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広い空を求めて

先々週までは、夜の間に雨が降ったり、室内にいる時に通り雨があったりと、今年の僕は雨に当たらない運勢の人みたいなものだと思っていた。

ところが先週に入って、それまでの負債を精算するかのごとく、僕が外にいる時に限って通り雨に降られる日が続いた。

今年は雨に当たらないと勝手に思い込んでいたので、雨具をろくに装備していなかったし、まさか2日連続で当たるなんてことは、3日連続で当たるなんてことは、などと言いながら結局3日連続で雨具ほぼ無しで雨に当たってしまった。

気温の高い日は水気をまとうくらいで丁度良いと思っていたが、2日目の夜になって、ちゃんと熱が出始めた。

2019年までは、雨に打たれて熱が出ただけですと伝えれば仕事ができていたものが、今は有無を言わさず休めと言ってもらえる。

発熱とひどい頭痛だけなんだから在宅ワークでありながら普通に仕事ができるだろう、と当初は休む気ゼロだったが、人間とは良くも悪くも順応性を持つ生き物で、頭が痛すぎて思考が定まらない2023年の僕は完全に「仕事にならない人」になっていた。

2019年まではこんなんじゃなかったはずだけどなあ、僕。

好きな音楽をボリューム控えめで聴き、時々起き上がってストレッチ。

横になりっぱなしより多少動かす方が熱が逃げていく、気がする。


僕なりに爽やかに発熱生活を終わらせた今日の昼過ぎ、空は奇麗に晴れていた。

先週はあんなに雲続きだったのに、抜けるように青い空とはよく言ったもので、僕の中のくすぶっているものや居心地の悪い過去の記憶を全部空の先に投げ飛ばせるんじゃないかと思わせるような色だ。

宇宙からすれば迷惑だろうな、精神的な宇宙ゴミを投げつけられるようなものだ。

僕がいる地上はビルとビルに挟まれていて、もっと広い空を少しだけ見てみたくなり、ちょうど側には屋上付きの商業施設があった。

ここの屋上には以前行ったことがあり、自由気ままに屋上まで出入りできて、しかも周辺にはここより高い建物が少ない、言わば広い空が自由に拝める、都会なりの隠れスポットであることを僕は知っていた。

寄り道をして施設の中に入り、エレベーターに乗って最上階のボタンを押すものの、反応がない。

今日は今日で暑さにやられ、何度かボタンを押していて途中で気がついた。

ボタンを押すたびに「この階に止まることはできません」とエラー音声が出ていた。

自動音声とは言え、何度も同じ事を言わせてしまって申し訳ない。

理由は分からないが、とりあえず屋上の一つ手前の階なら降りられるようなので、そこから階段を使って昇れば良い。

エレベーターから降り、すぐ近くにある階段へと向かう。

僕の前に立ちはばかったのは「屋上工事中につき立入禁止」の札。

ああ、だから屋上にエレベーターが止まれなかったのか。

久しぶりに広々とした青空を拝めると思っていたが、まあ、こんなこともあるだろう。


今日は、立春を1日目としてその220日目に当たる「二百二十日」という雑節の日らしい。

台風が襲来しやすく注意すべき時期として昔から定められているようだが、今日は見事な晴天だった。

雨具を持たない時にだって雨は降る、台風なんてそもそも年の半分近くは油断ができない。

予定調和になんてならないからこそ、自己管理が大切なんだ。

発熱はやっばりつらい。

天気予報はちゃんとチェックしよう。


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