客観的に切り分けて、親自身が自立すること。子供に対して過保護になりすぎないこと。すると、気楽に障がいと人生に向き合って、でも前向きに諦めずにできるのではないかとおもう。障がいは長い時間ともに過ごしていくもので、目の前のこととともに、中期的な視点で考える癖が親と子の自立の手助けになるとおもう。
●その他
この本には障害差別解消法、障害者施設、障害者の就労と働き方改革など、幅広いテーマについて書かれている。これらは今の自分の置かれている立場において、ゆくゆくは考えなければならないけど、今は目の前でことで一杯でまだ目を向けられないテーマがたくさんある。
そのタイミングが訪れたらまたそのときにこの記事とともに考えようとおもう。
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