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おっさんが切り拓く、ラジオという名のテーマパーク【吟ノ醸さんインタビュー】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『吟酒場四号店(酒呑みおっさんトーク!)』を配信する吟ノ醸さんにフォーカスを当ててお届けします。

吟ノ醸さんは、Radiotalkが2017年にβ版をスタートさせてからの超ベテランユーザー。Radiotalkアワード2021「たくさん配信してくれてありがとう賞」にノミネートされた人気配信者です。

吟ノ醸_アイコン

ラジオトーカーうえださん主催の帯番組企画『SMASH!』では木曜パーソナリティを担当し、土日の朝は「DJジョー・ギンノ」名義でレギュラー番組『ドニチモ!』をライブ配信。Radiotalk内では日常の話題を中心に軽快なフリートークを展開するほか、リスナー参加型の企画も立ち上げるなど、精力的な活動で大きな存在感を発揮しています。

「楽しい場を提供したい」と語る吟ノ醸さん。そのモチベーションはどこにあるのでしょうか。コラボの経緯や、Radiotalkの楽しみ方をお聞きしました。

(取材・文/山本可能

“ラジオ”と名前に入っているから、Radiotalkを選んだ

――すでに配信でも明かされていますが、あらためてプロフィールを教えてください。

吟ノ醸:東京在住のサラリーマンのおじさんです。特徴はお酒が大好きというくらいで、あとは皆様のご想像にお任せしています。

――Radiotalkでの配信をはじめたきっかけは?

吟ノ醸:その昔、テーマパークでアトラクションのお兄さんをやっていまして、お客さんを自分のしゃべりやアドリブで楽しませるのが好きだったんです。でも、おじさんの今となってはそういうところに立つこともなかなかできなくて。そんなときRadiotalkに出会って、「しゃべりで皆さんを楽しませることができる世界を見つけた!」と思い、配信を始めました。

ーー数ある音声配信アプリのなかでRadiotalkを選んだ決め手は何だったのでしょうか?

吟ノ醸:そのものずばり、「ラジオ」という名前が入っていたからですね。ネットならではの音声配信というよりも、ラジオがやりたかったんです。僕が思い描いていた学生の頃のラジオの世界がここだったら実現できるんじゃないか、だってラジオって書いてあるもん! と思って。

――ラジオって、吟ノ醸さんの中では特別な感じがあるんですね。

吟ノ醸:学生時代、勉強しながらずっと聴いていました。夜聴いて、翌朝友達と番組について話したり、というように、青春の中に取り込まれていました。

具体的には『伊集院光のOh!デカナイト』(ニッポン放送、1991〜1995年)時代の伊集院光さんとか、岸谷五朗さんの『東京RADIO CLUB』(TBSラジオ、1990〜1994年)とか、宮川賢さんとか。深夜枠の放送で、ラジオをこうやって楽しんでたなというのを、自分の心の奥の引き出しから持ってきて、参考にしています。

収録、ライブ、それぞれの特性を活かした番組作り

――普段はどのような環境で収録していますか?

吟ノ醸:家の中では、一昨年ぐらいからミキサーとマイクを導入しています。BGMを流したかったのというのと、せっかく聴いていただくんだから、いい音質で届けたくて。

トロフィ

屋外では、スマートフォンにイヤホンマイクを挿してしゃべっています。スマホひとつだけでトークができるという点もまた、Radiotalkの持ち味ですね。

ーーどんな時間に配信していますか?

吟ノ醸:夜、仕事が終わった後、お酒を飲むタイミングでライブ配信をしています。「みんなで乾杯!」ということで、マイクの前で缶チューハイをカシュッっと開ける音も拾わせて、飲みながら・・・・・・ という感じですね。

それから、土日の朝ですね。こちらは夜とはまた違い、休日の朝にみんなで早起きを楽しもう! というスタンスでやっています。

――収録トークとライブ配信は、それぞれどのように使い分けていますか?

