見出し画像

本の紹介

過去に読んだ本で面白かった本を紹介します。

宮部みゆきさんの「火車」です。

 この本は山本周五郎賞を受賞した作品であり、2011年にテレビドラマ化しています。

 物語の簡単なあらすじは、休職中の刑事である本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになりました。しかし彼女は自らの意思でしかも徹底的に足取りを消しながら失踪しました。なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばなれなかったのでしょうか?一体彼女は何者なのでしょうか?謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていました。

火車より

 私はこの本と書店で出会いました。中学生の頃とにかくミステリー小説にはまっており2から3日に1冊のペースで読んでいました。そのペースで読んでいるとものすごくお金がかかるので、図書館で借りる方法もあるのですが目に入った小説の中で1番分厚そうな本を買うことにしました。背表紙だけを見てほかの本の2倍くらいありそうなこの火車にきめました。価格は1,210円とハードカバーの本を買うのと同じくらいしましたが勇気を振り絞って購入しました。結局この本も面白くすぐ読み終わりました。

 火車ではカード社会について書かれてあり、時代はバブルが崩壊した頃でした。当時中学生の私には少し難しいテーマだったのですが、とにかく文章が読みやすくさくさく読めました。クレジット決済がメジャーになった世の中でこの物語はフィクションなのですが、ある種ノンフィクションだと思います。それくらいクレジットカードを使う人には誰にでも起こることです。関根彰子は貧しい家庭で育ち金銭面ではとてもシビアであったはずなのにカードの使い方を間違えてしまいこのような事件を引き起こしてしまいました。

 タイトルはかしゃと読むのですが、ひのくるまともとれます。関根彰子はカードを使ってできた借金を返済するために別の会社からの借金をしていました。A社の借金を返済するためにB社からお金を借りる、さらにB社の返済のためにC社から借り入れをする。これで借金は雪だるま式に大きくなり、一瞬で生活はまさに火の車になります。過去に調べたのですが、多重債務は真面目な性格の人がなりやすいそうです。

 このようにミステリーというフィクションでありカードの危険性などを疑似体験できるノンフィクションのような側面も持った作品です。またこの作品は読み手に想像の余地を与えており明確な結末がありません。その書き方が身近にある危険性はそれを認識していないと簡単に避けられないこととリンクしていてよりミステリーとしての深さに繋がっていると考えました。


 ぜひ読んでみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?