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コンプレックスと負けず嫌いを活かして地上波ラジオへ【マツリ🌙さんインタビュー】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『お祭りトーク!』を配信する、マツリ🌙さんにフォーカスします。

2020年10月からRadiotalkで配信を開始したマツリさん。2023年1月には、コミュニティFM「渋谷のラジオ」にて、1か月限定で毎週木曜22時から、30分間の冠番組を持っていました。

普段のライブ配信では軽快なトークを繰り広げているマツリさんですが、配信を始めた頃には自分の配信スタイルが定まらず、試行錯誤を繰り返していたそう。

お話しを伺っていくと、マツリさんが持つ、強いコンプレックスと負けず嫌いな性格が、今のマツリさんを形作っているということが分かってきました。

(取材・文/ねむみえり

今しか作れないものをインターネットに残しておきたい

ーー配信に興味を持ったきっかけは?

マツリ:社会人になって東京に出てきたんですが、気軽に遊べる友達が東京にいないのもあって、家に帰ってYouTubeを見るぐらいしかやることがない生活を送っていたんです。

そんな中で、昔の動画が今のショート動画の流行りによって再度バズっているのを見て、今しか作れないものをインターネットにアップして残していくことに興味を持ったんですよ。

ーーYouTubeがきっかけだったんですね。そこで動画配信ではなく音声配信を選んだ理由は何ですか?

マツリ:顔出しはしたくなかったのと、もともとPodcastを聴いていたのもあって、自分も始めようと思ったんです。Podcastを配信する方法を複数紹介している記事を読んで、Radiotalkが一番手軽にできることが分かったので、そこからRadiotalkで音声配信を始めました。

ミキサーはヤマハのAG06。あとはマイクと、BGMを流すためのiPad

ーー「マツリ」というユーザー名の由来を教えてください。

マツリ:お祭りが好きなんですけど、お祭りから帰るときとか、次の日ってすごく寂しいんですよね。だから終わらない祭りがあったらいいなと思って、俺が終わらない祭りになろうっていう理由からです。実は本名との関係もあります。

ーー番組のサムネイルが、配信を開始した頃とは違うものになっていますね。

マツリ:僕はちょっとナルシストなところがあるんですけど、番組のサムネイルやアイコンをイケメンのものにしてしまえば、配信者としても自分の素に近い部分があるからやりやすいなと思ったんです。

それに、聴きに来てくれる方も、サムネイルを見るだけでどういうテイストの配信をしているかある程度分かると思うんで、サムネイルと番組タイトルを同じタイミングで今のものに変えました。

コンプレックス、コント、選手村…… あらゆるものが残っている収録トーク

ーー普段はライブ配信をメインに活動されている印象があります。

マツリ:ライブ配信のほうが、その場でリアクションも貰えて、リスナーさんとコミュニケーション取れている感じがするので、ライブ配信が多くなっていますね。

ーー収録トークとライブ配信では話すことは変わってきますか?

マツリ:全然違います。ライブ配信は、すごくリスナーさんのことを意識してしゃべるんですが、収録トークは自分の中で考えていることと向き合いながらしゃべることができるので、純粋な僕という感じですね。

ーー収録トークはどのようなタイミングで録ろうと思いますか?

マツリ:芸人がフリートークをしている動画をYouTubeで見たときですね。それで刺激を受けて、自分の中で思ったことをそのままアウトプットしていたりするのが収録トークなんです。でも少し前には、1人2役のコントをいくつか作って配信したりしていました。

ーー2021年の10月5日に『それクリリン?』という収録トークが配信されていますね。

マツリ:あれはちゃんと台本考えて、声色を変えて別撮りで録って、編集でカットして合わせるというのをやったりしてたんですが、その辺りからリスナー層が変わりましたね。

ーーそもそも収録トークでコントをやるようになったきっかけは?

マツリ:ちゃんとコントを編集して収録トークとして配信しようと思ったきっかけは、ハカタの姉さんあずきさんが、ハッシュタグを使った企画をやっていて、それに参加したときに録った収録トークなんです。それまでで一番再生回数が多かったのがそのコントをした回だったので、「コントいいかもしれない」と思って。

ーー過去にはすごい量の収録トークを配信していた時期がありますよね。

マツリ:1か月で収録トークを100本あげるチャレンジしていたことがあるんです。仕事でオリンピックの選手村に入っていた時期があったので、 選手村の中についての収録トークを上げたりしていて。日常生活でトピックがいっぱいあったので、収録トークが録りやすかったんですよ。

ライブ配信では見かけない方からも、毎日収録トークにおたよりとかギフトを贈っていただいたりしていて、すごくやりがいがあったんですよね。

ーー1か月で収録トークを100本あげるチャレンジ以外でも、2021年はほぼ毎日収録トークを配信していましたよね。当時はどのようなことをしゃべっていましたか?

