花瓶がないから、ペットボトルに赤いバラを挿している

子ども苦手なんだよねっていう人が苦手だ。特に、同年代の人が言っているとお前も精神年齢小学生だろって言いたくなる。

だけど、最近気づいたことがある。

私もどうやら子どもと接するのが苦手みたいだ。
私の場合は、声がうるさいとか、行動が予測不能でめんどくさいとか、そういう理由ではない。子ども自体が苦手なのではなくて、子どもと接すると自分の未熟さを強く実感してしまうから情けなくてどうしようもない自己嫌悪に陥ってしまうのだ。
お前も精神年齢小学生だろって完全なブーメランすぎて頭が痛い。

少し前、愛犬を癌で失った。本当にいい子だった。

まだ歩けるうちに好きな場所へ連れて行ってあげようと思って、河原へ散歩に行った。
あの子はいつも河原へ行きたがったけど、遠かったから「今日は行かないよ」と言ってたしなめることが多かった。こんなに早くいなくなってしまうなら、もっとたくさん連れて行ってあげればよかった。
最期に河原へ行った日、小学生くらい姉弟が「わんちゃんかわいい」と言って駆け寄ってきた。私はそのとき軽度の鬱で、なるだけ知らない人と関わりたくないなあと微妙な顔で姉弟を眺めていた。
「触ってもいいですか」と姉が私に聞いて、私は微妙な顔のまま頷いた。
愛犬は私が指示したわけでもないのにおすわりして、いい子に頭を撫でられていた。弟の方は犬が苦手みたいで、怖い怖いと騒いでいたが、愛犬は静かにその子を見ていた。姉の方が愛犬のお腹に触れようとした時、愛犬はゆっくりと立ち上がって私の後ろに隠れた。
お腹は癌の手術をしたばかりだから、手を近づけるだけで吠えるのだ。私は本当に未熟で、姉弟にその説明をしてあげるのを忘れていた。だけど、愛犬は姉弟を怖がらせたくないから、吠えたいのを我慢したのだろう。
「触らせてくれてありがとうございました」と姉弟が頭を下げて、去っていった。私は精一杯の笑顔を作ったつもりだったけれど、どんな顔になっていたかはわからない。

ここにいる誰よりも私は未熟で、子どもだなあと思った。

私は母が19の時の子だ。当時の母の年齢を越した今、自分が母になれるかと聞かれたら、到底無理だ。年末調整だって、毎年なんとか済ませているのに。

あと3〜4年したら、同級生の結婚報告とか聞くことになるのだろうか。あと3〜4年で私は私を認められるようになるのだろうか。

身体だけが時の流れに乗っている。川上でくすぶっている心もやがて海に届くのだろうか。

そんなに急いでいなくならないでよ。置いていかないで。

毎日毎日、焦っているのに停滞している。

子どもと上手に関われる日は、まだ遠いようです。



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