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#152 【紙加工入門編】いろんな抜き加工について解説!

『紙について楽しく学ぶラジオ/Rethink Paper Project』
このラジオは、「紙の歴史やニュースなどを楽しく学んで、これからの紙の価値を考えていこう」という番組です。
この番組は、清水紙工(株)の清水聡がお送りします。
よろしくお願いします。


今回のテーマは、抜き加工

今回は、紙の加工の一つでもある「抜き加工」について解説していきたいと思います。

抜き加工は、箱を作ったり、封筒を作ったり、とにかく、「四角い紙を特殊な形に変えたいっす」ってときにやるやつです。

身近なもので言うと、段ボール。
これも、抜き加工なしでは作ることができません。
つまり、紙の加工において、抜き加工はとっても重要な加工と言えますね。

日本では、明治以降に急速に発展していきます。
西洋ではすでに産業革命が起こって、製紙、印刷などあらゆる製造工程の機械化が進んでいます。
当初は、機械による紙漉きの機械や技術が西洋諸国から入ってきたように、抜き加工の機械や技術も同じく西洋諸国から入ってきます。
この辺りの話は、「#148 産業革命期における紙漉きの機械化」それから「#149 日本における紙漉きの機械化」でお話ししてますので、よかったらこちらも併せてどうぞ。

さて、そんな「抜き加工」ですが、用途、紙質、作業性などの理由から、いろんな抜き加工が存在します。

今回は、いろんな抜き加工について、簡単に紹介していきたいと思います。
それでは、見ていきましょう!

平抜き

まず、抜き加工の王道といえば、「平抜き」です。

関東方面の方は「ビク」、関西方面の方は「トムソン」と聞くと、わかる方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
「ビク」と「トムソン」は、同じ「平抜き」の意味で使われていますが、なぜ地域によって呼び方が違うんでしょう。
明治中期以降、平抜きの機械が西欧諸国から入ってきますが、関東方面では、ドイツのシュナイダー社の「ビクトリア式」という活版印刷機を改良した機械が多く採用されました。
一方の関西方面では、アメリカのトムソンマシン社の機械が多く採用されました。
この名残で、今でも関東方面では「ビク」、関西方面では「トムソン」と呼ばれているんですね。
なんか、こういうの、良いですよね(笑)

他にも、「プラテン」とか違う呼び方もあるそうです。

構造は単純で、平型と面版の間に紙を通して打ち抜く、というやり方です。
この時に、最終形状にカットするだけじゃなくて、罫線を入れたり、ミシン目を入れたりすることもできます。

シリンダー式

続いてご紹介するのは、「シリンダー式」です。

これは、先ほどご紹介した平抜きの、面版がシリンダー(円筒形)になったバージョンです。
シリンダー式の機械で有名だったハイデルベルク社の社名を取って、「ハイデル」と呼ぶこともあるそうです。

ロータリー式

続いてご紹介するのは、「ロータリー式」です。

これは、先ほどご紹介したシリンダー式の抜き型も円筒形になったバージョンです。

ロータリー式の特徴は、なんと言っても早いこと。高速で加工が出来ちゃいます。
段ボールとかで使われることが多いです。

その他の抜き加工

最後に、その他の特殊な抜き加工をご紹介していきたいと思います。

まずは、「ブッシュ抜き」。
これは、ところてんを細く切り落とす時のアレと同じと思っていただいて結構です。
大量の紙を一気に型を通過させることで、同じ形に抜いていきます。
これまで紹介してきた抜き加工は、一枚一枚抜いていく加工でしたが、これは一気に数百枚も抜けちゃうので、大量生産に向いています。

続いて、「ポンス抜き」
これは、封筒の窓あけに多用される抜き加工です。
こちらもブッシュ抜きと同じく、複数枚の紙を一気に抜くことができます。
ただし、ブッシュ抜きが一気に数百枚できるのに対して、ポンス抜きは10〜20枚が限度なので、あまり大量生産には向いていません。

このように、抜き加工には、形状や紙の種類、ロットによっていろんなやり方があります。
今回ご紹介しきれなかったものもありますので、そちらは追々ご紹介できたらと思います。

これから、真四角じゃない紙を見つけたら、今回のお話を思い出してください。
紙の形状を見て、「この箱はきっとあの抜き方だな」とわかってきたら、あなたも抜きマスターです。

というわけで、今回は、いろんな抜き加工についてご紹介してきました。
いかがだったでしょうか。
それでは、本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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