マツリ:公式配信者になってからは、地上波ラジオとか、ちょっと先の夢のこととかを考えて動けるようになっているんですが、それより前は自分のコンプレックスと向き合っているような時期だったので、マイナスなことを吐き出していましたね。

ーーどのような部分にコンプレックスを抱いていたんですか?

マツリ:学生時代、ずっと人間関係がうまくいかなかったのが、すごくコンプレックスなんです。なので、人に気に入られないというのは極端に怖いですし、少しでも気に入ってもらえたらその人は大好きになりますね。

できないことを認めて分析を繰り返し、面白いライブ配信を目指した

ーー今は明るいライブ配信をするときもあれば、歯に衣着せぬしゃべりをするときもありますが、どちらのテンションでも配信ができるようになったきっかけはありますか?

マツリ:元々はコンプレックスまみれの陰な配信をしていたんですが、公式配信者を目指すために、明るく楽しい陽の配信のやり方も覚えたんです。

ーー「公式配信者になる」という目標を立てたことで、明るいライブ配信もできるようになったんですね。

マツリ:そうですね。もともと音声配信は自分を成長させる目的で始めたというのもあり、リスナーさんのリアクションを通じて、「人としての厚み」が少しできたかなと思いますし、自信もある程度はつきました。コンプレックスはまだありますけど、それも認めてしゃべれるようになりましたね。

ーー最初はライブ配信に来てくれる方が全然いなかったとか。それでも心が折れないで配信し続けられる理由はなんですか?

マツリ:負けず嫌いな性格だからですかね。自分は上手い配信の方法を知らないだけで、絶対に成長できると思ってたんですよ。

ーー人が来ないとか、上手くできないから配信をやめる、というような気持ちにはならなかったですか?

マツリ:ならなかったですね。自分はやり方を知らないだけで、センスは絶対にあると思っていたんです。今まで配信を全くやったことがなかったので、面白い配信のやり方が分からないのは当たり前なんですよ。それは認めた上で、配信に慣れている人ができていて自分はできていないことを分析して、試行錯誤していました。

ーー自分ができていないことを自覚すると凹むこともあるかと思うのですが。

マツリ:凹むんですけど、凹んで初めて理解したことになるんです。そうしたらこれからどうすればいいかが分かってくるので、それをずっと繰り返してきました。

ーー今は、ライブ配信はどのようなタイミングでしていますか?

マツリ:毎日ライブ配信をやるのは義務みたいなものなんですよね。それは前提としてあるんですが、ライブ配信やりたいなという気持ちが高まるのは、生きてていいことがあったときですね。みんなに話したいなと思うんです。

ーーライブ配信が義務になっているのは、しんどくなる部分はありませんか?

マツリ:時々やるよりは、毎日やったほうが楽なんです。それは自分のしゃべりやすさもあるし、毎日ライブ配信やっているほうがリスナーさんも集まってくれるんですよね。

ーーそれは今まで配信を続けてきた中で分かってきたことですか?

マツリ:そうですね。だからみんな毎日配信やるんだなって。あと、試行錯誤した結果、僕は100点の配信ができないと思ってるんです。時々ライブ配信をやって100点出すのは無理なので、毎日60点ぐらいの配信でも続けるほうが、自分も楽ですし、リスナーさんの生活の一部にもなるのかな、と。

ライブ配信では常に冷静なもう一人の自分がいる

ーーリスナーさんの名前をかなり覚えている印象があります。

マツリ:リスナーさんの名前はほぼ忘れないです。人によって、番組とかプロフィールの概要の書き方とかコメントにクセがあるので、一発で全部覚えますね。

ーーすごいですね!

マツリ:でも他の配信者さんもみんなそうなんじゃないかなと思います。あとは、配信者にとって、自分の配信を聴きに来てくれることって本当に嬉しいことなんですよね。初めてコメントしてくれるとか、配信を何度も聴きに来てくれるってかなり大きい出来事なので、強く記憶に残るんです。

ーー印象に残ってるライブ配信はありますか?

