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リスナーは「教室の“後ろの席の子”」【配信者インタビュー:ゆとりフリーターさん】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『ゆとりは笑ってバズりたい』を配信する、ゆとりフリーターさんにフォーカスします。

ゆとりフリーターさんは、フリーターとして働く20代女性。日常生活を題材に、出会ったユニークな人々のエピソードや、リスナーからの悩み相談をテンポのよい語り口で届ける『ゆとりは笑ってバズりたい』は、「ゆとバズ」の愛称で親しまれ、フォロワー数3万を誇る人気番組となっています。

『ジャパンポッドキャストアワード2020』では、1,000件を超える応募の中から「ベストパーソナリティー賞」にノミネート。番組をきっかけに、地上波ラジオでのパーソナリティーや、雑誌でのコラム連載など、幅広い活躍が注目されています。

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多くの人々の心をひきつけてやまない、ゆとりフリーターさん。その類まれなるトークスタイルは、どのようにして形成されていったのでしょうか。
(取材・文/天谷窓大

きっかけは「相席居酒屋の待ち時間」

──音声配信を始めて、どれくらいになりますか?

ゆとり:21歳のときに始めたので、今年の7月で6年目になりますね。

きっかけは、失恋で。当時付き合っていた人に、実は婚約者がいたんです。
何て言うんですかね…… 人って裏切るんだ、というふうに初めて思った瞬間というか。

むなしさを埋めるために、友達と一緒に相席居酒屋行ったり、街コン行ったり、そういうのを結構繰り返していたんですよ、本当に何の目的もなく。

相席居酒屋って、店にいる客の男女比が合ってないと「待ち」の時間があるんですよ。女性が多すぎる時は、「ちょっと女子会しててください〜」って時間があって。そんなとき友達に、とある匿名通話アプリをすすめられたんです。

──匿名通話アプリ。

ゆとり:はい。匿名同士で通話できるというもので。出会い目的で利用が多くて、なかなか人前ではおおっぴらに言えないようなアプリだったんですが、それにライブ配信機能がついていたんですよ。

──それがゆとりさんの音声配信デビューだったんですね。

ゆとり:そうなんです。相席居酒屋で待っているあいだ、そのアプリでなんとなくライブ配信を始めたのが最初で。

配信を始めてしばらくしたら、知らないアカウントがひとりコメント欄に出てきて。私と友達の2人で、そのコメント相手とずっと会話していたんですが、それがすごい楽しくて。その後、相席が成立したんですが、帰り道、「今日どうだった?」という話になったら、「ライブ配信していた時間が一番楽しかったね」って(笑)

「リアルな人と薄い話をするより、ライブ配信の方が楽しかったね」って、2人とも意見が一致して。その足で家に帰ってすぐ「ラジオ配信」でアプリを検索して、音声配信を始めました。

──その当時は、どんな内容を配信していたんですか?

ゆとり:最初はまだしゃべりがおぼつかなかったので、ギターの弾き語り配信をしていましたね。もともとギターが上手くなりたくて。チャットモンチーみたいになりたかったんです。

人に聞かれながらギターの練習をすれば技術も上達するし、聞きに来てくれる人もいて嬉しいだろうなと思って始めたんですが、何回か配信するうちに、演奏中も何か話しかけたほうがリスナーさんが立ち止まってくれることに気づいて。だんだんギターそっちのけで、しゃべる方がメインになっていきました。

自分のしゃべりが「人を救った」

──当時、どんな気持ちで音声配信をしていましたか?

ゆとり:最初は退屈な時間を埋めたいというか、こちらの話に“返事をしてくれる誰か”がいるだけでいいという、軽い気持ちだったんですよね。

そのころは夜勤のアルバイトが多くて、夜中働いて朝帰ってくるという生活サイクルだったので。夜中に来てくれる人と、ただ話すだけで楽しいというか、気持ちのマイナスをどうにか埋めるためにやっていたような感じでした。

でも、そこからちょっとずつ考えが変わってきたんです。

──と、いいますと?

