見出し画像

働きづらさは「宿直」と「動線」にあり!キャンプ場で働く女性のリアルとは

Recampでは、メンバーが安心して働けるよう労働環境の改善に取り組んでいます。とりわけ、キャンプ場運営には屋外での力仕事や宿直業務が多く、在籍のほとんどを男性が占めているため「キャンプ場での女性の働きやすさ」に着目しています。
この動きを通して、多くの女性にもRecampに加わっていただき、多様な視点からサービスを向上させ、ひいてはアウトドア業界全体を盛り上げていきたいと考えています。

そこで今回、「キャンプ場での女性の働きやすさ」をテーマに座談会を実施しました。女性メンバーのリアルな意見をお聞きください。


Q1.「ここが働きづらい・改善してほしい」と思うものはありますか?

中島⛺:キャンプ場の仕事には、フィールドとストア(※)がありますが、フィールドは男性メインの仕事になっているなと感じます。その中でも特に思うのが道具。芝刈り機などは重く、継続して作業するのがつらい。もっと軽いタイプがあればまた違うのにと思います。
(※フィールドは主に剪定や草刈など屋外で行う仕事、ストアは主にフロント対応やサイト管理など店舗内で行う仕事。)

上岡🌸:勝浦では、私が剪定しやすいようにと特別に機材を購入してくれました。剪定をがんばってくれているからと、予算を自分たちで工夫して管理しながら、作業効率が上がるような機材や道具など。昔はなかったのですが、今はだいぶ改善されているなと感じています。他の施設もそうなってくれるといいなと。

野村🌠:上岡さんは「自分が(剪定)やります!」って言ってくれてたじゃない?私が勝浦に入ってすぐに、「全然フィールドに出ていない、フィールドの仕事やりたいんです」って自分から言ってくれて。実際にフィールドをやるようになって、色々見えてきたものがあったのかもしれないね。

上岡🌸:なので、私は働きづらさはあまりピンときていないですね。宿直や巡回の方が、怖さや不安など、労働環境が整っていない部分はまだあると感じています。

全員🌠🌸⛺🌊:宿直はいろいろ課題あるよね。(全員:うんうん。)

中島⛺:私たちは慣れてしまった部分があるけど、パート・アルバイトさんなど慣れていない人にとっては、虫が出てくるだけでも大きな不安となります。セキュリティ面も施設によってばらばらな印象で、もっと女性が安心して働ける環境があるといいなと。

野村🌠:本当にそう思う。シャワーやトイレなどの水回りの課題は大きくて、これは男性側からもあがっています。シャワー室がない施設もいまだにあって、夏場は考えられない。男女ともにこれは課題と感じているひとつです。
トイレも、一度外に出て行かなくてはいけなくて。パジャマやすっぴんになった状態で一度外に出て、お客様もいらっしゃるかもしれない真っ暗闇の中を行くのは、怖さや恥ずかしさも感じてしまいます。

中村🌊:私はしょうなんしか知らないのですが、しょうなんは室内に男女別のシャワーが完備されています。ベッドもあるし、今は特に不便は感じていないです。ただ、男性スタッフが多いので、ベッドに敷くシーツは持参しています。もちろん仲はいいのですが、そういうのは少し気になってしまいますね。

中島⛺:たしかに!宿直室のベッドシーツはもちろん定期的に洗ったりしているけど、やっぱりみんなが毎日使っているものなので、気になりますよね。常総では男性も女性も、寝袋をもってきてそれで寝るのが日常的になっています。替えのシーツだけでも各人に支給があれば、不快感がなくなるかもしれないですね。

野村🌠:以前、ホステル事業に携ったときにも宿直があったのですが、そのときも男女兼用のふとんとベッドで状況は同じ。でも、大きく違うのは、ホテルはリネンを扱っているので、シーツは毎回新しいものに替えられること。キャンプ場はリネンを扱っていないため、キャンプ事業に携るようになって、「ここポイントだ!」と実感しましたね。
宿直環境を整える中で、今回これをルール化しようかなと考えていますが、普段はなかなかここまで考えられないですよね。とりあえず寝られればいいかなとなってしまうし。

ーシャワーや、寝るところ以外にもなにかありますか?

