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現象の攻撃力を上げる3つの方法

現象にはそれぞれ攻撃力(インパクト)がある。1枚のコインが消えるのと空中で紙のバラが燃えて本物になる、どちらが高いかは言うまでもない。が、同じ現象でもその攻撃力を上げる方法がある。今回は沢山あるその手法の中で、ぼくがバーで学び試した結果、最も実用的と思える3つを記録する。

①不可能性を上げる

マジシャンにわかりやすく言えばバーグラスエフェクト。エニエニをやるときにマークと数字をコールされてからマジシャンがデックをワンカットし現象が起こるのと、一切触れずに現象が起こるの、どちらが度肝を抜かれるかという話。

実際そこまで難しい事ではなく、例えばコインを消す時に『袖をまくってやる』、『客の近くで現象を起こす』など簡単に出来ることは沢山ある。1つ1つの効力は小さくとも積み重なれば目に見えた変化が出る。

その現象の不可能性を上げる為に、その現象はどんなものか?何が不思議なのだろうか?と細かいところまで考えることで、現象やマジックに対する理解、思考力を高めることができ、マジシャンとしての技量を上げることにも繋がる。

②予想外を使う

消えるんだろうな、と思っているコインが消えるのと、消えると思っていないコインが消えるのでは後者の方が驚かれる。ではその予想外を起こす方法とは?今回はたくさんある中で大半のマジックで使える汎用性の高い方法を紹介する。

現象を起こすタイミングをずらす

よくある例だと1枚のコインを「よかったら怪しいところがないか調べてみてください」と言って渡す時に消す。マジックバーなどでよく見る光景だが、実際このタイミングで消えると思っていないので普通に消すよりかなり驚かれる。

これを他のマジックで使う簡単な方法としてはマジカルジェスチャーをせずに現象を起こす。またはマジカルジェスチャーと同時に現象を起こす。という理解でひとまず大丈夫だろう。

マジカルジェスチャーはマジシャンがこのタイミングで何かをしましたよ、というアピールでもあるのでこれを無しor同時に現象を起こすと、お客さんはマジシャンが何かをしたという認識する前に現象を起こせる事になる。

③アドリブ感を出す

マジシャンが1枚の500円玉を出してきて消すのと、お客さんが「これでなんかやってよ」と言って渡してきた500円玉を消す。やってる事は同じ500円玉を消すという現象でも後者の方が圧倒的に驚かれる。一般的にお客さんの中にはマジックはタネと仕掛け(準備)があるから出来るし可能なものである。という共通認識があるようで、基本的に無茶振り(アドリブ対応)は準備がないためできると思っていない、からこそ出来た時に驚かれる。

ここで重要なのはアドリブではなくアドリブ感である。実際にお客さんのその場その場の要望に応えるのは難しい、が、元々の手順であろうともお客さんがアドリブだと思えば効力は同じである。そこでうちの店長がよく使う大体のマジックに取り入れられる万能のセリフを紹介。

「これ、この後どうなると思います?」

「あ、じゃあそうしてみましょうか!」

店長はブランクのサインカードをブランクカードにカラチェンする時にこのセリフを使っているが、質問を投げかけた後に大体のお客さんは「消える」「サインが取れる」と答える。ある程度お客さんが次に起こる現象が予測のつく状態でこの質問を投げかけ、その答えが来たら、あたかも言われたからやった感を出す。ずるいが賢い方法だ。ちなみに「増える」など違う答えを言われた時は「残念!今回は……」と言って普通に現象を起こす。特に損はないのでやり得。

今回書いた3つは特別な技術ではない、ある程度マジックをしていれば当たり前にやっていたり無意識に使っていたりするものだと思う。初心者やこれからマジックを人に見せるという人が、最初に取り入れやすい効果の高いもの、という部分を優先して書いた。が、それ故に細かい部分まで書ききれていない所、厳密に言えば間違っている所、その他諸々の例外がある。それについてはまた補足や第2弾などの形でnoteを書こうと思っております。

とりあえずまだよくわかってないけどこれらの方法を取り入れてみようという方は1回の手順の中でそれぞれ1つだけにしてください。15分のマジックの間に何度も何度も「この後どうなると思います?」「じゃあそうしましょうか!」なんて聞かれたらウザい事この上ないし、毎回毎回突然現象を起こされると常に集中してないといけなくなって疲れる。現象の攻撃力が高いと喜ばしいのは最初、中盤、最後の3箇所あればひとまず充分。とりあえずはその3箇所ブースターだと思って試してください。

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