ゆとり:最初は失恋の傷を埋めるために音声配信を始めたんですけど、やっていくうちに常連になってくれる人が出てきて。なかでも、「今日も仕事だったの?」と挨拶を交わす同い年の子がひとりいたんですが、配信をきっかけにお互いの悩みなどを相談するようになって。ある日、「実はこれまで、入院していたんだよね」と打ち明けてくれたんです。

それまで彼はずっと「働いている」と言っていたんですが、それはウソで。実は大きな事故で、歩けなくなるほどのケガを負っていたんです。「精神的にも辛かったのだけど、たまたま私のライブ配信に遊びに来てくれて、とても気持ちが救われた、ありがとう」という話をしてくれて。

──ゆとりさんのおしゃべりが、ひとりの人を救ったんですね。

ゆとり:自分がただただ心の傷を埋めるというか、自分で自分を癒すためだけに始めたのに、それが誰かのためになったんだって、すごくびっくりして。私が楽しむためにしていた配信に「ありがとう」と感謝されたことが衝撃的だったんです。

それから1ヶ月ほどして、配信に利用していたサービスが閉鎖されることになったのですが、そのときにはもう気持ちにブーストがかかっちゃって。サービスが閉じるタイミングで「卒業式」的な配信をして、そのなかで、「私、アナウンススクールに通います」って宣言したんです。

──プロを目指すことにしたのですか?

ゆとり:いえ、そのときはまだ、プロになりたいという気持ちは全然なくて。早口のクセを直したかったのと、とっさに言葉が出てこなかったりするのがすごく悔しいなという思いがあって、「話し上手」になるためにスクールへ行こうと思ったんです。

スクールを卒業するとき、受講生には自分のトークを収録したCDがプレゼントされて。「これを使って放送局や事務所のオーディションを受けてもいいよ」ということだったので、せっかくだからと、家から一番近いコミュニティFMにそれを持ちこみました。

挫折した「プロへの道」

──音声配信者から、プロのラジオパーソナリティの道へ……

ゆとり:ところが…… その夢は叶わなかったんです。

「まずは番組の裏方の仕事をして、経験を積めたらそのうち番組でしゃべらせてあげるよ」と、担当者の方には言われていたんですが、入っていきなり、未経験のまま2時間の生放送番組のディレクターをすることになったんです。

──未経験で、いきなり責任者に?!

ゆとり:そうなんです。入ってからわかったんですが、その局はスタッフがわずか3人しかいなくて。誰かひとりでも休んだら放送が止まっちゃうという過酷な現場だったんです。

仕事そのものにはとてもやりがいを感じていたんですが、入ってみると現場の人間関係がぐちゃぐちゃで……。いろんな人の板挟みにあっているうちに、「しゃべらせてあげるよ」と約束してくれたはずの社員さんが突然クビになってしまって。

──いきなりの修羅場ですね……

ゆとり:あとから聞いたら、私の採用もその人の独断だったということにされていて。完全にはしごを外されてしまったんです。そのうち、給料の出ない現場へもタダ働きで駆り出されるようになって……

ある日、局へ行こうとしたら、高熱が止まらなくなって。強いストレスで、髄膜炎(脳と脊髄に炎症が起こる病気)を発症していたんです。結局入院することになって、局も辞めざるを得ませんでした。

「誰かとしゃべりたい」病室で湧き上がった思い

──憧れていたはずの世界で、辛い体験をしてしまったのですね。

ゆとり:「ラジオ局で働くよ!」とリスナーさんに宣言して、局で働いているあいだは配信もお休みしていたんです。でも、こんなことになってしまって……。

病室にいるあいだ、ずっと誰かとしゃべりたくって。
その後なんとか回復できて、家に帰り次第、すぐに配信アプリを立ち上げました。

──久しぶりに音声配信を再開して、どうでしたか?

ゆとり:家に帰ってくるやいなや、「ただいま配信」をやって。そうしたら、すごい勢いで「おかえり!」とたくさんメッセージをもらって。本当に嬉しかったですね。

これからは改めて音声配信に本腰を入れていこうと、この瞬間に思いました。

Radiotalkで知った「収録トーク」の良さ

──ゆとりさんとRadiotalkとの出会いは?

