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過去と未来②:シンジュとコンゴウ  その2

※ゲームソフト「Pokemon LEGENDS アルセウス」のネタバレ注意





(承前)




前稿において、ヒスイ地方のコンゴウ団・シンジュ団が、イッシュをはじめとした地方にみられる「過去・未来」という主題を含みうるのではないか、と指摘した。

これを補強しうる材料として、本稿では、そこで論じきれなかった点に触れたいと思う。



一、集落立地と湖


コンゴウ団・シンジュ団は、それぞれ本拠となる集落をもっている。

コンゴウ団は紅蓮の湿地に、

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シンジュ団は純白の凍土にある。

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両者に共通するのは、集落の近くに湖がある点。


則ち、コンゴウ集落はリッシ湖畔・シンジュ集落はエイチ湖の近くに位置するのである。


わざわざこのような配置にしたことには、少なからず意味がある事と思う。

 

その意味について、リッシ湖・エイチ湖に住むアグノム・ユクシーから読み解くことを試みる。



二、リッシ湖・アグノムとコンゴウ団

https://zukan.pokemon.co.jp/detail/482


アグノムは、いしのかみ=意思を司るポケモンとされる。(石ではない)

意思とは、自分の考えているこれからの事、つまり未来にこうしたい、これを成し遂げたいという心持をいう言葉である。


ここからゼクロムでいう理想が未来とつながるのと似た構図を見いだせる。

つまり、意志は理想と同じく、未来のベクトルと通じる概念なのである。


これは、コンゴウ団が未来的な思考をもつ集団であるという前稿の指摘とも合致する。コンゴウ団の集落がリッシ湖のほとりにあることは、両者がともに未来のベクトルを向くことを暗示しているのだ。




三、エイチ湖・ユクシーとシンジュ団


同じようなことがユクシー・シンジュ団にもいえる。

https://zukan.pokemon.co.jp/detail/480

ユクシーはちしきのかみ=知識を司るポケモンとされる。


知識とは、過去に起こった結果だったり、これまでの経験から得られるものである。


ここからレシラムでいう真実が過去とつながるのと似た構図を見いだせる。

つまり、知識は真実と同じく、過去のベクトルと通じる概念なのである。


これは、シンジュ団が過去思考をもつ集団であるという前稿の指摘とも合致する。シンジュ団の集落がエイチ湖のほとりにあることは、両者がともに過去のベクトルを向くことを暗示しているのだ。



四、結語

ここまでの行論をまとめる。



心を司るUMAのうち、ユクシー・アグノムの司る知識/意思は、

レシ・ゼクの真実/理想という対比、つまり過去/未来の二項対立の構図と一致する。それは、ユクシー・アグノムの住む湖畔に位置するシンジュ団・コンゴウ団が、同じく過去/未来の対比で理解しうることを暗示しているのではないか、と思うのである。


こうした関係性は、公式画の向きからも示唆されている。



aユクシー白

ユクシーは左向き、

アグノム黒

アグノムは右向きで描かれている。


シンオウのUMAは一見ただの三すくみに見えるが、実際はパケ伝説と同じような対比関係を内包しているのだ。


ちなみにエムリットは


中葉、感情、あかいくさり、おこるなかなしむなよろこぶことたのしむことあたりまえのせいかつ

正面を向いている。これはいったい何を意味するのか?


ここまでの本題からそれるが、エムリットをはじめ、こうしたシンオウ伝説の位置づけ、則ち「世界の成り立ち」について、次稿で触れておきたいと思う。



(続く)


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