アナログバイリンガル【#ショートショートnote杯】
ミルちゃんは古臭いよねって陰で言われてるのは知ってる。
私の毎日を彩るのは、ひいおばあちゃんが使っていた鞄や、スカーフ。古い着物や帯をほどいて作ってくれたスカート、ワンピース・・・そうだ、定期入れも素敵。ハンカチはスワトウ。満州にいた頃のものなんだって。
身に着けたらもう私は、令和のモガ。
「ミルちゃん。次、音楽だよー」
早く音楽室行こ、って、唯一のともだち、民子ちゃん。私、民子ちゃんのしわしわネームも大好き!
「待ってけらんせ、すぐ準備するんてがに」
「えー、何?ミルちゃん、また新しい言葉覚えたの?」
大笑いしてる民子ちゃんに、んだす、ってペコリとお辞儀した。
ひいおばあちゃんの話す可愛い言葉は、私を遠くへ連れて行ってくれる。時代も、街も、国も超えて。新しい何かを感じて、心は自由に包まれる。最初は何言ってるか全然わかんなかったけど。
私の複雑な思いも、その言葉で言い換えられたら、どこかへ飛び立ってゆく。
知らない、どこかへ。
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