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患者さんを捉える  - 肘関節屈曲可動域制限と他動屈曲で痛みがある症例 -

以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。

情報)
子供の頃に左上肢の怪我をした。

その後、左肘関節屈曲の可動域制限が起こる。

                                                   右


また、他動屈曲で左肘関節内外側にズキンとした痛みがある。

痛みの部位


痛みは回外位の屈曲で起こり、回内では起こらない。

痛みあり


痛みなし


Q)可動制限と痛みの原因は?

A)ヒントは回外で痛み、回内で痛まないことである。

Q)この差は何から来るか?

A)回内は骨性の肘関節安定化、回外は靭帯を中心とした安定化が行なわれている。

回内で近位橈尺関節の骨は合致する。

J.CASTAING 他著 井原秀俊 他訳 : 図解 関節・運動器の機能解剖 上肢・脊柱編 より引用


また、側副靭帯は屈曲で内側、屈曲と伸展で外側が緊張する。

AnneM,Gilroy 他著、坂井 建雄監訳、市村浩一郎 他訳:プロメテウス解剖学コアアトラス第2版より引用


そこから、痛みと可動域制限は靭帯性の可能性がある。

Q)アプローチは?

A)側副靭帯の伸張性を上げる。

Q)方法は?

A)肘関節を90度屈曲位で上腕遠位を固定して、前腕を牽引しながら内外反方向へ他動的に動かす。

90度にした理由は、セラピストがアプローチしやすいからである。


Q)結果は?

A)可動域は拡大し、痛みは減少した。




最後までお読み頂きましてありがとうございます。




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