上岡🌸:巡回の時とか。若い女性だと酔っぱらったお客様にからまれたり、うるさいと言われたりして、なめられがちだなって思います。年齢や性別で、かけられる言葉も違うんだろうなと。なので、そこは働きづらいというよりも、お客様にそうならないでほしいと願うしかないのですが……。
また、勝浦はイノシシなどの動物も出るので、そこも巡回のリスクになると感じます。働きづらさというよりも巡回の課題として、そのような危険にはどのように対処していくか。

野村🌠:他にも熊とか、猿とか。大きいものも出るので、実際に遭遇したら男性でも怖いと思います。あと、単純に暗いことも怖いとよく聞きますね。

中島⛺:私たちは慣れてしまってますよね(笑)。普段は真っ暗のなかを巡回したりするけど、世間一般の女性からしたら、暗闇を歩くのはなかなか怖いこと。

夜のサイトは真っ暗!

野村🌠:確かに、暗さへの慣れはありますね。また、巡回時の対応に付け加えると、一般のホテルでも酔ったお客様はいるので、からまれるという点は同じ。ただ、ホテルであれば、プライベート空間のお部屋に留まっていただくことができるのに対して、キャンプ場はプライベートが確保された空間ではないので、マナーが悪いお客様が1人いたら、他のお客様の迷惑になることもあります。
そのため、通常よりも厳しめに、何回も注意する必要があります。上岡さんも実際に、7回くらい注意したことも。注意する側も、精神的な重さを感じることがあるのかなと思います。

上岡🌸:私は巡回で注意することには慣れているので、苦ではないですね。ですが、宿直スタッフによっては(注意が甘く)うるさいのが気になったと口コミに書かれることがあります。これは男女問わず、雇用形態問わず、強く注意しにくい人はいると思います。また、うるささの感じ方も個人差がありますし。

ー中村さんはアルバイトから社員になりましたが、アルバイトでそこまでするの?って思ったりしました?

中村🌊:私も言えてしまう方なので、騒がれるお客様には注意していました。そこは、アルバイトだからという意識はなかったですね。
スマートチェックイン(※)で、消灯時間などしっかりお伝えするタイミングがなかったお客様には、あらかじめ消灯時間を早めに伝えるなど、巡回時に工夫もしていました。お酒が入る前にコミュニケーションが取れると、巡回時の対応もまた違ってくるのかなと思います。
(※スマートチェックインとは、web上で受付ができる機能。受付に立ち寄らずチェックインができる。)


Q2.挙げていただいた「働きづらさ」が、どうなるといいと思いますか?

上岡🌸:管理棟と宿直部屋が分かれてくれるといいなと思います。館山のヘルプに行ったときは、タイニーハウスに宿泊させてもらったのですが、タイニーハウスは管理棟(事務所)とは完全に独立した空間。事務所と宿直部屋が同じだと、すぐそばに金庫があったり、電話やPCがあったりするので、どうしても気になってしまいますが、事務所と分かれた場所で休めるのは、リラックスできるという点で全然違いました!

タイニーハウス

宿直って、昼に出勤して翌日まで働きます。拘束時間が実質長く、それも大きなストレスになっているのでは。そのようなときに、リラックスできる空間があるだけでも全然違います。宿直部屋から出なくてもすぐにシャワーができたりトイレに行けたりするだけでもいい。少しでも業務と切り離された場所があれば、心理的負荷は下がるのかなと思います。
また、管理棟と宿直部屋が同じだと、お客様から見えてしまうことなどもリラックスできない要因の1つなのかなと。小さいかもしれませんが、そのような点でも、管理棟と宿直部屋は分けた方がいいと思います。

野村🌠:わかる!すっぴんでパジャマ姿でお客様に見られると思うと不安だしドキドキする。

中島⛺:宿直部屋の環境改善は少しづつでも行っていけたら嬉しいですね。設備としては、トイレ・シャワー・洗面台・ドライヤーくらいは必須でほしいなぁ(笑)。

野村🌠:勝浦はそのあたりはあるんだけど、常総はないよね。

勝浦の大浴場とパウダールーム

中島⛺:そうです。宿直の時は事務所の中でベッドを開いて休みます。トイレは部屋の外にあるのですが、ベッドがあるとドアが開けづらかったり……。
シャワー室はまた全然違う場所にあるんです。シャワー室はお客様に近い場所で、利用するにはお客様のサイトを横切らないと行けないんです。遠いこと、また、使用音やボイラー音が聞こえてしまうと思うと、夏でも使うのを躊躇してしまうことも正直あります。

