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365日配信で知った日常の尊さ 【中トロ議長さんインタビュー】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『ようこそ子供部屋へ!』を配信する、中トロ議長さんにフォーカスします。

中トロ議長さんは、自営業のかたわら、20年以上にわたってプロのラジオパーソナリティとして活躍中。

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現在、東京都八王子市のコミュニティFM・Tokyo Star Radioで担当中のワイド番組『中トロ議長のハチサタ』は、コミュニティFM界ではトップクラスのリスナー数を誇ります。

2019年12月にはMBSラジオ『あどりぶラヂオ』でもパーソナリティを担当し、同番組としては異例な量のリスナーメールが殺到。日常生活を題材に、ユニークな切り口と引き出しの多いトークで、人気を博しています。

そんな中トロ議長さんは、Radiotalkで365日、毎晩22:30ごろから1時間のライブ配信を1年以上にわたって継続中。

そのバイタリティの背景には、ある強い人生観がありました。

(取材/文:天谷窓大

「日常の切り取り方」をひたすら鍛えた20年間

──どんなきっかけから「しゃべりの仕事」を目指したのでしょうか。

中トロ議長:1997, 8年ごろ、ちょうど20, 21歳ぐらいのことですね。お笑いをやろうと友達と言ってて。いろんなその事務所のオーディションとか受けてたんですが、その相方が辞めちゃったんです。それで、ひとりでも面白いことができないかと思って、ちょうどラジオが好きだったので、しゃべり手を目指したんです。

ただ、どうやったらラジオ局で番組が持てるのか、全然わからない。やり方もわからなかったから、とりあえず学校に行けばいいのかなと思って、アナウンススクールみたいなところに行ったんです。そこで、いろんなオーディションがあるんだっていうことを知ったんです。

学内の掲示板みたいなところに、どこそこのラジオのオーディションがあります、レポーターのオーディションがあります、みたいなのがあって。「そうなんだ」と思っていろいろ見てたら、近所のラジオ局でも応募してるじゃないか、喋りで応募してるじゃないかと。

それでオーディションを受けて。そこで、長らく一緒に担当することになるディレクターと知り合って。昼間の番組のレポーターを担当することになりました。

──正攻法だったんですね。

中トロ議長:そうですね。まぁ、そこからは割と転がり続けて今があるんですけども……(苦笑)

──当時はどんな放送をしていたんですか?

中トロ議長:ラジオ局の駐車場にコタツを出して生放送しましたね。で、それを聞いたリスナーさんが放送中に10人くらい遊びに来てくれたのを覚えています。

──いまからはなかなか想像できない光景ですね。

中トロ議長:ね。本当に平和な時代でした(笑)「いま生放送してるから、ラジオ局の駐車場に来てください」って言って、それでなんのトラブルもなく終わるわけですから。

──当時からリスナーとのコミュニケーションが盛んだったんですね。他にはどんな企画をやっていましたか?

中トロ議長:その番組をやっていたのが、ちょうど1999年だったんですよ。ノストラダムスの予言で、「恐怖の大王」が降臨するとかなんとか…… そんな話が出ていたころで。で、“恐怖”にちなんで「肝試しラジオ」をやりました。

──肝試しラジオ! どんな内容ですか?!

中トロ議長:ラジオ局の裏が森だったので、そのまま生放送中に森の中に入ってって。当時は中継機材といってもPHSぐらいしかないんですけど、森の中では電波が入らないんですよ。だから、ケーブルを50mくらい伸ばして、その範囲内で森に入ってレポートする、みたいな。

──すごい発想ですね。

中トロ議長:でも、それ以上突飛なことはしないようにしていましたね。トークにしても、企画にしても、あくまで日常生活をベースに考えることが大事だと思っていたんです。

そのぶん、日常の切り取り方は意識して鍛えていましたね。当時はアルバイトをしながら番組をやっていたんですが、アルバイト先の本屋さんで見つけた古雑誌を読み込んでみたり、テレビの話をするときも、地方へ出かけてマニアックなローカル番組をチェックしてみたりしていました。

トークは中身よりも「リズム」

──トークのお手本にしていた人はいますか?

