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独立当初に学んだこと、少しの行動が次につながる話し

もう10年以上も前になりますが、私が弁理士として独立した当初のはなしです。士業で独立された方の多くは、最初から仕事がたくさんあったわけではなく、少しずつ仕事を増やしてこられたのだと思います。私もその一人です。

修業時代の特許事務所では、仕事の8割が拒絶理由通知への対応でした。そんなこともあり、拒絶理由通知への対応にすごく自信があったのですね。

特許庁では、特許出願がされると全てについて特許を認めるのではなく、審査をして特許を拒絶する理由がない、と判断されたもののみについて特許を認めます。多くの特許出願では、審査を受けると拒絶理由が通知され、その通知にどう対応するかで、特許が認められるか、特許が認められないかが決まります。弁理士の腕の見せ所ってやつです。

独立当初、仕事もなかった私は、この強みを活かして、なんとか仕事の依頼につなげたいと思い、セミナーを開催することにしました。もちろん、当時30代前半で、何の実績もない、まったく名前も知られていない私が(今も知られてませんが(涙。。。))、外部からセミナーのお声がかかろうはずがありません。

そこで、自主開催を決意します。場所は、東京国際フォーラム!!

大きくでましたね。初回で、何人の人が来るかわからない、しかも集客は自分ひとりでするのに、よく東京国際フォーラムでやろうと思いついたものです。若気の至り、こわいですね(笑)。

東京国際フォーラムで最も小さいセミナールームを借りて準備をすすめました。いくつかの媒体で無料でセミナーの告知をしたり、有料の広告を活用したりと、集客をした結果、当日、8名の方にご参加をいただきました。はじめて自分で主催をするセミナーにしては、なかなかの出来。8名の方に集まっていただけたのは、素直にうれしかったです。セミナーも特に問題なく終了。

セミナーでは、自分が持ってるノウハウをたっぷり話をしましたし、皆さん、熱心に聴いてくださいました。また、アンケートの結果もよかったです。

セミナーが終了してから数日、「これで仕事につながるのでは!?」と淡い期待をいだいていましたが、その後、セミナーから仕事につながる気配は、ありませんでした。世の中、甘くないですね。。

たしか東京国際フォーラムのセミナールームを半日借りるのに10万円前後がかかりましたから、8名のお客さんに来ていただいても、もちろん赤字です。

とはいえ、しつこく、第2回、第3回、、、、と、仕事につながることを期待して、続けていきました。最初は8名の方に集まっていただきましたが、だんだん集まらなくなります。実をいうと、1名しかこなかったこともあります。それも1度のことではないです(笑)。講師と1対1のセミナーなんてなかなかありません。家庭教師状態です。

そうやって、おそらく10回ほど続けたと思います。事務所のHPには、「200〇年〇月〇日、拒絶理由通知への対応セミナーを開催しました。」の文字が10回分ほど並びます。

そうすると、不思議なことに、セミナー運営会社さんからセミナー講師のお話をいただくようになったのですね。事務所HPには、「拒絶理由通知への対応セミナーを開催しました」の文字が並んでいますが、そのうちの2、3回は、1名しか参加してないのに(笑)。

それでも、参加人数を書かなければ、立派な実績に見えるのかもしれません。でもね、嘘はついてないですからね。

これをきっかけに、複数のセミナー運営会社さんから、時折、セミナー講師のお話をいただけるようになりました。また、このうち1つの会社さんから、10名以上での共著ではありますが、書籍執筆のお話もいただきました。その他、超大手企業さんからもセミナー講師のご依頼をいただくことにもつながりました。もちろん、自分で主催をするよりも楽ですし、しっかりと講師料もいただけます。

残念ながら、私の話がつまらないのか、私に魅力がないのか、セミナー講師をきっかけに特許出願等のご依頼をいただくことは少ないのですが(笑)。

ただ、ここでお伝えしたいのは、小さな行動を積み重ねていくと、チャンスが広がっていきますよ、というお話です。結果につながらないからといって、続けることを止めていれば、チャンスは広がらなかったでしょう。ありふれた話ではあるかもしれませんが、私自身の体験を通してお話をすることで、読む方に何か感じ取っていただくことがあればうれしいな、と思い、書かせていただきました。

これから何か新しいことを始めてみようと考えている方のご参考になれば幸いです。

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