上岡🌸:シャワーが離れているのって、きついですね……。

野村🌠:私もヘルプに行ったとき、水回りがないトレーラーハウスで宿直だったことがあります。その時は、お客様も使うシャワーを利用するしかなく、お客様がたくさんいらっしゃる横を行かないといけなくて。まず、そこが恥ずかしいのがひとつ。
また、シャワーは使用可能時間が決まっていて、私は巡回後に利用するので使用可能時間外になってしまいます。時間外に使うことも、自分がマナー違反をしているような、キャンプ場の品質を下げてしまっているような感覚があって、とても戸惑いました。

全員🌠🌸⛺🌊:動線がストレス!

中村🌊:しょうなんはシャワーもトイレも男女別であるので、不便はないですね。強いて言えば、寝る場所が焚火くさいくらい。ただ、次の配属先のもみのきはどうなのか不安ですね。

中島⛺:入社時や異動時に、配置先の勤務環境情報が事前にわかるとありがたいですね。

野村🌠:施設毎の労働環境に大きな差が生じないように、今現在、全施設の宿直室基準を仮設定して開発部と調整しているところです。確かに、全施設の情報が事前にわかることは大事ですよね。

ー宿直関連で他に気になることはありますか?

野村🌠:シーツは会社で個人ごとに支給されるといいなと思います。そんなに費用がかかるものではないし、各自で洗濯をお願いするなどルール化も比較的しやすいかなと。

中島⛺:常総は現段階でトイレが男女兼用なので、日々のちょっとした作業や配慮でも、改善はできるのかなと思っています。
例えば、男性でも座ってしていただくとか、ふたの開け閉めなど、毎日掃除をするからこそ気になることも。お客様も使うトイレでもあるので、男女ともにストレスなく利用できる小さな配慮を、ルールとして明文化するのもありかなと思います。


Q3.「働きづらさ」が実際に改善されたら、どのような影響が出そうでしょうか?

中島⛺:もし管理棟と宿直部屋が分離されたら、しっかりと休むことができるので、業務にもいい影響があるのではと思います。睡眠の質が上がることで、生産性も上がるはず。今は、PCなどすぐに触れる状態なので、気になったら作業してしまったり。

上岡🌸:宿直明けって疲れますよね。これは現場スタッフみんな同じではないでしょうか。
時間があるから管理棟に居座って作業してしまったり、シャワー後の就寝前でも、事務所を通るがゆえについついPCを触ってしまったり。宿直部屋だと、いろいろなものが目に入って、今しなくてもいい業務などついしてしまいがちになります。場所が分離されたら、強制的に休めるので、業務にメリハリもついていいと思います。

勝浦の宿直部屋

中島⛺:宿直開けって、なんか気持ちがハイになってますよね。どこかでスイッチがきれる人もいるし(笑)。私も家に帰ったらすぐ寝ちゃいます。

野村🌠:自分の寝具じゃないと寝られない人も多いし、宿直は人によっては相当負荷がかかっているのかも。

中島⛺:私もはじめての宿直の日は、ドキドキしてよく眠れなかったのを覚えています。

野村🌠:そういう人は多いですよ。研修でも、宿直翌日に「よく眠れました?」と聞くと、あまり眠れなかったという人がほとんど。慣れるまでは仕方がないかな。

中村🌊:スマホも抱いたまま寝たり。安心感と、寝過ごさないために(笑)。

野村🌠:宿直は基本就寝していただくのですが、トラブルや緊急時には対応をしなければならない。意識すると気になって眠れないというのもわかる気がします。一方で「夜勤」として勤務するほどの仕事は発生しないので、宿直体制をとらざるを得ないことを考えると、宿直の扱いを見直すというのが必要かと感じています。

ー宿直は想像以上に課題がありそうですね。単純に人を増やせば改善できるのでしょうか?それ以外の要因も大きいのでしょうか?

