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外銀、PE、トヨタで働くイメージができるおススメの経済小説3選

こんにちは、アールです。

今回は休憩時間などに気軽に読むことが出来て、学びのあるおススメの経済小説3選を紹介したいと思います。

経済小説は細微にわたる情景の描かれており、感情移入がしやすいこともあって、あまり馴染みのない分野の取っ掛かりとしては非常におススメだと思っています。

1. 「獅子のごとく」黒木亮著

ゴールドマンサックスの日本支社社長である持田昌典を題材として、主人公の逢坂丹がいかに米国の巨大投資銀行でアジア人で唯一本社経営委員会に名を連ねるようになったか、をダイナミックに描いています。私がこの本が大好きな理由は、各登場人物の心境を読者にイメージさせながら、ほとんど事実に近い形で日本の金融市場で起こっていたことをわかりやすく描いていることです。堀江貴文のライブドア村上ファンドとして騒がれた村上世彰、名前は仮名となっています西武グループなどが登場し、あたかも自分がその時代にタイムスリップしたかのような感覚を味わわせてくれる至極の作品だと思います。主人公の逢坂丹の異常なまでにM&Aディールにおける勝利に執着する姿にはある意味清々しさを感じることが出来るほどで、投資銀行を志望している学生・社会人に必ず読んでおいてほしい1冊となります。​

2. 「Exit」勝間和代、奈部真著

こちらはPEファンドやコンサルを志望する人におススメの一冊です。マッキンゼーやJPモルガン証券を経た勝間和代が、そのキャリアから得たビジネスメソッドのすべてを、このストーリーに生かしていると感じることができ、読み終わるのがもったいないほど面白いと感じた内容でした。内容としては外資PEファンドから、業界再弱の通信社会にターンアラウンド(再建)を託され送り込まれた小柳亜希子が、1年以内に成長戦略を立案実行しトップラインを押し上げること、さらに1年後には好条件でエグジット(売却)を完了させることをミッションとして挑戦する姿を細部までこだわって記載しています。実名こそ出てきませんが、亜希子が送り込まれた先のリテアというPHSの会社はウィルコムをモデルにしていると考えられ、通信業界の内実、戦略コンサルティングファームの手法、外資ファンドの思考など、3つの業界を横断的に学べる1冊かと思います。

3. 「トヨトミの野望」梶山三郎著

これもまた経済小説を取り上げる上で絶対に外せない一冊だと思います。経済小説の体でフィクションを謳っていますが、本書のトヨトミと言われる会社はトヨタであることは誰の目にも明らかです。題材は愛知県豊臣市に本社を構える世界的自動車企業、トヨトミ自動車。フィリピンに経理として左遷されていたどん底から這い上がり、社長に昇りつめる武田剛平は元経団連会長の奥田碩氏だと考えられます。創業家とはなんの関係もないサラリーマン社長は、その豪腕で世界に先駆けてハイブリッドカーの量産に挑戦します。一方、トヨタ社長である豊田章男をモデルにしているであろう創業家出身の豊臣統一は入社以来、豊臣家の七光りと陰口を叩かれながらも、いつの日か武田剛平を越えてやろうと野心を抱いていました。自動車王国アメリカでのロビー活動、巨大市場中国の攻略、創業家との確執の実態など世界と戦う企業の経済戦争を描いた内容はあまりにも生々しく、それでいて読む手を離すことが出来ませんでした。どこまでが本当でどこまでがフィクションなのかは分かり兼ねますが、巨大自動車企業に極めて近い経営者は99%が事実と言い切っています。一方で、良識ある自動車業界担当の官僚は、「まあ、半分くらいじゃないですかね」と口を濁していたりと、本書が発売された当初は名古屋界隈の書店から本書はすべて消えたという話が出るくらい話題となった本で、上の2つがプロフェッショナルファームの実像を表した本だとすれば、本書は世界的な事業会社の内情を世間に知らしめした力作だと断言できます。

以上いかがだったでしょうか。この3つの本を読んで共通している凄さは、どれもリアルで非常に生々しさがあることです。各作品の著者それぞれが圧倒的な取材をもとに自分の言葉でストーリーを仕立てており、それこそが私自身が読んでいる手を離すことができなかった大きな要因だと思います。ぜひ手に汗にぎりならが楽しみ、それでいてビジネス思考や知識を身に着けてもらえれば幸いです!


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