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エンドロールには早すぎる、その後

 今思い返してみても特別な1日だった。下北沢の南の端、通い慣れたはずの場所がいつもと違って感じられた。階段を降りていくとまだ受付も用意されていなくて、よく知った人の知らない一面を覗き見てしまったようなドキドキした気持ちになった。

 2018年12月3日。私は下北沢のBASEMENTBARという場所で企画を打った。

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 文字にしてみるとたったの一行であらわせてしまうけど、とてつもなく大変なことだった。
 自分の好きなアーティストを頭に浮かべ、勇気をもってメールを送る。毎回しつこいくらい先輩に文章を添削してもらって、返事がくるまで震える思いで待つ。正直返事を待っている時間は他のことには何も手がつかない。断られたらどうしようが半分。もし出演してくれることになったらそれはそれでどうしようが半分。何度も何度も当日のことをイメージしながら1組ずつ曲を聴いていく。
  好きなアーティストの曲は聴けば聴くほど新たな発見があって、そうした1つ1つの気づきみたいなものをどうやったら他の人に届けられるか、毎日考えていた。

 ブッキングはかなり順調にいったと思う。ほぼ理想通りの組み合わせになったし、予想を超えた部分は結果として新しい発見につながった。
 フライヤーも友人を頼って作ってもらい、解禁してからは毎日のようにライブハウスに行って配った。そのとき初めてライブを観たアーティストもたくさんいて、その中には今でもライブを観に行くアーティストがたくさんいる。

 もう1つ印象的なのはこの企画を解禁した時のこと。会議が終わってからいつもの通りの流れで行った居酒屋で、他のメンバーに見守られながら解禁した。じわりじわりとツイートに対するリアクションが増えていって、その全部が嬉しかった。
 ああいう感動はたぶん心の底から純粋な気持ちで物事に向き合った時にしか感じられないものだと思う。自分の話のくせして生意気だけど、あんな経験をできる人はそういないはずだ。

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 当日のことは書き始めたらきりがないので今回はやめておこうと思う。直接ライブハウスで会った時に聞いてくれたらいくらでも話せるし。
 ロクステのメンバーとして企画を打つことがこれからあるかどうかは分からない。コロナのせいで流れてしまった企画もあるし、昔みたいな熱量で企画を打てる自信も正直ない。

 でもライブハウスが自分にとって大切な場所であることはかわらないだろうし、そんな気持ちを誰かと話し合えたらと思う。

 もしもライブハウスに興味があって、その興味を企画という形にしてみたい人がいたら是非ロクステに来て欲しい。
 企画に興味がなくたって音楽が好きなら誰でもいい。いっそ嫌いであってもいい。何か新しい場所を探している人にとってロクステは本当に刺激的な存在であるはずだ。

 まずは軽い気持ちで連絡をください。会える日を楽しみにしています。それでは。


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