上岡🌸:宿直(巡回)は、人を増やせば改善するような物理的な問題より、メンタル的な問題が大きいように思っています。でも少ないと、それはそれで大変な部分もありますけど。

上岡🌸:勝浦はフィールドが広いので、2~3人で巡回しないと(サイトを)回り切れないんですよね。そういう点で、スタッフが少ないと、精神的な不安と疲れを感じます。繁忙期は23時くらいまで歩き回ったこともありました。大変でしたが、それで鍛えられたなって思います(笑)。

中島⛺:常総は、昼の巡回は2人で、夜の巡回は1人で対応しています。

中村🌊:しょうなんは夜のパトロールは21時と22時、それぞれ1人で巡回しています。巡回自体は比較的平和ですよ。ただ、風の強い日などは火事や事故が起こるリスクが高くなるので、1人宿直のときは、そういった時の対応が自分一人でできるかと思うと不安な時もあります。

野村🌠:女性の宿直担当日として曜日指定してしまうなどは、改善の1つとしてあるかもしれませんね。キャンプ場は週末や連休中日以外は、基本的にお客様が少ない。少ないと暗さ・もの寂しさなどの怖さはありますが、トラブルの可能性は低くはなるので十分対応できるのではと思います。
ただ、女性ばかりが優遇されると、逆の問題も出てきます。メンタルが弱めな男性もいれば、強めの女性もいるので、性別だけの話ではないのかなとか。そうなると、宿直手当を手厚くするなど、できる人にプラスするという方法もあるかもしれない。いずれにしても、単純ではなく難しい問題として、改善の議論をしていかないといけないですね。


Q4.「働きづらさ」と改善案について、会社への期待値はどの程度ありますか?

上岡🌸:私は、会社は「声を聞いてくれる」と信じていて、改善のための意見はしっかり伝えてきたつもりです。勝浦では反映されてきていると思っています。それが、声をあげてきた施設だけではなく、全施設にも平等に広がっていくとさらにいいですよね。改善してくれる会社だと思っているので、今後も期待しています。

中島⛺:私も、今回の座談会をセットしていただいてる時点で、私たちの労働環境を気にしてくれているんだと実感しました。もちろん期待しているし、ぜひ実現してほしいと思います。

中村🌊:私も同じです。今度、新規開業施設のもみのき森林公園に異動するので、不安もありますが期待をしつつ向かいたいと思っています。今回の会話にあった改善案が、もみのきにも反映されるといいなと期待を込めて。

ー野村さんはマネージャーとして経営により近い立場ですが、会社の期待値としてどのようにとらえていますか?

野村🌠:私は自分の役割から、会社と一緒に「もっと改善していかなきゃ!」と思っています。現場にもいたので現場スタッフの気持ちもわかるし、とはいえ、現場スタッフに改善を任せっきりにしてはだめで、今の役割から「自分が改善しよう」と思っています。
また、変えていくには、関係者への共有や確認、協力、説明も必要で、一筋縄ではいかないことも多いと思います。出来ること、出来ないことを見極め、ハードルの低いところから進めていけたらと。できなかったとしても、その理由を関係者みんなで認識して、また次のタイミングにむけて動けたらいいのではないでしょうか。それが自分の役割だと思っています。


【編集後記】

女性の働きやすさに着目し、現場のリアルな意見をヒアリングした今回の座談会。実際に聞いてみると、性別を問わずみんなが思う「働きやすさ」への意見が多く見受けられました。
お客様を思うがために、RECAMPとしての品質を守るがために、自分たちを犠牲にしている部分があることに、同じRecampメンバーとしてハッとしました。現場のスタッフたちが生き生きと、自分たちの職場の満足度を上げていくことが、結果的に顧客満足度にもつながっていくのでは。
実際に今回の話をきっかけに、宿直部屋の在り方を改善する取り組みがスタートしています。こちらはまた追ってお伝えしていきますが、様々なスタッフの意見を吸い上げながら、「Recampって働きやすい職場だな!」と言ってもらえるような取り組みを、今後も推し進めていきたいなと思います。

取材・文:小野
取材日 :Feb.2024


R.projectグループでは一緒に働く方を募集しています!少しでもご興味をお持ちいただいた方は以下ページもご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?