東大理系数学2022を解く 大問3
2022年に実施された東京大学の入試の理系の数学の問題を解くときの思考を明らかにしながら解き進めていく。
大問3
とりあえず問題文が長いし、あまり見慣れないタイプの問題である。決められた条件を満たす点の領域の面積についての関数の問題で時間こそかかるが、真面目にチャレンジすれば全然解くことはできるので多少時間をかけてでもしっかり得点したいだろう。(逆に落ち着いてやれば特に難しいポイントはなくこれといって気をつけなければならないところもないので、説明することがなくて困ってしまう。)
とりあえず(1)だが、これは特に言うことがない。Pの条件である領域D内にあること、$${y=x^2}$$上にあること、PとO,A,Bとが「十分離れている」状態にあることをしっかり整理するだけである。
続いて(2)だが、個人的にはO,A,B,Pのどれもから「十分に離れている」部分の面積を考えるより、どれかと「十分に離れていない」部分の面積を求めて引き算したほうがやりやすいと思う。考えるにあたってO,A,B,Pが周囲に「十分離れていない」領域をまとっている風にみてみるとちょっとわかりやすくなる。
そしてP及びPがまとっている「十分離れていない」領域を頭の中で動かしてみれば次のように場合分けをして$${f_{(a)}}$$を求められる。(イメージするのが苦手な人は正方形型の紙を切り取って実際に動かしてみたらいいと思う。)
こうして$${f_{(a)}}$$が出てきたので(3)ではこの$${f_{(a)}}$$のグラフを書けば簡単に最小値を取るときの$${a}$$の値が求まる。
一つだけ細かいことを言っておくと今回は$${a}$$の値に制約があるのでわざわざ増減表を書いたりせずとも単調増加・減少で済ますことができるし、$${{f_{(a)}}'}$$を0にするような$${a}$$の値をわざわざ求めなくてもよい。
この問題は数学力というよりも頭の柔軟さが問われているような気がしてならない。主に(2)がポイントになるのだが、僕は全く難しくは感じなかったにしてもそれは数学の練習量とかそういうものではないように思える。この問題は点Pが動くというより正方形が動くとみなして「十分離れている」状態にない部分の面積を求めるのが一番楽だとは思うのだが、こういうのは経験則でもそういう定石があるわけでもなくただの直感でしかない。こういった解法にいたる思考法を数学の授業や参考書から学んだ覚えはない。そういう点から、なんとも腑に落ちない問題となっている。(もちろん論理が欠落しているとかではないのだが、言われてみれば分かるだけで誰でも再現できる論理とは少し違う感覚がしてならない。)ただ、大学入試の問題にはときどきこういった数学力とか、練習量、経験量とかというよりも柔軟な発想、ひらめき問題とかに少し近いような考え方を求められる問題がある。(あまりにも有名なものはたまに定石になることもある。)上位大学が求めるものにはただ純粋な努力量だけではなく、こういった地頭力とかもあるのかもしれない。
大問4へ続く。