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【043】誰かと対話しているときこそ実務能力が伸びる瞬間

2週間?ぶりのnote更新です。先週末は突発的な事故がありまして、お休みいただいてしまい、申し訳ありませんでした。ただ、先日うっかり平日の火曜日にnote更新してしましたので、今後も何らかのハプニングに見舞われながらも、なんとか週一ぐらいの更新は続けたいなと思います。

で、今週も先週に引き続き新年会や他のプロフェッショナルとの交流があり、若手からベテランに至るまで様々な同業者と会う機会がありました。


◆多種多様すぎる育成論

会計士に限らず、総合コンサルやBig 4のFASに勤められている方とも飲み会をする機会があり、そのうち何回かはプロフェッショナルの育成・成長みたいな話が出てきたのですが、そういう話が何の変哲もなく、自然発生するのを考えると、やっぱりプロフェッショナルファームという気質は意識が高いよな、と改めて思いました。

なお、有望な若手は「うんうん、そーっすよね!流石っす!」という感じで、えぇ感じで太鼓持ちしてくれるのですが、ある程度の年齢層になってくると、まぁ見事なまでに価値観が合わない人がいる笑
一定層の年齢以上になると、やはり過去の経験から、プロフェッショナルかくあるべきというのが強く心象形成されているので、価値観が合う/合わないというのがハッキリしてきます。なお、イコール、それが個々人の人間性の好き嫌いというわけではない点は申し添えておきます。

というわけで、居酒屋で大激論を交わすわけにもいかないので、そういう意味でやっぱりnoteって便利だなと思います。

特に最近は飲みにいって色々よもやま話をすることが一般的ではなくなってきたので、noteがそれの代わりになればと思います。

https://note.com/rtaro007/n/ne5c700128462

◆話してナンボ

表題にもある実務能力が伸びる瞬間、個人的にはやはり「クライアント含む外部の方と対話してる」ときが一番かなと思いました。

これは他の人を見ててもそうですし、私自身もやっぱりクライアントや外部の方々と話したり議論してる瞬間に、ものすごく学びがあるなと思っています。ある種、これが仕事の醍醐味であり、これを楽しめるかどうかがファーム商売に向いているか否かのリトマス試験紙でもあると思っています。

なお、先日、とあるクライアントの事業計画作成とバリュエーション業務をお願いされ、1か月もない非常に短い期間であったプロジェクトであったものの、そんな中でも非常に多種多様な議論が発生しました。まとめてしまえば、事業計画の前提条件や妥当性、想定される事業計画におけるシナリオ分岐、それらのシナリオにおける事業価値等の試算という上記2つの業務をやるうえでは頻出の内容です。ただ、これらを細分化した実務的な質問は数十にわたっています。

こういう仕事もそうなのですが、私が主に行っているコンサルティング・アドバイザリー業務では、通常、絶対的な答えがない状況で依頼されることが多いため、クライアントの方をお手伝いするうえで、その時点で最も確からしい答えを見つけ出すための議論が重要ですし、それ故に、議論をし尽くすという姿勢も併せて重要だと思っています。何より、クライアントも外部専門家を雇わないといけない状況下なので、非常に真剣であり緊張感のある業務です。

◆バリュエーション難しいよね

そんな中でも特にやっぱりバリエーションの仕事って、非常に難易度高いなと思いました。

多種多様なステークホルダーが想定されるので、個人の専門家としても或いはチームとしても、様々な観点からの検証が必要ですので、相当に慎重な対応が求められる仕事だと思っています。なので、ファームで受注するとしても、或いは独立会計士が受注するとしても、非常に高単価な仕事になります。繰り返しになりますが、アドバイス1つで、クライアントに対して実質的な損害を被らせてしまう可能性がある業務でもあるので、その点、非常に留意が必要です。

ちなみに、ステークホルダーの例示としては、①代表取締役社長・取締役などのプロジェクトの意思決定者、②①の直下の事務局のメンバー(多いのは経営企画)、③経理(そして、その先に想定される監査法人)などがあるのですが、その他株主や必要な専門家にも必要に応じて共有することになりますし、これらのステークホルダーの考えていることは一部重複しているものの、完全には一致していません。

代表取締役社長などの意思決定者は、入札案件であれば、この入札を勝ち切るための入札価格(≠価値)の設定ができるのかどうか、過去の経営感覚からして価格は妥当な水準なのか、他の代替的な選択肢との比較の中でどの程度リスクをはるべきかを考えますし、買収後の事業計画に対する実行可能性や、それを実行する体制にみたいなものも考えながらの意思決定されることと思います。

また、経営企画の方々は、そもそもこの案件が全社的な戦略と合致しているかもさることながら、価格と価値の差分が論理的に社内外に対して説明しきれる水準なのか、ということを考えていますし、それらを下支えするために、例えば、のれん償却、IRR、NPVなど経営指標もはじいて、強固なロジックを構築できているかどうかに関心を寄せられていると思います。

経理の方々は、買収価格の妥当性等について監査法人(及びその後ろにいるバリュエーションの専門部隊)からの質問対応や、PPAの対応要否、買収後即減損とならないように苦心されているものと思います。

※各ステークホルダーもっと沢山いろんなことを考えていますが、上記は一例ということで。

◆生々しい質問と回答は実は専門書には書いていない

そんな中、専門書は普通に読んでいるのですが、実務でクライアントの皆さんから頂戴する質問及び回答のほとんどって、専門書籍には書いていないことが多いです。

私もこういう本は暗記するレベルで読み込むようにしていますが、それでもなお、ご質問頂く事項のほとんどは書籍には直接的な答えが書いていません。だからといって、「専門書は役に立たない!けしからん!」ってわけではなく、答えを導き出すための基本的な考え方は書いてくれていますので、最低限専門書の内容は抑えておかないと、議論についていくことすらままならなくなってしまいます。専門書の内容理解は、若手などの非熟練者が仕事で置いてけぼりにならないための最低限の所作という認識です。

話す楽しさが実感できるようになれば、プロの階段登れている

まとめると、単なる分析や資料作成ではなくて、クライアント含む外部の方と(健全にかつ緊張感をもって)臆することなく会話することを楽しめる方は、現状スキルセットや経験が足らずとも、プロフェッショナルファームで働く適正があると思いました。※プロフェッショナルファームかくあるべきというのは、人それぞれなので、少なくとも私の価値観では、という点補足しておきます。

今週は以上です。ありがとうございました。





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