#4 音楽の力ってなんだろう

 4月から入所する大学の研究所から「力」というテーマで作文を出されたので、音楽の力について書いてみた。以下全文抜粋。

 私は勉強や作業をするときに決まって同じクラシックのプレイリストを再生する。それは私がそこに含まれる曲を聴きながら行動することに慣れているからであり、慣れているからこそ集中力が自然と高まりやすくなるからである。一方で実際にクラシックのコンサートを聞きに行くこともある。そこではその曲調によって頭の中で情景を思い浮かべ、余韻に浸ることがほとんどだ。このように音楽には人々を画一的にする作用と創造的にする作用がある。
 ある決まった曲でその行動の傾向が限定されるのは、画一性をもたらす音楽の力だ。冒頭に挙げた私の日常的な経験ではプラスに働いていると言えよう。またスポーツの国際試合の前に流れることの多い国歌や、あるいは軍歌も人々を奮い立たせるという点においてプラスの効果がある。しかし日々労働に勤しむ人々が日曜夕方に流れるサザエさんの曲で憂鬱な気分になったり、受験の時に聞いた独特な日吉キャンパスのチャイムの音を聞いて苦い思い出がよみがえったりと、音楽が同じ効果をもたらすことが時にマイナス面に働くこともある。
 創造性についてはどうだろうか。クラシックを聴いて情景を思い描くことや、音楽の中に含まれる歌詞に注目して様々な感情を喚起することは、プラスの創造性をもたらしている証左と言える。ただ一つの物事に集中したいときに曲調豊かな音楽を聴くと、集中がそがれてしまうことがある。それは音楽の持つ創造性を与える力によって、さまざまな思考や感情が生まれ、多方向に注意が分散してしまうことによるものだ。これはマイナスの創造性が影響していると言えよう。
 このように画一性と創造性という音楽の持つ効果においても正と負の両方の働きがある。しかし考えてみればそれらは「力」であるのだから、作用と反作用が同時に存在するのは至極当然のことだ。重要なのはその「力」を適切な方向に適切な手段で用いることなのである。


800字以内という制限があったため、あまり深い考察や正確な分析は行えていないが、割と自分が思っていたことが書けたのではないかと思う。ただ最後の一文だけは説教くさくなってしまっていて、あまり納得はできていない。ただ教授たちへのウケが良さそうだからこう書いただけなのだ。


余談。

自分はwebライターのバイトをしていてそこでも感じているが、決められた字数で自分の言いたいことを伝わるように書くというのはなんと難しいことなんだろうか、と改めて実感した。

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