吟ノ醸:ライブ配信が本当に手軽なので、比率としてはほぼライブが多いですね。一方、収録トークでは「いつ聴いても楽しめる」ことを意識していて、収録ならではの面白さを感じられる企画に取り組んでいます。

ーー収録ならではの企画・・・・・・ どんな企画ですか?

吟ノ醸:たとえば「酒レポ」という企画です。近所のスーパーやコンビニにある新製品で気になるものを買い、ファーストインプレッションを収録しています。

ーーこれは楽しそう! 聴いているだけでおつまみが欲しくなります。

吟ノ醸:いわば、食レポのお酒版ですよね。パッケージを見て、開けて、匂いを嗅いで、一口目を飲むまでを収録するというのを10回以上やりました。

みんなが楽しめる「テーマパーク」としてのラジオ

ーー吟ノ醸さん発案の企画として、参加者が1分間の一発録りでテーマトークを繰り広げる『超ライトニングトーク』がありますね。いまやすっかりRadiotalkの名物企画です。

吟ノ醸:Radiotalkの収録トークは最大12分まで可能ですが、12分という時間がすごく長く感じて、収録するのに二の足を踏んでいる人もいるんじゃないかと思ったんです。ならば「1分だけのトーク」だったら、ハードルも下がるし、気軽に収録できないかな、と。そこで、「みんなで1分間のトークをして、アップしましょう」というシンプルなルールの企画が生まれました。

ーーひとつのトークが1分という短さもあって、次から次へといろんな人のトークを聴いてしまいますね。

吟ノ醸:そうなんですよ! 10人しゃべれば10分、60人しゃべれば60分の“番組”が出来あがるのが、この『超ライトニングトーク』の面白いところなんです。『爆笑レッドカーペット』のような、ショートネタのお笑いと同じ感じですね。

ーー『超ライトニングトーク』をきっかけに、地上波のラジオパーソナリティーとしてデビューした方もいるとか。

吟ノ醸:僕のライブ配信のリスナーさんだった方なんですが、勇気を出して『超ライトニングトーク』でしゃべってくれたんです。それをきっかけに、今や収録もライブも毎日のようにやるようになって、ついには台湾の地上波ラジオでデビューを果たしました。

ーーいろんな方を「ラジオトーカー」として開花させていますね!

吟ノ醸:自分を主役にするような番組企画で何かを提供するというのが苦手なんですよね。そのかわり、みんなが参加して楽しんでもらう企画を考えるのが得意なのかもしれません。

――みんなが楽しめる場を作る、というところに最大のモチベーションがあるのですね。

吟ノ醸:僕が楽しませるというより、みんなが楽しめるようにお手伝いするのが好きなんです。そういう意味で僕の原点は「テーマパークのお兄さん」なのかもしれないですね。いろんなものを提供して、みんなに体験して楽しんでもらう。そういう場としてRadiotalkを考えているんだと思います。

収録トークの「おたより機能」を活性化させた企画

ーー配信者にメッセージを送る企画「おたよりWEEK」では、Radiotalkの収録トーク画面の「おたより機能」の利用を呼びかけていましたね。この企画は、機能そのものの盛り上がりにもつながりました。

吟ノ醸:ライブ配信ではみんなコメントを打つのに収録トークの「おたより機能」はあまり注目されていないように感じたんです。

「おたより機能」でおたよりをもらうと、めちゃくちゃ嬉しいんですよ。リスナーとトーカーがもっとコミュニケーションをとれるきっかけにもなるし、もっと気軽に使ってもらいたいなと。「おたよりWEEKだから送ってみました」と、おたよりを送る口実にしてほしいなということで始めました。

ーー実際にこの企画をきっかけとして、「おたより機能」を使ってくださる方が増えました。ありがとうございます!

吟ノ醸:それは嬉しいですね! おたよりをもらうと嬉しくなるし、嬉しいと、他の人にも届けたくなる、といういい流れが生まれて、おたより機能の活用にもつながっているように思います。

――もはやRadiotalkのサービスそのものを企画していただいているような様相です。こうした素敵な企画はどこから生まれるのですか?

