マガジンのカバー画像

徒然

14
気に入った俳句、短歌、一言を集めてぼちぼち呟きます。
運営しているクリエイター

#短歌

【明日は君だち来ます天気善くよろしき歌のできる日であれ 子規】友達が自宅に訪れてくれるのを待ち遠しく想っている感じがよく出ている。どのようなことをして、もてなそうか。何について話そうか。家に閉じこもり詩作に耽り日を過ごす子規には、唯一世の中と繋がりを持てる大切な時間だったのだ。

關本ジンイチ
4か月前
5

【ともし火のもとに長ぶみ書き居れば鶯鳴きぬ夜や明けぬらん 子規】ランプの灯で長文の手紙を書いていたのであるが、いつの間にか朝が来て鶯も泣いていた。病を押してまで夜を徹し、誰に向けての手紙だったのだろうか。いや、重い病の身であるからこそ、伝えなければならないことが山積していたのか。

關本ジンイチ
4か月前
4

【朝がほの 今咲きぬべき花の上に おぼつかなくも 残る月かな 一葉】ふと思い立って、一葉の旧宅付近まで散歩することがある。旧宅は現在も人が住んでいらっしゃる民家でもある。故にか、以前は史跡としての案内板もあったが撤去されている。咲きかけの朝顔を照らす月光を思い浮かべて帰途に就く。

關本ジンイチ
10か月前
7

【水汲みに往き来の袖の打ち触れて散り始めたる山吹の花 子規】0507 
花瓶を持って、水を取り替えに流しまで持って行ったのであるが、その往復の間に着物の袖が瓶口にかかり、せっかくの花が散ってしまった。病床から良かれと思ってしたことなのに、望まないことが起きてしまったという無念か。

4

【もののけの出るてふ家に人住みて笑ふ声する春の夜の雨 子規】明治30年、30歳の作なので、既に病状は重くなっているはず。それでも、自分の住居をお化け屋敷にたとえて笑う無邪気さ、もしくは皮肉っぽさが見える気がする。実際に訪れて子規が自分の家をどれほど気に入って住んでいたのか分かる。

3

【ゆふさりてランプともせばひと時は心静まりて何もせず居り】齋藤茂吉 日が暮れたなと思ってランプを点けたら、わずかな間ではあるが穏やかな心持ちで独りを味わえたということ。あらゆる出来事に翻弄された一日から解放された喜びか。仕事を終え電車に乗って家に帰り、部屋の電気を点けた時の平穏。

3