中トロ議長:小学校3年生のころからラジオを良く聴いていたので、その当時のパーソナリティーがお手本といえばお手本なのかな。具体的な番組でいうと、三宅裕司さんらがやっていた『ヤングパラダイス』(ニッポン放送で1983〜90年に放送)とか。

もっとも、当時は小学生だから、大人向けの話題も多い“夜のラジオ”は、「何言ってるかわかんない」ことも多かったんですけど、なんかその雰囲気が好きでずっと聞いてて。たぶん、そこの経験があるからだと思うんですよね。

──話の内容が直接わからなくても、楽しめる術のような。

中トロ議長:大人になったいまでも、専門的な話とか「わからない話」はいっぱいあるんですけど、割とトークのリズムがいいと、そんな話でも聴いていられるんですよね。トークって内容じゃなくてリズムなんだなって、ずっと昔から思っていて。

──「何を話したらいいのかわからない」という悩みもよく聞きます。

中トロ議長:少なくとも僕は、ラジオを寸分漏らさず聴く、なんてことはないですね。僕の話を聴いた人だって、もちろん毎回聴いているとは限らないし、「なんだ、そこの部分は聴いていなかったのか」ということもあると思うんですよ。

何を話すかなんて、躊躇する必要はないんです。別に、同じ話を何度したっていいと思うんですよ。「黙るくらいなら、しゃべろう」と思って。

──トークの“キレイさ”を第一に考えなくてもよい、というだけでも、かなり気持ちがラクになりますね。

中トロ議長:好きなラジオを録音して、何度も何度も聴き返すのが好きなんですよ。もう最終的にはセリフを完全に暗記しちゃうほどなんですが、なぜ同じ話を何度も何度も聴けるのかというと、「リズムの心地よさ」なんですよね。

──なるほど! 落語のような話芸にも通じる要素ですね。

中トロ議長:そうそう。たまに、僕のラジオを聴いているうちに寝ちゃうという人もいるんですけど、僕にとってはそれって光栄なことなんです。リズムの悪い話を聴きながら寝られる人って、あまりいないと思うんですよね。

──たしかに。

中トロ議長:逆に、「面白い話をしているんだけど、聴きにくい」っていうこともありますよね。それを防ぐためには発声法とか、マイク選びとか、そういう部分も大事だとは思いますけどね。すべてにおいて聴きやすい環境を整えたい、というふうには思っています。

自分がいる空間を「疑似体験」してもらう

──普段の収録環境を教えて下さい。

中トロ議長:外付けマイクに大型のミキサーとオーディオインターフェースを介して、Radiotalkのアプリを入れたスマホに接続しています。ラジオ番組の収録も、この環境で行っていますね。

収録風景

マイクは、いわゆる”ガイコツマイク”と呼ばれるSHURE(シュアー)社の「55SH」シリーズです。10年前、音声配信を部屋からやるときに本格的になるかなと思って買ったんですが、実際に使ってみたら、なかなかいい感じで。

ミキサーは、アメリカンオーディオ社の「19MXR-LTD」というDJミキサーです。これも見た目がカッコよくて買ったんですが、なかなか使い心地が良くって、10年ほど使い続けています。

──RadiotalkではBGMを入れて配信するトーカーもよく見受けられますが、中トロ議長さんの配信ではBGMが一切入りません。これは何か意図があってのことなのでしょうか?

中トロ議長:僕のしゃべりの背景に入る生活音や環境音を楽しみにしているという声をよくもらうんですよ。救急車が通ったとか、猫の声がしたとか、スマホの音が鳴ったとか。そういったものに注目しているというか、喜んでくれる人が多いので、それを打ち消しちゃうのはもったいないなあと。もちろん、BGMを入れたほうがよりラジオ番組っぽくなるとは思うんですが。

──Radiotalkとラジオは、別物ですか?

