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丸山真一というマジシャンを考える

お久しぶりです、ろいです。
今回は丸山真一氏の対一般相手におけるマジックを観る機会があったので、僭越ながらどういう部分が優れているのだろうかというぼくなりの考えを文字にしてみようと思います。簡単に言えば感想です。

本文内は敬称略してますが敬意はばりばりにあります。

ほんとです。

………ほんとにありますっ!!

ろいがマジックをはじめたきっかけ


既に知ってる方もいるかもですが本題の前にろいというマジシャンがマジックを始めるきっかけとなった出来事のお話を1つ……

当時高3だったぼくは塾から帰り、家族が寝た後1人リビングで夜食を食べながらぼーっとテレビを眺めるのが日課でした。その日もなんとなく疲れた頭でテレビを見ていたところ【Asian Ace】というマジック番組が始まった。番組の内容は5対5で日本と中国のマジシャンが対決する、というもの、最初は(お、なんか面白そうなのはじまったな…)くらいで見ていたが、終わる頃にはすっかり魔法に魅了された純粋な少年が出来上がっていた。今思えば不思議なのだがその時のぼくは丸山真一にハマったのである。冷静に考えれば、でかい声で「チェスト!!」「イエスアイメイドイット!!」「トライアンゴォ!!」と叫ぶ奇人なのだが、おそらく受験勉強の疲れのせいで脳が麻痺していたのだろう、かっこいいと思ってしまったのである。かくして大学に入り、マジックサークルに入り、「ちぇすと!」と叫びながら4Aを出す1年生が生まれたのだ(黒歴史)

丸山真一の真似が良かったかどうかは置いておき、ぼくのマジックは丸山真一への憧れからはじまった事は確かな事実である。

丸山真一の手順

文字で完璧に書き起こす事はできないが、伝わる人には伝わる程度で書くとパーフェクトトライアンフ→4Aプロダクション(うるさいやつ)→カードインザボックス→クラシックフォース5〜6回→18歳の君へ、というのが大まかな流れである。途中ちょこちょこと違う手順や場当たり的なカード当てを入れるが、ベースはこの手順でその他は本人の気分か空気感を読んでネタを選んでいるのであろうと思われる。

前半部分のカードインザボックスまではテレビでも良く目にした手順なので皆さんも頭に思い浮かべやすいのではないだろうか?この辺りはテレビの丸山真一がそのままリアルで見れるので丸山ファンとしてはなかなか嬉しいものがある。
逆に後半部分はテレビの丸山真一とはまったく真逆の事をしているため、意外の一言に尽きる。
そしておそらくだが、『18歳の君へ』はこの記事を読んでいる殆どの人がなんだそれは?状態だと思うので軽く説明すると、メンタルフォースとセルフワーキングをメインにしたカード当てといったところだ。

意外な事に丸山真一の手順の内40%ほどはメンタルフォースが入る。
ダニのイメージも強い7枚目フォースのようなものを結構やる、クラシックフォースもそうだが日本人があまり好んで取り入れない100%の成功率とは言えない系のものを後半になるほど増やしていくのだ。

お客さんからの評価

この手順を見ているお客さんのリアクションから丸山真一がどういうマジシャンだと思われているのか?という部分を考えてみた。ちなみに演じているのは7組くらいしかみていないので絶対とは言えないが…

まず序盤のテレビでもよく目にする手順、カードインザボックスまでは、物理的な現象かつ派手なタッチやパフォーマンスでとにかくウケる。おそらくここまではぼくでも丸山真一の60%くらいのクオリティで真似する事はできるだろうという所。この時のお客さんからよく出るリアクションは「凄い」系である、不思議さはもちろん感じているが丸山真一というマジシャンが【指先のテクニックを駆使して現象を起こしているマジシャン】であるという認識を持ち、その技術に対する賞賛が多いと感じた。そして中盤辺りからクラシックフォースの連続当てが入る、ご存知の通りクラシックフォースに関しては指先の技術も必要だが、演者の空気感をコントロールする技術や客の思考をコントロールする技術の方が重要視されてくる。
が、ここでの丸山真一の評価は指先のテクニックが凄い人で「ひかされた!何かわからないがすごい技で!」と考える客と、俗に言うメンタリスト的な人で「なんか誘導されたんだ!わからないけど言葉とかで!」と考える客が8:2くらいでわかれる。まだ丸山真一がどんな系統の技術を使っているのか?を考えている人が大半だった。
そして最終パートの【18歳の君へ】に向けほぼメンタルフォースによるカード当てになり、スライトの比率が減っていくと、「これはもうマジックじゃない、新しい何かだ」とまで言い出すお客さんが現れ、大半の客が丸山真一がなにをしてその現象を起こしているのか?を考える事を諦めた。

これはぼくの推測だが、序盤にスライト力によるイメージを強く付けて【指先のテクニックがすごいマジシャンだ】という印象を作るとそこから【このマジックは指先の技術ではなくメンタル的なものだ】という修正がなかなか効かない、その場合に起こるのはセルフワーキングとメンタルフォースによるスライト臭のしなさ(実際にほぼ使ってないので当たり前である)を、客には感じることもできないほど高度な指先の技術、という評価か、もう何かわからないがとにかく丸山が凄い、という考える事を諦めたざっくりとした評価になる。面白いのが後者の方が多い事と、心理誘導をされた!などと考えるのではなく、理由はわからないが、という状態になる事である。

