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ノンデザイナーがデザインを勉強する価値

ROXX Creative Studio(横断的デザイン組織)にてマネージャーをしている竹下です。
今回は、ROXX社内で定期開催していた「ノンデザイナー向けデザイン勉強会」について振り返ります。報告と備忘録を兼ねて、全体についてまとめようと思います。(個別の勉強会についてはニーズがあれば書きます!)

なぜ勉強会?

社内でデザインのこと、デザイナーのことをもっと知ってもらう必要があると感じたからです。
もう少し具体的に言うと、デザインの役割やプロセスを理解してもらうことで、デザイナーとノンデザイナーのやり取りがよりスムーズになり、効率や生産性を上げられるという期待があったからです。

依頼の種類が、ほとんど“作ってほしい”

ROXX Creative Studio(以下RCS)への依頼はslackの専用チャンネルのワークフローにて「依頼種別」を選択してもらう方式です。
依頼種別は「作って欲しい/ 相談したい/ 教えて欲しい」の3種類ですが、基本的には90%以上「作って欲しい」という依頼でした。
それ自体は問題ではないですが…、
依頼内容として「作ってほしい」以外から入ってもらった方が良いものがあるのも事実です。

依頼用専用チャンネルのワークフロー

ソリューション(作る)から始めてしまうことの問題

例えば、善意で(時間や手間を短縮する意図で)ワイヤーまで書いてくれたLPの仕様書があったとしても、課題に対して適切なアプローチでない場合には

「なぜそうしたか→何のために必要なのか→課題は何?」

という感じで、根本まで遡る必要が出てきます。
そうすると、前提が変わったりして構成の変更が入るので、ワイヤーを書き直す必要が出てきます。やり取りや手戻りのコストを踏まえると、「課題は何?」から聞いた方が早いのです。
そもそも、ソリューションまでのプロセスを考えることがデザインの役割でもありますし。。

勉強会だけで解決する話ではないが

「いきなりソリューションから入って行かない」という課題解決の最適解が勉強会か?というと、「間違いないです」とは言い切れないです。
が、少なくとも「“作る”の周辺も含めてデザインである」という認識の醸成に一定の寄与をするのではないかという希望と、何かした方が良いだろうというふんわりとした意思決定があったのも事実ではあります。
とはいえ、勉強会だけでなんとかなるものでもないので、依頼プロセスの改善や全社発表の機会を含めて複合的に取り組むことが前提でした。

で、目標は…

端的に言うと、必要以上のやり取りを減らす。ということです。
上記で書いた通り、「相談する」から入ってもらうことのメリットを理解してもらう。その前提知識としてのデザインの役割やプロセスを勉強していくというのが基本的なスタンスです。
そこで、依頼チャンネルの「相談したい」の数が増えることを指標としました。
さらに、ノンデザイナーの方が受けやすいものにしたかったので、堅苦しいものではなくカジュアルかつ楽しいものを目指すことにしました。(お勉強っぽくしない)

  • 目的にこだわりすぎず、デザインを身近に感じてもらう

  • 抽象度の高いものから具体的な話まで盛り込む

というのが明文化はされてないものの、チーム内でのコンセンサスです。


何を、どんな感じでやったか

まずは、タイトルです。
気取りすぎても、堅すぎてもイメージと違う…と、色々案出しをした結果

ROXX CREATIVE Meeting

に決まりました。
次に頻度です。たくさんやるのは負荷が高いので、半年間で月に一回を持ち回りで行うことにしました。計6講座(1講座/月)。担当するのが3人なので、順番に2回ずつです。
A→B→C→A→B→C

プロセス

基本的には以下のプロセスを6回行うイメージです。

  1. テーマ決め(これが一番大変)

  2. たたきの作成

    • テーマ決めの段階でここも決まってることが多い

  3. チーム内でフィードバック(すごく助かる)

  4. ブラッシュアップ

  5. 開催告知

    • slack、ROXX LIVEにて告知

    • 参加希望はslackで意思表示

  6. 当日(お腹痛い)