中トロ議長:ライブ配信に関していえば、いわゆる「ラジオ」とは違う存在だなと思います。たぶん、普通のラジオのようにやっても、たぶん聴いているほうは戸惑うし、やりにくいんじゃないかなと。

僕にとって、毎日のライブ配信は「日常の切り売り」なんです。何か強いテーマやキャラクターを設定しているような場合はまた違った意味合いになると思いますけど、僕は飾り立てていないので。僕が部屋にいて、何かをしているのを疑似体験してもらうという感じですね。

「毎日、決まった時間」に配信を続ける理由

──中トロ議長さんはほぼ毎日、22:30ごろから1時間のライブ配信を続けていますが、それはどんなきっかけから始まったのでしょうか。

中トロ議長:いま、長いコロナ禍の真っ只中にありますよね(※2021年8月中旬現在)。いつになるかはわからないけれど、いつかは収束するし、そうなってほしい。それは本当に強い願いなのですが、同時に、このコロナ禍が過ぎ去って、安心して外に出かけられるようになったら、いまみなさんが夜にラジオを聴いている時間を何に使うだろうか、と考えたんです。

おそらく、多くの人は飲みに行ったり、遊びに行ったりされるんじゃないかなと思うんです。そうしたときに、こうした配信が聴かれなくなってしまうのではないか、という不安がふと頭をよぎって。

遊びに使う時間ってそんなには変わらないし、コロナが収束すると、当然時間もなくなるじゃないですか。だから、「忘れられないようにしよう」と。番組を聴くことを習慣づけてもらおうと思ったんです。

──リスナーさんの日課に組み込んでもらおう、というわけですね。

中トロ議長:Radiotalkは音声に特化しているから、帰りの電車の中とか、どこでも聴けるわけじゃないですか。はたして自分の番組を気軽に聴いてもらえるかな、という問題はあるんですけど、まず「忘れられない」ためには、毎日決まった時間に配信するということは、絶対に必要だなと思ったんです。

──毎日配信を続けていると、話すネタに困ったりしませんか?

中トロ議長:そういう意味で、ある意味影響を受けている人がいて。

僕が中学生ごろのときに、「毎日22時からラジオをやっている人々」がいたんですよ。具体的には伊集院光さん、岸谷五朗さん、松尾貴史さん……。松尾さんは当時「キッチュ」という芸名でしたけど、あの人たちはそれこそ毎日やっていたんです。

(注:90年代初頭、『伊集院光のOh! デカナイト』(ニッポン放送)、『岸谷五朗の東京RADIO CLUB』(TBSラジオ)、『キッチュ! 夜マゲドンの奇蹟』(文化放送)といった、単独パーソナリティによる深夜帯番組が盛んに放送されていた)

だから僕も、帯で毎日ラジオをやりたいんです。「1日1時間2時間しゃべるぐらいなんだ」と思って。だから、毎日必ずなにか話すネタを見つける、というのが、自分のなかで癖になっています。

「○○といえば……」という話は、あらかじめググっておく

──話すネタは、どうやって見つけるんですか?

中トロ議長:Twitterを見るだけでも、割と話題って出てくるんですよ。何かに特化しなくても、世界のおもしろニュースみたいなことでもいいし、あとは個人的なことですよね。

たとえば、僕のTwitterのフォロワーさんがそばを食べに行ったという話を目にしたら、「そばといえば、こんな話があったな」というエピソードをちょこちょこ思い出してみたり。事前に、ある程度どんな話をしようか決めておいて、必要になりそうなエピソードは全部ググっておくんですよ。

──なるほど!

中トロ議長:そばに関する話でいうと、日本のそばはちょうど夏が端境期(年の入れ替え期)だから、味に当たり外れがあったりする。ところが、地球の裏側のタスマニア島で穫れたそばは、ちょうど日本と季節が逆なので、まさに夏が旬なんです。

でも、いまはタスマニア島で穫れたそばを日本でも輸入するようになったから、夏でも新鮮でおいしいそばが食べられる…… なんて話が、ちょっと調べると出てくるんです。

──アンテナの張り方がすごい……

中トロ議長:新しいことを見たりするのが好きなんですよ。それこそテレビなんて、情報の宝庫ですよ。いろいろ言われることも多いですけど、黙って見ているだけで新しい情報を手に入れることができる。僕にとっては嬉しい存在ですよ。

音で「いつもと違うこと」を表現した“旅行生中継”