ゆとり:当時はとにかくしゃべるのが楽しくて、毎日何時間も配信をしていたんですが、ある日、ずっと聞いていてくれていたリスナーさんから、「楽しいけど、(中身が)何もないよね」というコメントをもらって。

良くも悪くも、だとは思うんですけど、私にはそれが結構刺さってしまって。自分でも、ライブ配信が終わった後に「あれ、何やってたんだっけ」と思うこともあって。良く言えば夢中だったとも言えるんですけど、配信が終わったあとに、ちょっとむなしくなってしまう瞬間が多くなってきたんです。

そんなときに、RadiotalkのURLをシェアするツイートが流れてきて。
「音声配信」と名のつくアプリはとりあえずインストールする、みたいな時期だったんで、すぐに入れて、収録トークから配信を始めました。

──これまでライブ配信をメインにしていたゆとりさんが、収録での配信を決めた理由は?

ゆとり:当時好きで見ていたゲーム実況者が、収録と生放送を両立させて配信していたんです。アーカイブ動画をポートフォリオ(自己紹介資料)のような感じで置きつつ、そこを入り口にしてライブ配信へとつなげていたんですね。

私も、Radiotalkでのトークをきっかけに、当時やっていたライブ配信に新規のリスナーさんがついてくれたらいいな、という気持ちからスタートしたのですが(編注:当時のRadiotalkは収録トーク機能のみ)、そこでリスナーさんからの反応を多くもらったことで、だんだんと収録トークの配信がメインになっていきました。

──収録配信のどんな点に魅力を感じましたか?

ゆとり:収録トークには、ライブ配信とは違った魅力があるなと思ったんです。

これまで行っていたライブ配信では、リスナーとの距離が近すぎて、配信を自分の思い通りにしようと“介入”してくる人が多かったんです。

コラボ配信をしつこく頼んできたり、自分の配信を宣伝しにくるだけの人だとか、上から目線で自分のトークに上から目線の“アドバイス”をしてくる人とか……。素直に「褒めてくれる」人がいないというか、リスペクトのない関係性にうんざりしてしまっていたんです。ちょっと自分が望んでいた感じと違うな、って。

そんななか、Radiotalkで収録トークを始めたら、リスナーのみんなが、すごくリスペクトを込めてコメントしてくれて。すごく衝撃的だったんですよね。ほどよい距離感が保たれていて、きちんと自分と向き合ってくれている感じがしたんです。「おお、Radiotalkいいじゃん」って。

これまでのライブ配信では、持論を述べるようなことは恥ずかしくてできなかったんですけど。でも、収録トークだと、言えるようになったんですよね。「冷やかし」がないということがすごく安心できて。のびのびと自分の考えを表現することができました。

──収録トークを配信できるアプリは数多くありますが、なぜRadiotalkを選んだのですか?

ゆとり:たくさんあるんですけど、一番最初にリスナーさんに引き留めてもらったというのが大きいですね。

始めて1ヶ月後ぐらいのときにアンチコメントが届いて、やめようかなと思ったことがあったんですけど、それ以上に「やめないでください」「続けてください」という熱いコメントをもらって。ポジティブな反応の多さが、ブレーキになりました。

あとは、運営の方とお話させてもらう機会があったり、『あどりぶラヂオ※』に出してもらったり。

(※編注:MBSラジオの深夜番組。「月刊Radiotalk」と題し、トーカーを不定期でパーソナリティに起用。2019年3月27日の放送で、ゆとりフリーターさんは2時間半のパーソナリティを担当した)

RadiotalkからApple Podcastなどの外部ポッドキャストサービスへ手軽に配信できようになったときには、めっちゃ惚れましたね! 気がつくと、「もう、ここ以外やらん、Radiotalkしか勝たん」という気分になっていました。

まだ見ぬ「自分のような人」に届ける

──ゆとりさんの日常エピソードには、ユニークな人々がたびたび登場します。もともとそういった人々には、興味を持っていたんですか?