吟ノ醸:ゲーム業界で企画の仕事をしてきた経験が活きているのかもしれません。俯瞰的に見て、いまRadiotalkの世界ではこういうニーズがある、というのが自然と見えてくるんです。それに対して、いちユーザーとして動けることは何だろう、ということから考えます。

――マーケターの発想ですね。

吟ノ醸:ビジネス的にまだ耕してないところを耕すような感覚に近いかもしれません。

Radiotalkには日々いろんな機能が追加されていますが、まだまだ足りない部分も多く、要望の声も多くて。ただそこで不満を言うよりも、それをチャンスととらえて企画を考えるのが僕のスタートラインです。「この機能を使って何をやろうか」と考えをめぐらせるのも、Radiotalkの楽しみ方の一つですね。

コラボ配信で「自分の大好きなラジオ」を実現する

――吟ノ醸さんは、ラジオトーカー同士でのコラボ企画にも積極的ですね。「Radiotalkで“帯番組”をやる」というラジオトーカーうえださんの企画『SMASH!』にも木曜パーソナリティとして参加されていますが、どのようなきっかけから始まったのでしょうか。

※ラジオトーカーうえださんへのインタビュー

吟ノ醸:うえださんから直々に「やってみませんか」とDMをいただきまして。コンセプトが「コメント欄を読まずに、ライブを」つまり、ラジオ番組をやりたいということだったので、ぜひ、とお返事をさせていただきました。

――『SMASH!』には、どのようなコンセプトで臨んでいますか?

吟ノ醸:ずばり、「ラジオごっこ」です。番組ジングルで始まって、コーナーやって、いただいたお便りのネタを読んで、プレゼントにステッカーをあげる── ラジオ好きならば絶対やってみたいことを「SMASH!」という番組で実現したんです。

ーーたしかに! ラジオ好きならば一度は憧れることばかりですね。

吟ノ醸:「この番組特製のステッカーをプレゼントします!」という台詞、ずっと憧れていたんですよね(笑)。僕もめちゃくちゃ楽しかったし、リスナーの皆さんも楽しんでくれたんじゃないかなと。

休日の朝、布団の中で聴いたラジオをもう一度

――土日の朝に配信している『ドニチモ!』も、まさに朝のラジオ! といった雰囲気ですね。

吟ノ醸:『ドニチモ!』は、僕によく似た「DJジョー・ギンノ」と、同じく人気ラジオトーカーのソワちゃんによく似た「DJチャン・ソワ」さんと2人でやっています。

ーー2人で30分ずつ配信するという構成も特徴的です。

吟ノ醸:DJチャン・ソワさんの代理人のソワちゃんさんから「朝の番組にジョインさせてもらえませんか」という話があって、2部構成でやることになりました。土日のモーニングでやるから、タイトルは『ドニチモ!』。タイトルが決まった後はトントン拍子で話が進んで、その週末にはもう番組をスタートさせていましたね。

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ーー休日朝のラジオって、平日とはまた違った空気感ですよね。

吟ノ醸:これは僕が子どもの頃の話なんですけど、父親がすごくラジオ好きで、土日の朝も布団の中から手を伸ばしてラジオのスイッチを入れていたんです。ラジオの音で起きて、いろんな情報やおしゃべりを寝ぼけながら布団の中で聴くというのが、僕にとってラジオの原体験でした。

おかげで「土日の朝といえば、ラジオ」というのが刷り込まれまして。毎週ほぼ休まず続けて、気づけば1年半ほどになりました。

――このインタビューは土曜の朝10時に伺っていますが、今朝の『ドニチモ!』はどのような感じでしたか。

吟ノ醸:今日の第1部は、カレーの話でした。30分間皆さんからいろんなカレーの話をコメントで寄せていただきました。

後半の第2部DJチャン・ソワさん枠でもカレーの話題に触れつつ、番組の最後の名物コーナー「チャン占い」が毎度すごい盛り上がりで。あのコーナー、いつもコメント欄の勢いがすごいんですよ。