マツリ:僕が初めてイケメンナルシストキャラでライブ配信をした回ですね。リスナーさんが一人だけだったんですけど、その方を離しちゃいけないと思って、すがるように絡んでたんですよ。

そしたら、そのリスナーさんが、Twitterで僕のライブ配信のURLと一緒に「誰か助けに来て」ってツイートしたんですよ(笑)。それを見た他の配信者の方がいっぱい来てくれて、「めっちゃやばい面白いやついる」みたいな感じでTwitterで書いてくれて、そこから毎回僕のやばいキャラを聴きに来る人が増えて、リスナーの数も増えましたね。

当時そのタイミングで来てくれた、さがみ若竹センターのTKさんとか、オラキヨン ོ2.0さんは今でも仲が良くて交流があります。

ーー当時のイケメンナルシストキャラと、今のマツリさんはスタンスが違うのかと思うのですが。

マツリ:全然違います。今はいい意味で振り切ってやっているんですが、当時は振り切れてなくて、逆に気持ち悪さになってしまっていて。あと、収録トークはコンプレックスまみれで暗いこと話してて、ライブ配信ではイケメンナルシストキャラやってたら、ちょっと意味が分からないなと思っていました。

ーー統一感がなくなってしまったんですね。

マツリ:そうなんですよ。だから、番組タイトルとかサムネイルを変えたタイミングでそのキャラはやめました。番組タイトルに自分の「マツリ」っていう名前を入れるようにしたのも、作ったキャラクターで自分を売っていくのではなく、自分の話をするだけで成立するようになったらいいなという思いがあります。

ーーライブ配信をするときに意識していることはありますか?

マツリ:自分がどう見られているかというのは常に気にしています。例えば、他の配信者さんが企画したライブ配信に呼ばれたときは、呼んでくれた人がマツリにどういう立ち回りをしてほしくて声をかけたかを考えて、自分がそのライブ配信でどう振る舞うべきか、みたいなことはずっと意識しています。

ーーそれは自分のライブ配信でも同じですか?

マツリ:そうですね。自分の人生の悩みとかがあったときに、みんなにも共通するんじゃないかなって思ったときはライブ配信で話すんですけど、そのときも、リスナーさんからマツリがどう見られているのかな?というのは気にしています。

ーーライブ配信では常に冷静な視点をずっと持ってるんですね。

マツリ:リスナーとしてのマツリがずっといますね。

Radiotalkで刺激を受けたし、夢も叶えた

ーーRadiotalkで配信をしてきた中で、ターニングポイントになったような出来事はありますか?

マツリ:いくつかあります。1つは、お喋りピエロさんが企画している、ライブ配信でのイベント『バーガーピエロ』のスタッフになれたことですかね。Radiotalkの本社に行って運営の人たちと会えたり、他の配信者さんたちとお会いできたり、すごく自分にとって大きな出来事でした。

イベント後には、何人かの配信者さんからRadiotalkで人気になるためのアドバイスを貰ったりして、絶対にこの人達に負けないと思いながらも、いつか肩を並べるぐらい有名になりたいとも思ったんです。配信活動をする上での目標がすごく大きくなりました。

ーー他の配信者さんと直接会うことが、大きな刺激になったんですね。

マツリ:もう1つは、2021年の年末にあった、Radiotalkの公式イベント「あなたの夢、Radiotalkで叶えます2021」に選ばれて参加できたことです。応募するときに、夢を叶えるビジョンと、それまでにかかる工数を全部出して、運営さんのメリットとかも全部伝える文章をすごく考えて作って、初めて運営さんが選ぶ形式の企画に選ばれたんです。

ーー仕事のプレゼンのようですね。

マツリ:配信者として、Radiotalkの1つの成功モデルになりますということでプレゼンしましたね。当時、「トクトレ」という、構成作家さんについてもらってトーク力をあげる企画があったんですが、通常は1か月のところを、1年間ついてもらいたい、そこで学んだことを活かして地上波のラジオに出たい、できることならテレビにも、という3つの夢を掲げたんです。

30分で50,000 SCOREを集めたら、夢を叶えてくれるお手伝いをしてくれるということだったんですが、結果的には30分で70,000 SCOREを獲得しました。

ーー条件のSCOREを大幅に超えて達成したんですね。夢を叶えるお手伝いをしてもらう権利を獲得してからの配信は、何か違うものがありましたか?

