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LOVE IS [NOT] DEAD.

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千葉市にある某BARのマスターをモデルにした小説です。よって実在の人物や場所などとは多少関係あるかもしれません。 【追記】 2019/09/03完結しました!
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2019年6月の記事一覧

おやじパンクス、恋をする。#156

 何か、よく分かんねえ気持ちが沸き上がって、思わずその手を取った。 「コラ、離せ」  彼…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#157

 彼女はそう言って駅の方に歩き出した。  俺は近くのガードレールに腰掛けて、彼女の背中が…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#158

 そう、俺はまだ雄大のことが本当は気になっていた。  奴が俺を、大切な「姉さん」の相手と…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#159

 ぼんやりしてるとなんか沈んでくるんで、俺は早々に店に入ると、いつもよりも丁寧に掃除をし…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#160

 だから実際、俺の方も、たとえば一人客が三人くらい来て、それぞれに面識がねえケースなんか…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#161

 要するに俺は、皆が集まってくれるこの店で、ぬくぬく過ごしてた。そういう事なんだろうなと…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#162

 皆が、出たとこ勝負のコミュニケーションを重ね、傷ついたり失敗したりしながら少しずつ手に入れていく自己肯定感を、俺は攻撃されてもダメージを受けないこの69というステージの中で、あくびしながら貯めこんで、いっぱいになったからってその辺に投げ捨てていた。  そして、彼女という新しい場所へ一歩踏み出した途端、69や、69で俺を訪ねてくれるたくさんの客達から一歩離れた途端、俺はまるで全身火ぶくれの患者みたいに、ただ吹いてるだけの穏やかな風にすら痛みを感じうずくまっている。  情け

おやじパンクス、恋をする。#163

 もともと俺は根暗系のガキで、クラスメイトともあんまりうまくいかなくて、それで悶々として…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#164

 例の「祝勝会」は、なかなか開催されなかった。  明日か明後日、みたいな話だったが、言い…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#165

 だけどそういう状態も、二日三日、そして一週間あたり過ぎた頃には、随分と曖昧なものになっ…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#166

 彼女との初デートから十日近く経った頃、午後三時過ぎのいつもの時間にiPhoneが鳴った。画面…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#167

 彼女に会いたくてたまらなかった。  電話で話してたら、会いたいって言葉が勝手に出てしま…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#168

「はあ? なんで」 「なんでだろうな、俺にもよく分かんねえけど、彼女、梶パパの調子が悪い…

rou kodama
5年前
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おやじパンクス、恋をする。#169

 微かに開いたレースカーテンの向こうに、既に懐かしく感じるあのレストランがある。  俺と彼女は、乱れた服装をなおそうともせず、ただぼんやりその景色を眺めてた。 「あ、おばちゃん」  こないだのおばちゃん店員が、シェフだろうか、太った男とつまらなそうに話しているのが見えた。そろそろ夕飯時、客が来始める時間だ。 「マカロニグラタン、あったと思ったけどな」  俺の独り事を、彼女は心地よく流して、その柔らかくていい匂いのする身体を寄せてくる。  できればこのまま、何時間で