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2022年 Ruffian総括 vol.4

極上にうまい飯

食い意地が張っている方だとは思うが、心から「うまい」と思えた飯にはなかなかありつけていない。実は。
これまでに「うまい」と思った飯は、大学時代に道半ばで挫折しそうな私を励ますために作ってくれた父親の野菜炒めと、取材がうまくいったときの徹夜明けのカレーヌードルくらいである。

今回これらに勝るとも劣らないうまい飯にありつけられた。
PUBG MOBILE OPEN TOURNAMENT phase2が終わって、約1週間後に食べたカップ焼きそば大盛りだ。
とにかく腹いっぱい食べたいという衝動にかられ、甘辛いソース味のそばが吸い込まれるように胃に入っていった。
うまい…。
何か肩から荷が下りるというか、身体が弛緩していく感覚があり、何カ月ぶりかに大きく息を吸うことができた。

こんなに神経すり減らさなければならないなら、esports運営はもういいや。
正直そんな考えが頭をもたげていたのが、PMOT期間中のこと。
私はまたしても挫折しそうになっていた。

お前はもうこの世界に片足突っ込んでんだから、いい加減覚悟決めろよ

初めて海外ドキュメンタリーの企画を通した週の休日、私は上司からの電話に出なかった。正しくは出れなかった。いろいろ言い訳はあったが、もう取材が差し迫っているにもかかわらず、内容が詰められていなかった。
大手メディアでのデビューを飾ろうというのに、間の抜けた緊張感のなかった私。
ドキュメンタリーの師匠から大目玉をくらった。
休むなとは言わないが、やることはやれ。
中途半端な奴がやれる番組じゃねえんだぞ。
まだ20代半ばの小娘にとっては非常にセンセーショナルな出来事で、一刻も早くこんな世界から逃げてしまおうと思っていた。
ところが、この大目玉の後にじわじわ負けず嫌いが顔を出し、いまではドキュメンタリーの世界にどっぷりとハマってしまった。
逃げたかったなんて自分の心情は、今はもう思い出せない。

それと同じくらいの衝撃が、PMOTの決勝にはあった。
プロリーグ目の前まで、健闘した選手たち。
おいおばさん、esportsなめてんじゃねえぞ。
彼らからそんな風に喝を入れられた気がして、しばらく心が萎えていた。

するすると大盛りのカップ焼きそばを平らげて、私は、もうやりきるかと思った。
骨の髄からの腹をくくれた瞬間だった。

あなたは選手たちの将来に責任が持てますか?

私がRuffianを立ち上げる時に、とある方から投げかけられた言葉だ。
スポーツにしろesportsにしろ、選手たちは皆、引退を迎える。
その後の彼らの人生について、考えたことがありますか?
目先の勝った負けたに一喜一憂して盛り上がるのは大変結構。
ただ、選手たちにも人生がある。
その生き様、引退後に関してもちゃんとケツ持てるのか。

esports選手の平均年齢は非常に若い。
社会に出る前のまだ子どもの彼らが、いきなり大人たちの私利私欲によってスポットライトの当たる場所に駆り出され、いいように踊らされ、その後に関しては知らんふり。我関せず。
私にこの言葉をかけてくれた方は、そんな実態を目の当たりにしてきたという。
引退後の選手たちの悲惨な実態もあるという。
その事実から目を背けないでほしい。

私には今、挑戦し続けていることがある。
その事業すべて、選手たちのセカンドキャリアにつながるものにしようと、ない頭を回して考えている。

私は若いころ随分と大人たちからおせっかいを焼いてもらい、実力以上の実績を積ませてもらった。
今度は私の番。
若者たちの才能を、この目の前で花開かせて見せようではないか。
Ruffian第二章が、ますます楽しみになってきた。

終わり

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