ゆとり:そうですね、もともと変わった人、アウトローな人が好きなんですよ。

18〜19歳ぐらいのとき、ゲストハウスに泊まるのにハマっていて。
ゲストハウスに泊まりに来る人って、大なり小なり、個性的な人が多いんですよ。「これまで何してたんですか」と聞くと、「ちょっとムショ入ってた」とか。本気にせずに「写真撮っていいですか?」って尋ねたら、「ちょっと本当に勘弁してくれ」と断られて、あぁ、マジなんだ、って(笑)。

他にも、「UFOを見たことがある」という人や、「今日ここに来なきゃ、とふと思って、仕事休んで泊まりに来た」なんて人もいたり。そういう、“変わった人”の話を聞くの、大好きなんですよね。

うちの父親も、かつて「ツッパリ」だった人で。異端である、普通じゃないことがかっこいい、という価値観のもとで育ってきたので、そういう人を目の前にすると、自然と「なんで? なんで?」って興味が湧いてきちゃうんです。

──アルバイト経験が豊富だと聞きましたが、それもやはり影響しているのでしょうか。

バイト遍歴

ゆとり:そうですね、これまで15のアルバイトを経験してきたんですが、いろんなバイト先で、これまで自分が知らなかったような価値観を持つ人に会って、視野が広がっていったように思います。「あぁ、こんな考えでも、人って生きていけるんだなぁ」って。……言い方が悪いですね(苦笑)

──日常生活を題材にトークするという「ゆとバズ」のコンセプトは、当初から決まっていたんですか?

ゆとり:いや、そんなこともなくて。でも、最初に考えた方針はブレていないと思います。「世界中の1%以上の人は、必ず自分と同じようなこと思っている」という言葉を目にして、それを発信した方がいいなと思って。

当時から、「バズりたい」「ジャスティンビーバーにリツイートされてみたい」というように、“認められたい”という願望が強くて。じゃぁ、この心理状態をそのまま番組として発信したらいいんじゃないか、と。

自分で自分を慰めつつ、自分と似たような“バズりたい人たち”や、“くすぶっている人たち”に向けてトークを届けて、同じような仲間を見つけたい、という思いで、これまでずっとやってきていますね。

──トークの際、これは大切にしている、ということはありますか?

ゆとり:「人に聞かせる気持ちがないトークは、あんまり面白くない」という持論があって。初めて配信をするときも、「なんも知らんやつの自己紹介なんか、聞いても面白くないでしょ」と思って、あえて自己紹介をせずに、いきなり本題から切り出していたんです。

でも以前、それを配信で語ったときに、一部のリスナーさんから激しい反発の声があって。もっとも、比率としては少数だったんですが、やっぱりこうした意見って、すごく記憶に残ってしまって。「自分と違う考え方をする人もいるんだな」と、考えを改めるようになりました。

それ以来、何か意見を述べるときには「そうじゃない人もいる」ということを念頭に置いて、フォローを必ず入れるようになりました。

前夜に練った話を朝イチで収録。でも「すぐには上げない」

──普段の収録環境を教えて下さい。

ゆとり:収録用のスマホと、ジングル出し用のタブレットを用意して収録を行っています。

収録風景イメージ(スマホ有)

タブレットには「CueZy 9 Pad Sampler」というサンプラーアプリを入れて、そこからジングルや効果音を出しています。

この春からは、外付けミキサーとマイクも手に入れたんですが、やっぱりスマホの内蔵マイクで収録したほうが「録ってる感」もあって、親近感を持ってもらえるかなという考えもあって、試行錯誤していますね。

──音質とはまた別に、大事にしている部分があるのですね。

ゆとり:もちろん、音質の良さに憧れる部分もあるんですが…… 逆に(生々しい音も)持ち味なんじゃないかな、と。その一環として、たまに何かしらの飲み物を飲みながらしゃべるようにしています。

──トークよりも、飲む音のほうが気になってしまいそうですが……

ゆとり:これが意外と反応良くて。なんか、そういう雰囲気が好きだという変態的なリスナーさんがいるんですよね(笑) 「いつも何か飲んでてほしい」って、お便りをもらうこともあって。

──また意外なニーズが……

ゆとり:「もしかしてこれって、ブルーオーシャン(競合が少ない状況)なのかな?」 って。

飲みながらしゃべるのって、お行儀悪いかなとか思ったんですけど、何かリラックスしてる感じがいいんですかね。だから最近あえて、飲み物片手に収録をしていますね。

あ、でもしじみ汁を飲みながら録った回はすごい反応悪かったですね(苦笑)具があるとダメなのかな。難しいですね。……って、勝手にこっちが感じるだけなんですけども(笑)

──1日のなかで、どれくらいの時間を制作に割いていますか?

