東大理系数学2024を解く 大問2

東京大学で2024年に行われた入試の数学(理系)の問題を思考を交えつつ解いてみる。

大問2


分野は微分、積分で文字通り手を動かさなければ始まらないからとりあえず問題へと入っていこう。
まず(1)だが積分で表された関数を微分するというのは時々出てくるが、その多くは積分区間に微分する文字が入っているのだが今回はそうではなく積分する関数に$${x}$$が入っている。その点で、見かけ上やったことあるかもと思っても実際ちょっと違うなと感じるだろう。そこでちょっと焦るかもしれないが、微分積分には絶対値が邪魔だからとりあえず絶対値を外してみてそこから考えてみよう。


すると、積分区間に$${x}$$が出てきて解いたことのある問題に近づいてきたが、依然積分する関数にも$${x}$$が残っているから無視して次のような操作はしてはいけない。


もちろん答えからして間違っている雰囲気しかしないのもそうだが、この操作が間違っている理由は、$${t}$$で微分すると$${\frac{t-x}{1+t^2}}$$となる関数を$${F_{(t,x)}}$$としてみるとわかりやすい。


となるとやはり$${x}$$を積分する関数から分離する必要があるから、次のように分けてみる。


ここまでくると微分できそうになってくるがまだ注意が少し必要である。というのも積分に$${x}$$がかけられている項は積の微分をする必要があるからだ。(これも被積分関数の原始関数を考えれば理解しやすい。)そこに注意を払って微分し、$${x=\tan \alpha}$$を代入して計算すると以下のようになる。


よって$${f’_{(\tan \alpha)}=2\alpha - \frac{\pi}{4}}$$だから、$${f’_{(\tan \alpha)=0}}$$のとき、$${\alpha=\frac{\pi}{8}}$$が答えとなる。
続いて(2)だが(1)ができていれば半分ボーナス問題なのではないかと僕は思っている。というのも、$${\tan}$$の倍角の公式や半角の公式を使えば簡単に求まるからである。

少し記述で遊びました。


一応方程式を解く形にはなるのだが東大に挑む人なら$${\tan\frac{\pi}{8}}$$を求めたことがある人も少なくないはずだ。
続いて(3)だがここで問われるのは普段やっていることを普段通りやることである。最大値、最小値を求めろと言われて(1)で微分しているのだから、普通に増減表を書けばいいと思いたい。
しかも、(2)で求めた値から$${0<\tan\frac{\pi}{8}<1}$$が成り立つから次のように書ける。


すると最大値は$${x=0,1}$$のどちらか、最小値は$${x=\sqrt2 -1}$$のときに取ることが分かる。だから、$${f_{(0)}}$$,$${f_{(1)}}$$,$${f_{(\sqrt2-1)}}$$を計算する必要がある。これさえ分かってしまえば、絶対値も外せるので積分計算をしていけば答えが出る。その上で、計算ミスを限りなく減らすために(1)の微分の時に用いた$${f_{(x)}}$$の式から必要そうな次の2つの定積分をやっておく。ここで一般形を定めておくことで各々の値を求める時に代入するだけで良くなる。

別にやらなくたって解けるのだが、ミスを減らすためにもこういうことをやっておいて損はないはずだ。積分に関してはどちらも東大を受けるレベルからしたら難なくできるレベルだと思われる。
これを元に計算すると以下のようになる。

最小値は$${f_{(\sqrt2 -1)}}$$のとき、$${\log{\frac{\sqrt2+1}{2}}}$$で良いのだが、最大値の方は$${\pi}$$や$${\log{\sqrt2}}$$が含まれていて分からないから、問題文に書かれている不等式を使うことになる。このとき、やっておいてほしいのはどちらが大きい/小さいかの目星をつけておくことである。もちろん答案には書けないが(答案には書かないように注意すること)、$${\log2=0.7}$$として軽く計算してみれば$${f_{(1)}}$$の方が大きいことが分かるから$${f_{(1)}>f_{(0)}}$$を示すと思って答案にしてみると上手くいく。

$${\pi>3}$$というのは東大にはあの有名な問題があることから自明にしていいか気になる人が1人くらいいるかもしれないが流石に自明としても良いだろう。どうしても気になるなら証明すればいいが。

こうして答えが出たが、この問題の数Ⅱで出てくる微積の問題を数Ⅲを習っている理系向けに難しくした問題だが、落ち着いて処理すれば解けるだろう。積分の形で表されているものがxの関数なのか、それとも定数なのかをきっちり分けて積の微分を使えたら(1)が取れるのだが、(1)ができてしまえば、(2),(3)はわりかし取れたのではないだろうか。

大問3へ続く。


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