  7. 振り返り

    • アンケート回収

    • 反省会

    • 次回テーマ

実際の勉強会のテーマ

  1. デザインの失敗

  2. 相手に伝わる資料作成のコツ

  3. 人の目を惹くコピーを考えよう

  4. デザインの鍛え方

  5. 人を集めるクリエイティブ会議

  6. デザインを依頼する前の基礎知識

ROXX CREATIVE Meeting(デザイン勉強会)全6回のカバー画像


やった結果、どうだったか

定量的な結果

ポジティブな結果として“相談”の数はやや増えました。
体感ではあるものの、勉強会実施前後で2倍くらいにはなりました。

前:1回/20回 → 後:1回/10回

アンケートの結果も概ね良好でした。

全6回のアンケート集計結果(5に近いほど満足度が高い)

平均値が4.63(大変満足〜満足の間)、
70%以上が大変満足、95%以上が満足という結果でした。

定性的な結果

あっという間の1時間でした!発表する時は「資料作成が大切!」と思っていましたが、「伝わること」には複数の要素があるという学びが大きな気づきでした。

「#2相手に伝わる資料作成のコツ」のアンケート結果より

お勉強的でなく、CMなど実際のコピーなどがたくさんあったので、イメージつきやすかったです。

「#3人の目を惹くコピーを考えよう」のアンケート結果より

など、とても好意的な意見が多かったですし、ある程度狙い通りの感想を得られました。

一方で、以下のような課題も浮き彫りになりました。

  • 参加者の固定化

  • 想定した対象者の不参加

リピーターが多いこと自体は好ましいですが、新規参加が少ないのが物足りないところです。(増えすぎても難易度が上がるので匙加減は難しい…)
また、実際に業務でデザインの依頼をする人の参加が、想定より少なかったことは課題と言えます。要因としては

  • 時間が合わない

  • 必要だという認識がない

などが考えられますが、決定的な対応策は見出せませんでした。
これに関しては、勉強会という手段ではなく直接対話することが必要そうだという見解に至っております。

結局

知ってほしいことと知りたいことは違う(こともある)

アンケート結果を見ていくと、全体的には満足しているものの、要望として「実践的なTIPSを知りたい」など端的なソリューションを求める傾向があることがわかります。
例えば、「#2相手に伝わる資料作成のコツ」は参加人数も多く評価も高かったです。
もちろん、内容自体が秀逸だったことも要因として大きいのですが、具体的なアウトプットイメージ(=何ができるようになるのか)のあるタイトルは興味を持ちやすいということが見て取れます。
業務にすぐ取り入れたい。という動機はポジティブですし、サポートしたいという気持ちもある一方、その前に知って欲しいことがあるというのも正直なところです。

ノンデザイナーがデザインを勉強する価値とは

効果的な配色や整ったレイアウトを知っていること以上に、依頼時に重要なのは適切な条件を伝えることです。
特に、制約である納期や予算及び方法(共催イベントかどうかなど)、課題・目的・目標などを明確に説明してもらうことが大事です。さらに、フォーマット(印刷かスクリーンか、印刷ならサイズと印刷会社指定の条件や入稿方法などあるかどうか)といった少し込み入った話も必要です。

こういった知識を全部持って抜け漏れなく詳細に伝えてほしい!
なんていうことが言いたいわけではなく、むしろ全て身につけるのは大変だよね?(デザイナーって色々考えてる)ということを理解してもらうだけで良いのです。
つまり、要件が複雑だったり難易度が高そうだと感じた場合には、「相談したい」から入ってきてほしい…という話に尽きるわけです。

ノンデザイナーがデザインを勉強する価値は、「デザイナーがどんなことを考えてデザインしているのか(その一部でも)理解すること」くらいに捉えていただけると幸いです。

最後に

参加いただいた方々、ありがとうございました。

そして、特にメンバーには大感謝です。
時間が限られている中での準備は大変でしたが、意図を伝えつつ満足感の高いものにするというなかなかのハードルを割とさらっと越えてくれました(自分の方が手こずってました…)。
一番の収穫は、この取り組みの中でデザイナー同士の連携や協働といったことを強化できたことです。BANDらしくなったなと。
個人的にはなんやかんややってるのは楽しかったですし。

そういえば、依頼プロセス自体の改善も必要でした。
やるって言ってやれてないので、やります(追って報告)


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