――カレーと占い、盛り上がりそうですね。

吟ノ醸:やっぱり食べ物の話題は盛り上がりますね。こんなふうに毎週毎週土日ずっと続けてまして、ありがたいことに「このラジオを聴くために早起きをしている」と声を多くいただくようになりました。Radiotalkの中では一番古い老舗の定例ライブ番組になるのかな、と勝手に思っています(笑)

おじさんはラジオで輝く時代

――配信を続けるうえで、大切にしていることはありますか?

吟ノ醸:しゃべりのメディアなので、言葉遣いには気をつけていますね。テーマパークで培ったことなのですが、否定する言葉を使わない、ネガティブな話をポジティブに置き換える、なるべく柔らかい言葉でコミュニケーションする、といった点はとくに意識しています。

たとえば、コメント欄でネガティブな体験談が挙がったら、「見方を変えれば、必ずしも悪くはないのでは」とフォローしたり。自分の貴重な時間を割いて、こんなおじさんの話に耳を傾けてくれる人に、少しでも「聞いてよかったな」と思ってもらいたい気持ちが強くあります。

――言葉によって生まれる「気持ち」を大事にしているのですね。

吟ノ醸:言葉に宿る「言霊」って、僕は実在すると思ってるんですよ。だから言葉の表現をきちんと考えて、コメントを見ながら聴いてくださっている方はもちろん、コメントを見ずにながら聴きしているような方にも楽しんでもらえるようにと考えています。

――たびたびご自身を「おじさん」と表現されていますよね。ラジオをやるうえで、”おじさんであること”は重要なこだわりポイントなのでしょうか。

吟ノ醸:最近だと、テレビプロデューサーの佐久間宣行さんのように「おじさんの星」的な立ち位置で活躍しているパーソナリティもいますよね。ラジオや音声配信って、おじさんでも太刀打ちができるメディアなんじゃないかと思うんです。

ーー”おじさんであること”が、ラジオにおいては強みとなるのですね。

吟ノ醸:とくにRadiotalkは、おじさんが輝く場所だと思うんですよね。他のサービスに比べても大人な人が多くて、それが独特な居心地の良さを生み出している気がしています。2021年末に行われた「Radiotalkアワード」でも、受賞者を含め、会場にいたのはほぼおじさんでしたし(笑)

そうだ、ひとつ話してもいいですか。

――なんでしょう。

吟ノ醸:ありがたいことに、有志の方が「Radiotalkおじさんアワード」というのを開いてくれまして。そこでグランプリに輝きました。

これ、初お披露目なんですけど・・・・・・ 見てください、受賞トロフィーです。

吟ノ醸_配信風景

ーー本格的!

吟ノ醸:すごくないですか!? ちゃんと名前も入っているんですよ。Radiotalkにもいろんな企画がありますが、トロフィーをもらったのは僕だけじゃないですかね。

――これはやりがいにつながりますね。

吟ノ醸:めちゃくちゃ嬉しかったです。単なるおしゃべり好きでお酒好きのおっさんがこうして注目を得られて、自分がしゃべることに共感してもらえるなんて世界、なかなかないですよ。いつも楽しみを与えてくれているRadiotalkには本当に感謝していますし、すごく早くから食らいついてよかったと思います(笑)

――おっさんの地平線を切り開きましたね。吟ノ醸さんはもはや、Radiotalkの佐久間宣行さん的存在なのでは。

吟ノ醸:そこまで言われると恥ずかしい(笑)。でも実際、「過去に音声配信を試したことはあるけれど、あまりハマらなかったな」というおじさんがいたら、一度はRadiotalkに触れてみてほしいですね。きっと温かくて優しい世界観を感じ取れると思いますし、それこそがRadiotalkの素敵なところだと思います。

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