ゆとり:現在は夫と二人暮らしなんですが、早朝、夫がまだ別の部屋にいて、たったひとりの空間になる時間があるんですよ。その間を狙って、前日の夜にあたためていたトークを朝イチで収録しています。

──前の晩に溜めていたトークを、早朝いっきに話すわけですね。

ゆとり:そうですね。明日の朝取るためのネタを、あらかじめ頭の中で練っておいて。朝になったら、それを収録するだけでいいように準備しておいて。

それが終わってから、タブレットでサムネイル用のイラストを書いたり、収録済みの音源を聞き返しながら編集をして、その日の夕方から夜にかけてアップする、というサイクルです。

──収録して即アップ、ではないんですね。

ゆとり:そうですね。すぐには上げずに、ちょっと時間を置きます。
音源を聞き直して、「ちょっと違うな」と思ったら、夕方ぐらいに撮り直したりすることも多いですね。

──編集はどのくらい行っていますか?

ゆとり:調子がいいときは、ほぼノーカットで上げることもありますし、1エピソード分をまるまる切ってしまうときもありますね。あとは「この言葉使いすぎだな」と感じる部分を切ったりしています。

聴いてもらうカギは「タイトル」と「サムネイル」

──番組を聴いてもらうために、取り組んでいることはありますか?

ゆとり:いちばんは、目の前のリスナーをすごい喜ばせること。もうひとつは、トークタイトルを磨くことですね。

やっぱり、タイトル付けが上手いトークが一番再生されるんだな、という光景をすごく見てきたので。そのうえで本当に内容が面白いと、誰かがツイートしてくれて、番組が広がっていくんですよ。

あとは、Twitterでの告知には、めちゃくちゃ力を入れていますね。
それこそ「このエピソードを1週間後に配信します」とか、「このエピソードについて、2時間後にアップします」とか、めっちゃ自分で盛り上げるツイートをして。少ないながらも、自分のTwitterをフォローしてもらっている人たちに知ってもらうようにしています。

──独特のポップなサムネイルも、印象的ですね。

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ゆとり:他の配信者の方と何か違うことをしようと思ったとき、「サムネイルに力を入れよう」と考えたんです。最初の頃はどのエピソードも同じ画像だったんですけど、せっかく1枚1枚変えられるなら、やれることをやろうと思って。

──サムネイルのコンセプトは?

ゆとり:「ジャケ買いしてもらえる絵」です。
「これを聞いてる私って、イケてるな」って、リスナーがちょっといい気持ちになれるようなサムネイルにしようと思って。いまはYOASOBIや、ずっと真夜中でいいのにといった”夜系アーティスト”でよく見かける「むらさきピンク系」を意識しています。

──サムネイルひとつとっても、考え抜かれているんですね。

ゆとり:やっぱりおしゃれな方がいいな、と思いますし。でも、「自分が好きなテイストである」ことは大切にしていますね。

もともとそんなに好きで絵を描いていたわけではなくて、あくまで番組を宣伝するためだったんですけど、リスナーさんから「サムネイルの絵が好きです」と言ってもらえて。それがきっかけとなって、LINEスタンプを発売したり、オリジナルグッズを作ったりと、発展していったのは嬉しかったですね。

番組から「新しい日々」が開いた

──番組に手応えを感じだしたのは、いつごろでしたか?

ゆとり:今年に入ってからですね。『ジャパンポッドキャストアワード2020』で「ベストパーソナリティー賞」にノミネートされたり、(Radiotalkの連携機能を使って配信している)Spotifyのポッドキャストランキングで急上昇2位に入ったり。それまではずっと空中を殴っているような感じでした。

