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世界大会日本代表になったニート

今回はいつもの上から目線な評価やレクチャー系統の記事ではなく、ろいというマジシャンの自分語り。

4回……これがなんの回数かわかりますか?

2020年12月31日にホームグラウンドであるマジックバー、マジックツリーが閉店してから約1年3ヶ月の間にぼくがマジックをした回数である………

完全にニートです、はい。

コロナ禍を言い訳に仕事を一切せず貯金を食い潰しながら毎日ゲームをして過ごす27歳男性(独身)、それがろいというマジシャンの実態だ。

ぼくのTwitterをみていた方の中には極端にツイートが減った事に気づいていた方もいました。
「ろいさん、最近ツイッターみないですけど大丈夫ですか?体調崩したりとかしました?」とか「誰それとの人間関係が気まずくなったの?」とか心配のメッセージを頂いたりもしました。

呟くことがなかっただけなんです、だってニートだから……ッ

というか正直に告白するともうマジシャン辞めても良いかもな、なんてレベルまで拗らせていた、そんな2022年2月中旬、ぼくの元に【FISMアジアはコロナだからビデオ審査するよ、10日以内に演技映像と審査料振り込めよ】という連絡が届いた。

正直コロナだしもう開催されないだろうと思ってすっかり忘れていたが、ありがたい事にぼくは世界大会アジア予選日本代表の枠を頂いている身分でした。ニートなのに……
そして世界大会FISMのアジア予選がなんと史上初のビデオ審査でおこなわれるという連絡。
家から出たくないニートとしてのぼくは大喜び。
アジアのトップである他のマジシャンのマジックを見れないマジシャンとしてのぼくは悲しみ。
大体その比率9:1くらい、うん、帰ってこいマジシャンのぼく。

そんなこんなで家から出なくて良いのなら、と過去の韓国でやった英語verのアクト映像をポチッっとした。

それからしばらくして、いつも通り12時に目を覚ました朝(ぼくの中では3時までは朝)、眠い頭でラインをチェックすると「Fism本線出場おめでとう!」のメッセージ……驚く事にたった2週間ほどでFismの事などすっかり忘れていたぼくは友人からのメッセージで予選通過した事を知った。

その後一応運営からのメールでマイクロ部門から通過した3組の中に自分の名前を確認。(ビデオ審査のため順位は付けませんとの事)

世界大会アジア予選日本代表から世界大会日本代表に昇格した。ニートなのに……

これでぼくもアジアトップ3のマジシャン、かっこよく言えばアジアランカーに名を連ねたわけだ。
自分の人生においてかつてこれほどまでに過去の栄光だけでのし上がった事はない。
有名無実を辞書で引いたら【ろい】と出てもおかしくないくらい。

そんなぼくをよそにTwitterでは他のFism挑戦者たちの悲喜交々な報告ツイートが溢れていた、でもみんなぼくと違って、本気でやって、本気でぶつかって、本気で喜んで、本気で悲しんでいた。

誰一人としてニートはいなかった。


たった1人のマヌケを除いて(そりゃそうだ)

気付けばこの1年3ヶ月、やったことといえばオーバーウォッチというFPSゲームでマスターランクに到達しただけ、今は最上位ランクのグランドマスターへの挑戦中……

そんなぼくが呟いたツイートがこちら

よくもまぁ、こんなことが言えたもんですね……環境少年ろいた・とぅーんべりの誕生である。

日本代表の姿に恥じないどころか日本の恥と言われてもなんの文句も言えない……。

気付いたら通ってたわ!なんて言える空気感でもなく、当たり障りの無い事と一応事実である過去にFISMに憧れていた事を添えてそれっぽい文章を作り上げた。

が、しかし、どうだろう?

アジアの他にも出たかったであろうマジシャン達を押し除け、FISM本戦出場の枠はぼくの手の中に落ちた。という事実、に相反して。

1年以上現場どころかマジックから離れ(物理的にも気持ち的にも)、実力などもはや全盛期の30%にも満たない現状。

恐ろしい事に日本どころかアジアを代表するという重苦しい責任がこのニートの双肩にかかっているのである。

もし仮に責任に物理的な重さがあったのならぼくの両腕はちぎれ飛んでいたであろう。

この世界大会がマジックではなくニートの世界大会だったならなぁ。

親の脛かじり具合?食いちぎらん勢いでいっております。

そんなこと言ったって何かが変わるわけでもない、ぼくにできる事は残り4ヶ月という時間の中で錆びついた腕を重曹につけて職人よろしくせっせと磨くしかないのだ。

というわけで1年3ヶ月というニート期間は突如終わりを告げた、ニートを更生させるのは優しい言葉でも、温かい人間関係でもない、世界大会日本代表という重責だ。
親類にニートがいる方は是非ともそいつを世界大会日本代表に担ぎ上げてみて欲しい。更生するかもしれない。

かくしてぼくはとりあえず近場のラウンジにお願いしてマジックをさせていただく事になった。

当然色んなことが上手くいくはずもなく毎回自分の無能っぷりを直視させられる毎日だ。

悪戦苦闘、四苦八苦しながらも反省と試行錯誤を繰り返してなんとかもがいている今のかっこ悪いぼくを、これからノートで書き記していこうと思う。

最後にぼくからみんなに伝えたい事は1つ

ニートにはなるな、後で苦労するぞ。

そんな事、賢い読者諸君なら言われなくてもわかっている事であろう…。




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