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【リサーチ旅・愛知】モーニング発祥地の喫茶店 夜中2時から働く名物ママが起きた時、まず思うこと

一説によると、愛知県一宮市には700以上の喫茶店があり、同市がモーニング発祥の地、らしい。昭和31年ごろには、すでに市内でモーニングが提供されていたという。当時は繊維の街として繁盛し、商談などで喫茶店を利用した地元の機屋に朝からサービスとしてピーナツなんかを提供したのが、モーニング文化の始まりだそう。

この一宮の喫茶店で、一番キャラのいいマスターは誰か?という都合のいい逆算ではなく、今回はYoutubeでたまたま目にした動画で、強烈なキャラのママを見つけたのが事の発端だった。名古屋のロケを前にして、どうしてもこの人と繋がってみたかった。5年前の話だ。

その店は、名古屋から車で30分ほど離れた場所にある喫茶「ピットイン」。私が連絡した当時80歳だったママは、昭和55年の創業以来、年中無休で朝5時からモーニングを提供し続けているというハチャメチャお元気な方だった。聞けば、雨の日も雪の日も夜中の2時から仕込みをしているという。彼女が朝起きてまず思うことは、医療の現場で夜勤をしている家族のこと。そして、駐車場で一晩中待っていてくれるトラックドライバーたちのこと。雪の日でも正月でも、「開いててよかった」と来てくれるお客さんがいるから「明日も頑張らな!」と思える。

朝5時営業というのも、これから仕事に向かう人のために、『お腹いっぱい満足してもらって、ここから元気に出発してほしいから』という思いから続けている。

自慢のモーニングセット。トーストはオリジナルの六穀パン。
ママ手作りの小倉あん付き(これがねっとりしていて美味しかった!)
そして、なぜここに?と思わずつっこみたくなる「茶碗蒸し」。実はこの地域では手の込んだ「ごちそう」といわれている。ママが子どもの頃から、お祭りや法事などで出されてきたという。お店で使われている木製のプレートには、手のひらサイズの茶碗蒸しの器がちょうど収まる、まあるいスペースが空いている。

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おそらく、ここは本来コーヒーカップを置く場所なのだろう。でもこのスペースが、本当に茶碗蒸しの器のサイズにジャストフィットしていて、それが妙に印象に残っている。つるっとしたのど越しの茶碗蒸し、普段の朝食とは違う、新しい感覚。また行きたい、と思いつつ結局行けないままだ。

私もここ1年、体質改善を続けて朝方生活に切り替えた。朝起きてまず思うことは、地元の工場で夜勤のバイトをしている母のこと。工場に勤める前は定時の仕事だったが、それでも畑の管理をしなければならないため、朝4時には起きて出かけていた。幼い娘としては、早起きした時に母が不在なのは寂しかった記憶もある。でもどんな人にも、徹夜や早起きの理由がある。きっと母も、朝起きた時、まず思うことは私たち家族のことだったんじゃないだろうか。


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