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驚きのラインナップ!福知山市「夜久野化石・郷土資料館」(博物館レポート)

はじめに


(※2020年12月に書いた記事を移動しました。特別展は2020年12月のものです)

旧石器時代の遺物が見たくて福知山の山奥にある夜久野化石・郷土資料館に行って参りました。(田舎だし、車で行けるし、リスキーではないだろうという判断です)

久々の博物館でかなりうれしく、意外な展示品がたくさんありましたので、忘れないうちに書き留めておこうと思い書きます。


後期旧石器時代の遺物が出現!稚児野遺跡

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まずは、特別展の話です。

今回の出土品が発見された稚児野遺跡は、福知山市夜久野町にある旧石器時代~平安時代の遺跡です。なんと旧石器時代の出土品は、約3万年前に噴火した姶良丹沢火山層よりも下の地層から出土したもので、約36000年前のものと考えられています。

出土品は約700点あり、このことにより京都府で最も出土点数の多い後期旧石器時代の遺跡となったそうです。

遺跡の中には集中部と呼ばれる、石器が集中して見つかる場所があります。ここで、旧石器時代の人々が石器を製作したり使用したと考えられており、サヌカイト、チャート、黒曜石、頁岩(けつがん)が使用されています。

このうち頁岩は地元で入手できますが、

黒曜石は島根県隠岐諸島から、

サヌカイトは奈良県と大阪府の境にある二上山周辺から、

チャートは丹波山地から運ばれたものと考えられています。

他の地域の遺跡でもみられることですが、遠隔地からの材料や技術が伝わっていることが分かり、どうやって交易していたのかなぁ~なんて想像が膨らみます。


姶良丹沢火山とは・・・約2万9千年前~2万6千年前に噴火した鹿児島湾北部の火山(現在の桜島周辺)で、火山灰は京都府で約40cm、東北南部でも5cm以上降り積もったと言われています。


館内には、ナイフ型石器、黒曜石剥片、掻器、削器、石核(石器を作った際に残った原石)、たたき石(手で握って使うハンマーなようなもの)、磨製石斧などが展示されていました。

実際にこれらを使って生活していたのだなぁ。石をカンカン!と割っている様子が想像されるようでした。

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常設展

〇周辺地域の歴史的出土品など

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特別展に加えて、歴史的遺物の展示に、周辺地域の古墳がありました。


その中でも長者森古墳からの、鉄刀、耳環(イヤリング)、管玉(ひもに通してネックレスなどにする筒状のビーズ)、

太田森古墳鉄刀、馬具一式、須恵器

八ヶ谷古墳出土5世紀の堅櫛(髪飾り)など、なかなか豪華な出土品を見ることができました。

また、壊れた壺の底の部分を利用して漆を塗る作業の皿のように使用していた痕跡が残る奈良時代の遺物もあります。

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さらに丹波最大級の50基を超える登り窯の「末窯跡群」から出土したさまざまな器がありました。この登り窯は古墳時代から操業を始め、奈良時代に最盛期を迎えたと考えられています。


〇グローバルでびっくり!な数々の展示品

この博物館のすごいところは、展示室は小さいながらも、時間軸と空間軸の広さにあります。
吉井昌平さんという方が世界各地から採取、そして寄贈されたそうで、こんなものまで!?と驚くような展示品ばかり。大人も子どももわくわくでした。

一例を紹介します。

20万年前のナウマン象の臼歯(香川県)&5万年前のマンモス象の牙(ロシア)

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アンモナイトも数種類。(ドイツ、モロッコ。1億年ほど前)

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ジュラ紀の恐竜の糞(アメリカ)

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4億5千万年前の三葉虫の化石(モロッコ)

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などなど、個人的に印象的な品々を紹介しましたが、この他にも琥珀、虫や葉っぱ、貝、カニなどほんとうにあらゆる化石があります。

実際に本物をみることで、〇億年前とか〇万年前が身近に感じられ、恐竜やマンモスなどが本当にいたんだ~!という実感を持てるような感覚があり、帰った後もわくわくが止まりませんでした。

子どもたちもお気に入りの展示品を見つけて喜んでいましたよ。


夜久野化石・郷土資料館に行ってきた・まとめ

夜久野化石・郷土資料館は、こじんまりとしてはいますが、驚きの内容の博物館でした。

特別展はもう終わってしまいましたが、常設展だけでも、化石などが好きな方はとくに楽しめる博物館です。

子育て&田舎に引っ越したことで、博物館から遠ざかっていた私ですが、久々の博物館にとてもワクワク幸せ気分になりました。

近くに温泉や物産館もあるので楽しめますし、田舎ですのでさほど密ではありません。

じっくり見たい私とは違って、4人の子どもたちはアンモナイトや鉄刀に感動はしていたものの、すぐ飽きて騒いでしまっていたのですが、温かくお許しいただき有り難かったです。

この場を借りて感謝申し上げます。

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