あとは、自分の番組のイベントを開催して、実際にリスナーさんと対面したときですね。「本当にリスナーっているんだ」と、確認できたのも大きかったです。

──『ジャパンポッドキャストアワード』では、審査員のみなさんが「ゆとバズ」を絶賛するコメントが並びましたね。

ゆとり:本当にうれしくて。いただいたコメントは印刷して、いつでも読めるようにしています。夫にいたっては、秀島史香さんのコメントを読んで泣いていましたからね。

こんなすごい方から評価されているっていうことが、もうわりと、「自分のものじゃない感じ」というか。何か大きなうねりが生まれているな、という感じがありました。

──ワニブックスのWEBサイト『WANI BOOKOUT』で、コラムの連載もスタートしました。

ゆとり:『ジャパンポッドキャストアワード』の授賞式前日に、担当者の方から「やりませんか」とメールをいただいて。

直接お話をさせてもらったときに、「なぜ私に、このタイミングで声かけてくれたんですか?」と聞いてみたんです。そうしたら、「Spotifyを聞いてて、面白いと思ったからです」って。ワニブックスの編集者さんが、「ゆっ友」(※ゆとりフリーターさんのリスナーの愛称)だったんですよ。それがもう、すごく嬉しくて。

──いろんな世界に散らばった「ゆっ友」が、ゆとりさんを新たな世界へ連れて行ってくれたんですね。

ゆとり:本当にそうですね。感無量です……。
『anan』に掲載してもらったとき、声をかけてくれた担当編集者さんもそうだったんですよ。

同年代の男の子で、「編集者という立場を利用して、ファンだったゆとりさんとしゃべりたくて」と言ってくれて。トーカー冥利に尽きますね……。

リスナーは「クラスの後ろの席の子」

──ゆとりさんにとって「ゆっ友」の人たちは、どんな存在ですか?

ゆとり:私の「写し鏡」のように感じるときもあれば、「片思いの相手」のように感じるもあったり……。でも、強いて言うなら、「クラスの後ろの席の子」という感覚が一番近いのかもしれないですね。

後ろの席の子って、普段は一緒に行動することのない、たまたま出席番号が近いというだけの間柄なんですけど、意外とすごい話が合っちゃうんですよね。「最近どう?」という話題だけでも、すごく盛り上がれちゃう。

これ、私がその子の前の席だっていうのがポイントで。
私が振り向いて、一方的にめっちゃしゃべる、みたいなイメージが一番強いですね。

──なるほど!

ゆとり:前後の席って、本当に「関係がない」んですよ。近くて遠い、というか。それぞれ属しているグループはあって、話をするにしても、「そっちのほうではどんな感じなの?」という意見交換の要素が強いんです。だからこそ、話しやすいというか。

実際に私も高校のときに、後ろの席の子とすごい仲が良くて。
その子はすごくアニオタで、コスプレとか好きな子だったんですけど、私には全然そういう趣味はなくて。でも、なんだかすごく話が合って、その子とは一緒にダブルデートするまでになりました。

──なんとも面白くて、不思議な関係ですね。

ゆとり:いつもは全然一緒に遊ばないのに、恋バナで盛り上がってダブルデートだけしたことがあるっていう(笑)

よくわからない距離感なんですけど、ずっと仲は良かったんですよ。
「ゆっ友」との関係は、そんな感じですね。

「ゆとりフリーターのいるRadiotalk」と言わせたい

──ゆとりフリーターさんにとって、Radiotalkはどんな存在ですか?

ゆとり:「ライバル」ですね。
自分が配信しているRadiotalkに対してライバルっていうのも、なんだかおかしな感じですが……。

「Radiotalkがバズるか、私がバズるか」を勝手に自分のなかで競っていて。もちろん、Radiotalkのほうが有名なのは言うまでもないんですけど、私が先にもっと有名になって、「ゆとりフリーターが配信しているのが、Radiotalkというサービスらしいよ」って言われるようになりたいんです。

そこには、Radiotalkに対する恩返しのような気持ちが根底にあって。でも、恩返しと口に出して言うと、なんだか恥ずかしい気持ちがあるので……。なので、いまはライバルだと言っておこうと思います。

──では最後に、「ライバル」へメッセージをお願いします。

ゆとり:私は、Radiotalkを人間として見ているというか、人間が動いて作っているものだ、という思いが強くて。表向きはシステムとしてしか見えないかもしれないけれど、たしかに人間が作っているサービスだな、と思うんです。

運営の方々は本当にめちゃくちゃ熱意のある方々ばかりですし、数多く音声配信アプリありますけど、Radiotalkがやっぱり一番好きなんです。

だから、人というか、故郷のような感覚もあるというか。
でも、まだその故郷の中でもまだ活躍できてないんで、もっと外に出て大きくなって、故郷に友だちを連れてきたいです!

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