──中トロ議長さんは、旅行をしながらその模様を1日中ライブ配信したり、画期的な企画を数々行っていますね。

中トロ議長:いつも部屋で机に座ってやってるんじゃ変化がないな、と思って始めました。いつも同じだからこそ、いつもと違うことをやると反響が大きいんですよ。とはいえ、そんなに変わったことって、そうそうできないですよね。いろいろ「できないこと」が多いからこそ、逆にできることといったら、こういうことぐらいだったんですよ。

僕は歌が歌えるわけでもないし、楽器もやらないし。音で表現できることで「いつもと違うこと」ってなんだろう、と思ったときに、外出しか思いつかなくて。とはいえ、家の近くってわりと何もないんで、音的につまらないんです。じゃあ、どこかへ遠出しようかなと。

──道中の車のなかで会話したり、旅先でお店に入って食事をしたり、聞いているとまるで一緒に旅行に出かけているような気分でした。

中トロ議長:いろんな事情で、家から出られない人もいるじゃないですか。その方自身が病気の場合もあるし、誰かを介護していたり……。

「そういった方々に届け!」と大義名分を持ってやっているわけではないんですけど、聞いてもらったことで「なんか、外に出るのもいいな」「外に出た気持ちになったな」と思ってもらえたならば、すごく有意義なことだったな、と思います。

──配信をきっかけに誰かが幸せになってくれたら、という考え、素敵ですね。

中トロ議長:そうですね。そのへん、最近思うようになりました。誰かに届けたい、というか、自分のラジオが誰かのためになればいいな、みたいな気持ちがありますね。

昔、自分が1年ぐらい引きこもっていたとき、ずっとラジオを聞いていたんですよ。そのときは社会との接点がラジオしかなかったんですけど、なんか、充実していたんですよね。そのときに感じた「充実した感じ」というのをいくらか僕からも発信できたら、誰かの生活が充実するかなと思って。

「嫌なら聴くな!」からの脱却

──中トロ議長さんの言葉には、リスナーへの愛を強く感じます。

中トロ議長:もっとも、自分がハタチぐらいのときには全然そんなこと、考えもしませんでしたけどね。今年で44歳になるんですけど、この年になって社会貢献…… というと偉そうですが、「誰かのためにしたいな」という気持ちが、僕みたいな人間にも少し出てきたんです。

それこそ、30代のころは「嫌なら聴くな」というスタンスだったんですが、最近はそうでもないですね。いろんな立場や価値観の人がいて、そうした人々全部にウケようってのは無理なんだけど、少なくとも切り捨てるようなことはしないようにしよう、と思うようになってきました。

──リスナーさんのコメントに対して積極的にリアクションをされている一方、特定のリスナーさんに偏ることもなく、リスナーさん同士がコメント欄で会話を楽しんでいる風景すらも見かけますね。付かず離れずの、ちょうどよい距離感という印象があります。

中トロ議長:僕自身、過去にこの手のことでずっと失敗を繰り返してきたから、いまの形があるのかなと思います。人間がやるものだから、そういう偏りみたいなものが出てしまうのはしょうがない。ただ、そのときにどうするか、ですよね。それをできるだけ出さないようにできるかどうか。そういうテクニックのようなものを持っている、とハッキリ言えるくらいの自負がありますね。

──「場を回すテクニック」ですね。

中トロ議長:そうそう。それだけはあるって、胸を張って言えます。

逆に若いときは、その「場を回す」というところに全然気配りできていなかったですね。自分が自分が、となっちゃって。「こんな面白い話してるんだから、お前ら聴けや!」という気持ちがあった。「それでいい」という人もいるかもしれないけれど、何をどう思っているかって、態度に出るんですよね。結局、伝わっちゃうんです。

それこそ、毎日配信なんかしてたら、なおさらですよね。「なんだアイツ」って思われてしまったら、人って離れるときは一瞬ですから。とくにネット配信にいたっては、他にも番組がいくらでもありますし。だから、できるだけそうならないように、と思いますし、そうならないためにセーフティーネットのようなこともしています。

──セーフティーネット?

