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書評 大人の週末起業 藤井孝一著

著者が「週末起業」を出版したのは2003年。小泉内閣が2年目を迎え、株価はその4月にバブル後最安値となる7607円を付け、金融界ではりそな銀行に公的資金が投入されるなど、90年代後半の混とんとした時代が、まだ尾を引く時代だった。そんななかで、終身雇用は崩壊し、新たな価値を見出すような本が話題になっていた。同じ時期に世に出ていた、森永卓郎の「年収300万円時代を生き抜く経済学」、辰巳渚の「捨てる技術」が売れたのも、従来の価値が崩壊した直線上で、人々の気持ちを何かしら揺さぶるものがあったからであろう。

2003年に出された「週末起業」は、価値崩壊を背景にしつつ、会社を辞めずに、自分の好きなことやスキルを活かしてビジネスを始めよう、というのがそれまでにないコンセプトだった。当時アラサーだった小生も、この本を読んでしばらくしてから、週末起業のセミナーに通い、そろり実践した。ただ、その後は本業や当時は通信教育で勤労学生であったことなどもあり、やっている時期、やっていない時期があったりしている(汗)。

そんななか、今回機会があって、著者が比較的最近出した本を読んだ。ターゲットは定年まであと10年くらいのアラフィフということもあり、どちらかといえば、あまり冒険せず、これまでの仕事、好きな領域をテーマとしつつ、限られた時間のなかでできる週末起業を勧めている。もうすでに始めている人には物足りない内容かもしれないが、これから始めようか悩んでいる人には向いている内容かもしれない。

#書評 #週末起業 #藤井孝一