vol.7_紙のメディアとしての価値を高めた印刷

こんにちは!"RETHINK PAPER PROJECT"のシミズサトシです。
本日もご覧いただき、ありがとうございます。

さて、前回は、製紙技術がイスラム世界からヨーロッパに渡ったというお話でした。

■文字の誕生〜製紙技術の伝播

前回までの話を簡単に振り返ります。

まず、紀元前3500年頃に、文字が誕生しました。
人類は、話し言葉の文化から、書き言葉の文化へと進歩しました。
情報を、記録して保存できるようになったことで、学問や思想の探索が、より深くできるようになりました。
それまでは、頭で記憶しておくことしかできませんでしたが、頭の外で情報を保存できて、いつでも見返すことが出来る。
これは、とても大きな変化でしたね。

そんな文字を何に書き写すのか。
ここから、人類は、数々の書写媒体を発明していきます。
自然物である石や葉っぱから始まり、粘土板、パピルス、羊皮紙などが使われていきました。
しかし、このいずれの書写媒体も、トータルコストで考えると、どこかが悪かったんです。
材料の入手コスト、製造コスト、書きやすさ、持ち運びやすさ、そして保存性。これらのトータルコストが、平均的に高い書写媒体を求めていました。

そして、中国で紙が発明されました。
最近まで、後漢時代の蔡倫という人が発明したとされていましたが、現在では否定されています。
彼は、製紙技術を改良した人だと言われています。
現在は、紀元前2世紀頃に中国の誰かが発明したのだろう、ということになています。

中国で発明された製紙技術は、その後、世界各国へ広まっていきました。
中国から、東南アジアや東アジアへ、そこからイスラム世界へ、そしてヨーロッパへ。
中国四大発明の一つである紙が、世界中の書写媒体のスタンダードになっていきました。

書写媒体として隆盛を極めた紙ですが、文字は、人間の手によって書き写されていました。
宗教の経典や聖書、学問書、哲学書、情報誌などが一般的になってくると、文字を書き写す作業が追い付かなくなってきます。
そうして、印刷技術の需要が高まってくるわけです。

■紙のメディアとしての価値を広げた印刷

次回、印刷の発明についてお話ししますが、印刷の発明で、社会は大きく変わっていきます。
なぜか?メディアとしての紙の価値が一変したんです。

メディアというと、皆さんは何を思い浮かべますか?
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの「マスメディア」。
近年では、Facebookをはじめとした「ソーシャルメディア」が、すごい勢いで普及しましたよね。

Wikipedia先生によると、「メディアとは、情報の記録、伝達、保管などに用いられる物や装置のことである。」とのことです。
ふむふむ。紙も「情報の記録、伝達、保管などに用いられる物や装置」ですから、ばっちり、メディアに分類されますね。

安価で大量に生産できる紙は、文字情報の記録、伝達、保管、つまり文字メディアにおけるトップランナー君臨しました。(今は、インターネットにその座を譲ろうとしていますが。)

先ほど、印刷技術がない時代は、人の手で文字を書き写していたと言いました。
これは、今の僕たちの感覚でもわかると思いますが、めちゃくちゃ時間がかかりますよね。
Word(デジタル媒体)ですら、コピペの機能がなかったら、嫌になると思います。
これが手書きとなると、文字の大きさやフォント、構成を考えながら、書き写さなくてはいけません。めちゃくちゃ大変です。
ちなみに、中国で598年~1905年の約1300年間にわたって行われた官僚登用試験である科挙は、法律・数学・兵法等の試験科目があるのですが、文字の綺麗さも重要な判断基準だったそうです。
科挙の答案用紙は、ネットで見れるので、よかったら見てみてください。マジで字うまいです。惚れます。
それくらい、昔は、文字を書き写すことが重要な役割だった、ということです。

そして、印刷技術が現れると、紙を使ったメディアが、威力を増します。

これは、単純に、より高速に、より多くの文字が書き写せるようになったからです。
よりスピーディーに、大量の書籍などを作ることが可能になったことで、時間的なコストと金額的なコストの両方が抑えられたのです。

このことで、より多くの大衆に、書籍などの紙メディアが渡っていくことになります。

■次回以降の導入

次回以降は、紙と印刷を交えた話をしていきたいと思います。

まずは、印刷の発明です。
以前、中国四大発明としてご紹介した通り、印刷は中国人が発明しました。
なぜ、中国で印刷が発明されたのか?ちゃんと理由があるんです。

そして、中国では印刷はそれほど広まらなかった。しかし、ヨーロッパで一気に花開く。ヨーロッパで、とんでもない勢いで印刷が普及していきます。
印刷が、中国で広まらず、ヨーロッパで広まったのにも、理由があります。

ちなみに、15世紀にヨーロッパで印刷技術が広まりますが、これは、中国から技術を取り入れたわけではないんです。
ヨーロッパ人が、自分たちで発明したんです。
つまり、中国の印刷発明のルーツと、ヨーロッパの印刷発明のルーツは、全く別物なんです。ここも面白いですよね。

印刷が花開いたヨーロッパでは、紙と印刷が融合したことによって、社会が大きく変わっていきます。
ダイナミックに変わります。激変します。
私たちの今の社会の基礎が、ここで出来たといっても、過言ではありません。

ここについては、事例を交えて紹介したいと思っています。

ご紹介する事例は、ルターの宗教改革
ルターが、紙と印刷を使って、大暴れします。そして、大炎上します。そして、社会が変わります。すごいです。

紙がメディアとして大きく機能した、宗教改革をご紹介します。

本日は、次回以降のイントロダクションみたいな回でした。

メディアとしての紙の価値が大きく飛躍していきます。次回以降もお楽しみに。

それでは、本日はこの辺で失礼いたします。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

ーーーーーーーーーー

「紙の価値を再定義する」をミッションに、現代の紙の価値を問い直す、RETHINK PAPER PROJECT!

noteの他、動画や音声でもお楽しみいただけます。

▼"YouTube"はこちら
https://www.youtube.com/channel/UCpcI8k-Bs7WneQqhbYf5Ibw

▼"Podcast"はこちら
https://podcasts.apple.com/us/podcast/rethink-paper-project/id1585898145

▼"Spotify"はこちら
https://open.spotify.com/show/0DFWKdqMC4qlCdj7M8CQpo

ーーーーーーーーーー

記事に興味を持っていただけましたら、「いいね」や「フォロー」をしていただけると嬉しいです!

#rethinkpaperproject    #紙 #歴史 #紙の歴史

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?