来年こそは
今年は五部咲き〜満開の桜を見ることができなかった。
ひと月近く前の僕は、何日も連続して、桜の木をふと視界に入れる余裕もない日々を送っていたようだ。
天候にも恵まれていなかったと思う。透明ではない僕の傘は、信号を見るために持ち上げるだけ。
もうすぐ開花かな、でもこれ梅かもな、どちらだろう、などと思っていて、その次に見た時はピークを通り越した葉桜だった。
4月9日に撮ってもらった写真には、風に吹かれているそれや僕が映っていた。
自分がどれだけ辛いと思っていても人から見れば何ともないような状況、海外で何倍も大変な思いをしている人たちに比べたら、そんな日本人はきっと多い。
電車は遅延があってもだいたい毎日動いてくれる。
災害の地域を除けばライフラインも問題ない。
国単位で物理的な攻撃を受けているわけでもない。
むしろ観光業を中心に、年に数回レベルの繁忙期の真っ最中だ。
たくさん働ける身体があるなら充分。
その隙間にある不満から目を離せる心の余裕があるかないか。
満開の桜を見ると何か勇気や前向きな気持ちが生まれるのは不思議な現象だ。
来年こそは、ちゃんと満開の桜を見たい。
まずは天候に恵まれますように。
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