中トロ議長:旅行配信をしたら、現地で買ったおみやげをリスナーにプレゼントしたり。リスナーさんと一緒に場を作っている、つながっているということをリアルに肌身で感じてもらえるような仕掛けをたびたび行っています。

──個々人として接点になるような企画をやることで、ちゃんと自分たちを「相手」として発信している、ということを感じてもらうわけですね。

中トロ議長:リスナーさんも人ですからね。きちんとひとりの人として扱われないと、怒っちゃいますよね。それを昔の僕は理解できていなかった。「リスナー」っていう、漠然とした集団のように思っていて。でも、その集団のなかには一人ひとりの人生があって、その人の思いがあって…… ということまで、目が届かなかったんですよね。

一人ひとり名前があって、個性を持つリスナーさんたちを十把一絡げにしてしまうのは、やっぱり失礼だなと思うから。それは別に新しいことでもなんでもなくて、当たり前のことなんですけどね。でも以前の自分は、それができなかったんです。

──「自分目線」から「他人目線」へと意識が変わったのは、いつからですか?

中トロ議長:30代後半ぐらいですかね。「人って、死ぬんだな」と思うようになって。東日本大震災であったり、アメリカ同時多発テロであったり、それまで普通に暮らしていたはずの人たちが大勢突然亡くなる場面に遭遇して、「あたりまえにいられる人なんて、いないんだな」と思ったんです。自分もいつそうなるか、わからないな、と思うようになってきたんです。

こうして僕は毎日配信をしているけれど、「今晩、配信を聴こう」と思ってくれている人が、急に死んじゃうかもしれない。こればっかりは誰にもわからないから、自分にとっても相手にとっても「嫌な記憶」を残したくないな、と思うようになって、配信のスタンスも徐々に変化していきました。

平和な時代じゃないからこそ、淡々と「日常」を貫き通す

──根底には「諸行無常」の価値観があるのですね。

中トロ議長:そうですね。当たり前の日常がないからこそ、僕は当たり前の日常をみなさんに出していこうと。みんなそれぞれ変化があるなかで、「俺は変わんないよ、今日も野菜を育ててたよ」みたいな感じだと、ある意味ギャップを感じて「聞いてやろうかな」って思ってもらえるかな、と。

平和な時代だと日常に変化がないから、「変化がある人」って求められると思うんですよ。「この人は常に変わり続けていて、この人は今週どっか行った、来週もどこか行くらしい、今度はどこに行くのかな」って、みんな期待すると思うんですけど。でもいまは、リアルな世界のほうが、それよりもずっと変化がデカいですよね。

いろんな意味ですごく変化が多い時代だと思うので、じゃあ僕は「日常」を貫き通すスタンスでいいかなって。「みなさん変化していて忙しいと思うけど、疲れたときはウチに来てくれたら疲れないよ」みたいな。いつも同じことやってるな、という感じで楽しんでもらえるかな、という気持ちがありますね。

──波乱の時代だからこそ、「なにげない日常」であること自体が魅力になるわけですね。

中トロ議長:自分の日常にそこまでの価値があると思っていないんだけど、聴いてくれているっていうことは、みなさん、何かしらの価値をそこに見い出してくれているんでしょうね。

──新型コロナの蔓延や天変地異と、日常というものの前提がボロボロになってしまっているいまから見ると、「淡々と日常を続ける」ことって、すごく大きなことに思えます。

中トロ議長:そうですね。流されちゃいますもん。普通にしていても。正解っていうのはなかなかないとは思いますし、「どうしよう、どうしよう」とずっと考えてばかりですけど、考え続けていかないとだめなんでしょうね。

ゴミの日にゴミ出さないと、溜まっていっちゃうじゃないですか。生きていくには、日々のタスクをこなし続けていくしかない。結局人生って、日常の積み重ねですからね。

──中トロ議長さんにとって、Radiotalkとはどんな場所ですか?

中トロ議長:例えるなら、銭湯ですね。大きなお風呂に入って、みんなで1日の垢を流しながら、何気ない話をする場所。

Radiotalkでする話って、よく整理されていない話だったりするんですよ。それをいろんな人が聴いて、「どれはこういうことなのかな」「それだったら、こういうこともあるよね」と気ままに思ったことを言い合って、いろんなことを教えてもらったり。消化不良なことを、みなさんと一緒に消化していく。そして、また日常を続けていく。そんな場所ですね。

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