マツリ:全然違いました。年末のイベントで30分で70,000 SCOREを貰って、今は自分に構成作家さんがついてるんだって思うと、ただ自分の今日あったことを話して残していくだけだとダメだなと思うようになりました。

なので、構成作家さんに認めてもらえるように、自分のできる面白い話とか、自分で考える台本とかを作り込んで、貰ったフィードバックをリスナーに共有したりしていました。自分が人としてだけじゃなくて、配信者として成長しなきゃいけないって思ってやってた1年間でしたね。

ーーそれが、渋谷区のコミュニティFM「渋谷のラジオ」で1月に放送していた『Radiotalk マツリのお祭りラジオ』に繋がっているんですね。

マツリ:どうやって地上波ラジオに出るか、自分でも何か道を見つけないとなと考えていたときに、オールナイトニッポンを聴いていたら、パーソナリティが「一部に昇格したからスポンサーが増えた」みたいな話をしていたんです。そこで、自分でもお金出してスポンサーになったら、どこかで地上波ラジオができるんじゃないかな、と思って運営さんに相談しました。

そこからは、どういう形でスポンサーになるかを考えていたんですが、トークの日に合わせてクラウドファンディングをして、そこで得た収益を、地上波ラジオで番組スポンサーになるためのお金に充てようと思ったんです。

空飛ぶ、わんたんさんが、以前鎌倉でMVを撮るためにRadiotalkでクラウドファンディングをしていたので、すぐに連絡をとったら、やり方とか気をつけなきゃいけないこととか全部教えてくださったので、それを参考にクラウドファンディングを実施しました。

夢の地上波ラジオデビューへ

ーー『Radiotalk マツリのお祭りラジオ』の放送1回目はいかがでしたか?

マツリ:シンプルに感動しましたね。事前に編集した音源を貰って確認していたので、どういうものが流れるかは知っていたんですが、それでも1回目をリアルタイムで聴いてて、こんなに感動するなんて思ってなかったです。

ーーどういう部分が心に響きましたか?

マツリ:Twitterでハッシュタグをつけて感想を言ってくれていたり、盛り上がっているのを見ると、今自分は地上波ラジオをやっているんだな、と実感できたんです。普段のライブ配信とかでは一切絡まない人がツイートしてくれていたりするのを見ると嬉しかったですね。

ーー1か月やってみていかがでしたか?

マツリ:まずは台本作成、音源編集、収録を全力でやってくださった構成作家さんと、色んな面でサポートしてくれたRadiotalk運営さんへの感謝の気持ちが真っ先に出てきたので、最終回が終わってからすぐにお礼を伝えました。

そして、この夢を叶えさせてくれたクラウドファンディングで応援してくれたリスナーの皆様と、僕のラジオを聴いてくれているリスナーの皆様へのお礼も、ライブ配信ですぐに伝えました。

ーー感謝の気持ちが溢れていたんですね。

マツリ:この気持ちは最終回の後だからではなく、1か月間通してずっと思っていたことです。振り返るとずっとみんなに感謝していたなと。ライブ配信ができるのも、地上波でラジオができるのも、どちらとも自分のやりたいように好きなように自由にできているのは関わってくださる皆様のおかげなんだなぁとしみじみ思っていました。

人との温かい繋がりを強く感じることができるのが、ラジオなんだなと思います。この繋がりに心が囚われてしまったので、これからもRadiotalkも地上波ラジオも続けていきたいです。

ーー地上波ラジオを経験してみて分かったことなどはありますか?

マツリ:各回が終わるたびに、今までの配信活動の見直しや言葉遣い、滑舌などなどちゃんと反省するところが沢山ありましたね。パーソナリティとして成長したいと思える1か月間でした。

『Radiotalk マツリのお祭りラジオ』収録風景

リスナーは、自分の心の蓋を外してくれる存在

ーー今、マツリさんにとってRadiotalkはどういう場所になっていますか?

マツリ:もう1つの僕の居場所で、自分を表現できる場所だなと思います。リアルの世界だと、例えば飲み会で自分語りを20分やったら嫌われるじゃないですか。でも、Radiotalkではむしろ受け入れてくれるんですよね。

ーーもう1つの場所になっているというのはすごく素敵ですね。リスナーさんはどんな存在になっていますか?

マツリ:リスナーさんには親にも話せない話をいっぱいしてるんで…… 家族…… 僕の心の蓋を外してくれる人たちですかね。リアルだと言えないことを言わせてくれる人たちなんです。

ーー心を許せるみたいなことですかね。色んなものに蓋をしてしまっているんですか?

マツリ:すぐ蓋をしちゃうんですけど、自分で蓋したから自分では外せなくなってしまっていて。でもリスナーさんたちがひょいと外してくれるし、外しても受け入れてくれるんですよね。リアルの生活では関わることがない、というのがいい距離感を生んでいるのかもしれないです。

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