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思考能力を吹き飛ばす為には①

現象に攻撃力があるならばお客さんには防御力(現象耐性)がある。今回はその防御力のシステム考察とそれを理解した上で、どう手順を作るべきかの試行錯誤の記録。長くなったのでシステム考察メインで手順の作り方はまた次回。

防御力(現象耐性)とは?

人間には思考能力がある、が、それを働かせるにはある程度の余裕が必要だ。歩道を歩いてる時にいきなり車が高速で突っ込んできたらほとんどの人は何も考えられなくなる。『ビックリして頭が真っ白になる』というように、人間は驚いている時には思考能力が止まる習性がある。(思考能力が極端に下がるという表現の方が正確だろう)そして、当たり前だが、思考が止まったままの人間というのもいない、必ず止まった状態から戻ってくる。突っ込んできた車が間一髪自分の目の前を通り過ぎて電柱に激突したのを見て、そこでやっと自分があと一歩前に出ていたらなどと考え、恐怖したりそうならなかった事に安心したりする。この驚いて思考が止まった状態から思考能力を回せる状態に戻る力が防御力(現象耐性)である。

1枚のコインを消した時「消えた!」という人と「逆の手でしょ?」という人がいる。マジシャンとしては前者を目指すべきだが、それはいかにリテンションで残像を残すかではなく、お客さんの防御力を見極め思考能力が働かない状況を作る事によって達成される目標だと理解しなければいけない。(別にスライト練習が要らないわけじゃないけど効率はかなり悪いよねって話)

現象耐性はお客さんによって違うが、実際に演じてみた体感としての高さは30〜50歳>20代以下、男性>女性という傾向があるように感じた。(あくまで個人の意見)

要因は色々考えられるが論理的思考力の高さと問題発生時の解決経験値が主なものと考えている。(今回は本題とそれるので要因考察はまたいつか)

手順を作る上で知っておくべき防御力の性質

この辺の理論は催眠術をやっているとかなり近しい、というより催眠では基本となる部類のものなのだが。防御力は突破されればされるほど下がる。逆に越えられなかった場合は上がる傾向にある。正確には防御力自体が下がるわけではないのだが、何度も防御力を越えられるとその事に慣れる。そうすると、マジシャンのタネは見破れない、考えるだけ無駄だと、思考能力が回せる状態に戻ってきていても思考能力を働かせてタネの推測をしようとしなくなる。(この状態を僕や店長は空気を掴むと表現している)

思考するというのは人間には疲れる事である。答えのわからない問題に何度も挑戦し続けるなんて、楽しみもなければ疲れるような事は誰もしたくない。みなさんも「タネなんて気にせず純粋にマジックを楽しんで欲しい」と言うマジシャンを見たことがあるだろう、それは案外難しいことではなく、目標に掲げるまでもない最低達成ラインでさえあるというのが防御力の性質を理解すればわかるだろう。

逆に手が届きそう、考えたらわかりそうと思えば急にモチベーションが湧いてくるのも人間だ。なんなら見破れてしまうとその快感を覚え、考えたらわかるものだ、頑張ってタネを見破ろう。となってしまう。そうなれば悪循環、もし自分の次に演じるマジシャンがいたとすればそのマジシャンにまでお客さんの状態が引き継がれる。(僕と店長はこの状態を場の空気が整っていないと表現している)だからこそマジシャンはタネを見破られてはならないし種明かしもしてはならない、考えればわかるものだと言う認識をお客さんに与えてはならない。

以上のような防御力というものを考慮した上で、どのように手順を作るべきなのか、というのを来週の記事で公開予定。モチベに繋がるから僕の記事を拡散してくれい('ω')


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