阪大理系数学2023を解く 大問1
2023年度の大阪大学の入試の数学(理系)の問題について思考を交えながら解き進める。
大問1
分野は不等式からの極限で、よくある(1)で示した不等式を使ってはさみうちの原理に持ち込むパターンの問題だ。大筋は見えてるからこそ多少詰まっても色々粘りたい。
まず(1)だが、両端の2つをいじるよりも真ん中のゴチャついた式を簡単な形にしたいという目標を持って挑もう。すると、$${\sum_{k=2}^{n} (-x)^{k-1}}$$の部分が等比数列の和の形であることに着目して次のように変形できる。
これより真ん中の部分は次のように簡単な式になる。
このように変形できてしまえば、あとは簡単だ。
気をつけてほしいのは不等式の各辺を何かで割る際には割る数(または式)の正負をきちんと確認することである。それさえ守ればすんなりできるだろう。
続いて(2)だが、目標は(1)で示した不等式の真ん中の辺をなんとかして$${(-1)^nn(a_n-\log2)}$$にすることである。
そこで気になるのはやっぱりどこから$${\log2}$$が出てきたかということである。対応関係を推測すると十中八九Σがついてたところが$${a_n}$$になりそうだから残りの$${\frac{1}{1+x}-1}$$から無理やり$${\log2}$$を引っ張り出したい。その時に、積分する発想が思い浮かんでほしい。ここさえ乗り越えられたらあとは速い。
積分区間は$${\log2}$$にすることを考えたら0から1でいいだろう。
そう思って真ん中の辺を丸ごと積分してみる。($${(-1)^n}$$は邪魔なので一旦無視)
ここの積分でのポイントは2つ
1つ目は今回、Σはインテグラルの外に出せるということだ。Σは和記号なので当然のことではあるが、入れ替えられることがある(むしろほとんどの場合入れ替えられる)ことは知っておこう。
ただし、次のように和を取る区間に積分する文字が絡む場合は例外的に外に出せない。
2つ目は-1の処理である。ここをΣの中に放り込まなければ$${a_n}$$が出てこない。
ところで、まんま欲しい形が出てきたが少しだけ足りない。でも他に変形を加える場所も見当たらなさそうなのでここは素直に全ての辺に同じ数をかけてしまえばいい。一旦真ん中だけ積分したが、今度は不等式の全ての辺で積分する。一応言っておくが、不等式の各辺を同じ積分区間で積分しても大小関係は変わらない。
こうして極限値を求めたい式を不等式で挟めたのであとははさみうちの原理を使えばフィニッシュとなる。
こういったタイプの問題は特に別解とか、違う視点から問題を眺める必要がないのであっさり終わったが、解く上で大事にしたいのは目標を明確にしてそれにすり寄せていく姿勢だと勝手に思っている。やみくもに変形するよりも式に注目する方が解きやすいだろう。
大問2へ続く。
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