序盤にテクニックを見せつけ客に実力を認めさせる事でメンタルフォース系統の成功率を上げ、メンタルフォースを指先のテクニックかも?と考えさせる事で、100%では無いからこそできる不思議な現象を、100%成功させる高い技術があると思い込ませる。

文字にすると理にかなっているように見えるが、実際のところ1つでも失敗するとボタンのかけ違いのように全てがうまくいかなくなるリスクを負った手順とも言えるだろう。
特に終盤になればなるほど真似をしたところで成功するだろうか?しても丸山真一の20%のクオリティもだせるだろうか?と思わせられる手順だった。

もちろん氏はプロであるから、成功率を上げるための細かいアイデアや計算、失敗した時のマルチルート等本人にしかわからない努力があるのだろうが、側から見ると、よくこんな事やるなぁ…の連続である。(それが本来のプロのあるべき姿なのかもしれない)

丸山真一のパフォーマンス力

言うまでもなく高い事はわかっている、が、ではどのような点が他の平均的なマジシャンと比べて優れているのか?を考えてみた。

丸山真一ってどんな所が凄いマジシャンなの?とマジシャンに聞かれたならぼくはこう答えるだろう【オンとオフの緩急が絶妙にうまいマジシャンだ】

オンオフについては遥か昔にノートに書き起こした気がするのでそちらの記事を読んでくれ。

1例をあげるなら、ここまでちょこちょこ丸山真一はうるさい、と書いているが(何も馬鹿にしているわけでは無い)とにかく声量が大きいイメージが皆さんもあると思う。
ところが演技を見ていると声量が小さく、なんなら聞こえないくらいで、その声を聞くために客が黙って聞く事に集中している場面が結構ある。そして集中力を高めたところで現象を起こし派手な身振りと大きな声で盛り上げる、果てにはハイタッチまで交わして客のテンションと注意をコントロールしたその一瞬の隙に次のセットアップをする、など基本的な部分をとにかくしっかり自分のキャラクターに落とし込んでやっている。豪快で大味に見えて実は基礎を磨き込んでいるのはやり続けてきた経験から身についたものなのか、計算し尽くされた結果なのか……(おそらく後者ではあるが丸山さんなら何も考えずに感覚でやってそうと思わせられる所が丸山真一の強いところかもしれない)

【オーラとは実際に身体から出るものではなく、本人の自信や態度、また周りの人がその人を見る時の視線などから感じられるものだ。】という言葉を昔ある漫画で読んだが、そういう意味では丸山真一はオーラがある。ひょっとしたら日本人の中で最も自分に自信を持っているのは丸山真一かもしれない、と思わせるほどの実績や経験からくる自信と態度、そこを認めさせるパフォーマンス。もし丸山真一のマジックを生で見る機会があったなら、強烈なオーラから作られるオンに注目しがちだが、そこではなくオンから生まれるオフをどんなふうに使っているのか?を見てみてほしい。きっと何かしら得るものはあると思う。

本人談、マジックのルーツ

「丸山さんのマジックってスペイン系とかなんか色々ぐちゃぐちゃに入ってますよね?何参考にしてるのかよくわからないんですけど」と聞いたところ

「俺のマジックはスペインとフランスのやつをアメリカ風の演出で形にしたものだ」

というありがたいお言葉をいただきました。

スペイン系の雰囲気芸でフォースしたりするのは日本だと国民性的に難しいものがあるなと思っているのはぼくだけじゃ無いはず。
それに対する答えの一つとして圧と勢いで成立させる所を見た気がした。(個人的にあのパフォーマンスはアメリカなのだろうか?アメリカ人みんなあれほど圧強くねぇよなとおm……)

丸山真一を自分のパフォーマンスに活かすには?

当たり前だがこの記事を読んで明日から大声で現象を起こすときに「GO!!!」と叫ぶのはやめていただきたい。(できれば大学1年の時にこの記事を読みたかった)
そんな事をしても丸山真一の劣化コピーになるどころか、でかい声を出す奇人という評価が生まれるだけである。
重要なのは何故それをしても丸山真一は許されるのか?
なんのためにそれをしているのか?
を考える事である。
元々はスライト推しというキャラクターから始まった人が叫ぶという肉付けで手に入れたかったもの、そして時を経てスライトとは真逆であるメンタルを取り入れた理由、を考え、自分ならどうすべきか?を試すところから始めてみてほしい。

残念な事に今のぼくはプロマジシャンどころかただのニートなので検証の機会は読者の皆さんに譲る事にする。

ぼくなら手始めにメンタルをやってからスライト推しの手順をやってみて客のリアクションを考察する、あたりの丸山さんの逆から始めてみるだろう。面白い結果が出た時は是非ご報告を。

少し長くなったが、丸山真一のマジックを見たろいの感想でした。

面白いと思ってもらえたり、ちょっとでも役に立ったと思ってもらえたら嬉しい。

いつになるかはわからないが他のマジシャンの感想も書いてみたいと思っているのでぼくのモチベのためにRTやファボなどなんらかのリアクションをください。喜びます。

次の記事でまたお会いしましょう。


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