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紀伊半島の長距離路線バス

私は高校時代に路線バスで通学していましたが、片道45分ほどの道のりもかなり長く感じられるものでした。時にはうたた寝をして、学校の最寄りを通り過ぎてしまうことも…。

しかし旅先で乗るバスとなると話は別です。時には窓の外の景色をぼんやり眺めながら、どっぷりと自分の世界に入り込みたくなるもの。

そんなわがままな旅人の願いを叶えてくれるバス路線が、紀伊半島にはたくさんあります。

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① 奈良交通 八木新宮線 特急バス

奈良県の近鉄大和八木駅と和歌山県の新宮駅を約6時間半かけて結ぶバスです。全長166.9kmと、高速道路を使わない路線バスとしては 日本一の走行距離を誇ります。

運行する奈良交通も「日本一のバス」として積極的にPR中。webサイト内に特設ページがあるほか、企画乗車券も発売されています。

沿線には世界遺産の熊野古道や川湯温泉、谷瀬(たにぜ)の吊り橋といった魅力的な観光地が多数。旅情そそられます。


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(途中の五條バスセンター)

※ 図中の十津川線(五條~十津川間の区間便)は2020年9月末をもって廃止されることになりました。


② R169ゆうゆうバス 南部地域連携コミュニティバス

図中緑色で書かれているのは「R169ゆうゆうバス」。

奈良交通バスの廃止に伴い、2015年に沿線の2町3村(大淀町、吉野町、川上村、上北山村、下北山村)が協力して運行を始めました。川上村は高齢化率60%超、上北山村、下北山村も50%超と深刻な人口減少に悩まされている地域です。

片道の運賃が最大3200円となっていますが、沿線自治体によってさまざまな利用促進策がとられています。

例えば大淀町内の区間を利用する際は、「大淀町特別乗車券」を利用することで運賃が100円になります。ゆうゆうバス利用の際にはぜひ各市町村ホームページをご確認ください。


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③三重交通 松阪熊野線(熊野古道ライン)

先ほどの奈良交通の八木新宮線に次ぎ、本州で2番目の長さを誇る路線バスです。2~5位は北海道のバスがランクインしているので、国内では第6位になります。


路線の開通は2018年と最近。こちらの乗車記は三重交通の公式webサイトからもリンクがあり、路線の様子がわかりやすく伝わってくるのでおすすめです。


④ 三重交通 飯南波瀬線、⑤ 三重交通 御座線

「紀伊半島」とするには何とも微妙な位置ですが、松阪熊野線の陰に隠れながらもかなりの長距離を走る路線。ちなみに江戸時代には、飯高郡や度会(わたらい)郡も紀州藩領だったそうです。

⑤ 三重交通 御座線 が通る 御座港には、近鉄電車の終点賢島(かしこじま)駅から、あご湾定期船でアクセスすることも可能。志摩の多島海を楽しみたい方におすすめです。


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⑥ 明光バス 快速熊野古道号

南紀白浜空港、紀伊田辺駅から紀伊半島を横断し、新宮駅へ向かう路線です。2004年ユネスコ世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」へのアクセス手段にもなっています。車両は基本的に観光バスタイプのものが利用されます。


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こちらは同じ明光バスの白浜町内路線。パンダがいるアドベンチャーワールドや白良浜、三段壁といった観光地が集中する近畿地方屈指の観光地になっています。大阪からは特急で約2時間、東京・羽田からは飛行機で75分ほどです。


⑦ 龍神バス 龍神線

和歌山県南部を走る龍神バスの代表路線。

龍神温泉は群馬県の川中温泉、島根県の湯の川温泉とともに「日本三大美人湯」として知られる名湯です。

静かな山間で渓流に沿って並ぶ旅館。肌あたりの柔らかなお湯につかってゆっくりしたいものです。


⑧ 龍神バス、南海りんかんバス 聖地巡礼バス

2台のバスを乗り継ぎ、高野山から熊野本宮大社まで4時間かけて結ぶルートになります。

乗継地点の護摩壇山は、源平合戦に敗れげ落ち延びた平維盛が護摩木を焚いてその命運を占ったとされる伝説の山。周辺にはブナやミズナラの原生林が広がっています。


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⑨ 大十バス 高野マリンライナー

南海和歌山港駅から高野山奥の院へ向かう路線。海南駅~登山口(紀美野町)間は、平成6年に廃止になった野上電気鉄道の廃線跡に重なります。

和歌山港を8:10に出発する便は、徳島港を5:35に出発する南海フェリーに接続。そこまでしてこのバスに乗ってくる方はいらっしゃるのでしょうか、気になります。


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写真は和歌山マリーナシティ内のポルトヨーロッパ。


⑨ 有田鉄道バス 藤並-花園線 ⑩ 有田鉄道バス 美山線 

どちらも有田鉄道というバス会社が運行している路線。かつては藤並~金屋口間で鉄道を運行していましたが廃止されました。鉄道と名の付くバス会社は全国にあります。

有田鉄道バスが運行エリアには過疎地域が多いため、基本的にはマイクロバスが走っています。

⑨ 有田鉄道バス 美山線 は山奥にある 川原河 という小さな集落から、途中高速道路を経由して和歌山市まで向かう路線です。川原河では御坊駅行きの 熊野御坊南海バス日高川線 や 龍神方面の住民バス(住民以外も利用可)に接続できます。


⑩ 有田鉄道バス 藤並-花園線 の終点花園からも、かつらぎ町コミュニティバス新城・花園線でJR和歌山線笠田(かせだ)駅に抜けることができます。


ぜひいろいろなバスをうまく組み合わせながら、紀伊半島の旅をお楽しみください。




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