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オンラインレッスンを少しでもいい環境で受ける方法

始めに

この記事は、コロナウイルスの感染拡大に伴って増えているオンラインレッスンについて、レッスンをする側も受ける側も少しでもいい環境にするためにはどうするかについて考えるものです。この記事が何かしらの助けになれば幸いです。環境といっても防音などに関してではなく、主に機材や音に関してです。

今までの日記的な記事とは全く毛並みが違いますが、これは今までのものとは切り離して書きます。明日からは元の感じに戻ります。

前提

ここで紹介するやり方は、DTMが趣味でDAWなどの知識がある人を対象にしていません。ただ、パソコンを持っていることは前提としています。なのでスマホでレッスンを受けようと思っている方は対象外です。つまり、家にパソコンはあるがオンラインレッスンを受けようにも機材も何もわからない人向けです。これは個人的な意見ですが、外出自粛はまだまだ続きそうなので道具に投資するのは悪くない選択肢だと思います。

また、極力マイクとオーディオインターフェースも買いましょう。パソコン付属のマイクにレッスンの使用に耐えられるレベルのものは少ないと思います。というかここからの情報はいいマイクとO/Iがあればそんなに必要がないと言っても過言ではありません。


私の場合

では本編です。

一週間くらい前、私のアメリカの先生から

「もしいいマイクがあるなら、スカイプかFaceTimeでオンラインレッスンやってるよ〜。最善の方法ではないけど、この時期だし助けにはなると思う」

というお言葉をいただき、早速サウンドハウスを覗きました。前職で多少DAWを触った経験もあり、全くゼロから始めるというわけでもありませんでした。DAWについては後で説明します。

きちんとした説明は検索すればいくらでも出てきますが一応ざっくり解説しておくと、マイクの信号をパソコンで扱える信号に変換するものがオーディオインターフェースと言われるものです。長いので以後O/Iと記載します。ほとんどのマイクはXLR、通称キャノンと言われる3ピンのコネクタで接続します。マイクの信号はアナログの電気信号なので、変換する必要があるわけです。USBで直接パソコンに挿せるものもあるらしいので、それを探してみてもいいかもしれません。結構ピンキリみたいですが、音質の良いものもあるらしいです。

とはいえ、やはり選択肢としては普通のキャノンが挿せるタイプの方が多いので、とりあえずマイクとO/Iを買って音質が気に入らなければマイクだけ替えるやり方がおすすめです。柔軟性が高いということです。

では私が買った物についてですが、べリンガーという格安音響メーカーのO/Iにサウンドハウスプロデュースのクラシックプロのマイクがセットになったものです。

キャノンケーブルやマイクスタンドまでついてこの価格はやばい。とりあえず始めるならお勧めできます。O/Iで音が変わるとも言いますし、投資すべきと言われればそうなのでしょうが、自粛期間中にとりあえずオンラインレッスンを受けたいということであれば問題はないでしょう。その後DTMに目覚めたら買い換えればいいだけです。

もっと拘りたければ、マイクをせめてSHUREのSM58にしてみるとか、コンデンサータイプのもう少しいいものを買い足すという手もあります。先に投資するならマイクが先かな、というのが私見です。この辺を解説し出すとキリがないので割愛しますが、私が紹介したO/Iはファンタムもついているので基本的に問題ありません。

ただ、このO/Iはキャノンが一本しか挿せません。レッスンを一人で受けることを想定しているので問題ないと思いますが、ピアニストで高音の弦と低音の弦で2本マイクを立てたいなどの場合は注意が必要です。

また、スマホなどに挿す所謂イヤホンジャックは挿せません。なのでイヤホンしか持っていない場合は音声の出力をパソコン本体にするか、変換プラグを買う必要があります。

イヤホン

これがよくあるイヤホンジャック、ステレオミニ。大体のO/Iには挿さらないことが多い気がする。

フォン

TRSフォン、通称フォン。少なくともべリンガーのO/Iにはこれしか挿さらないので、ステレオミニ→TRSフォン変換端子を買うか、ついでにヘッドフォンも買うか、設定を変えるかのいずれかになります(ヘッドフォンの端子はTRSフォン端子のことが多いが、ステレオミニの場合もあるので注意)。

マイク、O/I、ケーブル類、スタンドを揃えたらようやくスタートラインです。ここからがそもそも私が解説しようとしていたところです。


DAWをインストールしよう

ここからはもう少し詳しい解説になります。飽きたらまた明日続きを読むでも大丈夫です。まだ自粛期間は長そうなので、気長にいきましょう。

ここまでの解説だけでも想定の倍くらいの分量になってますが、ここからはより良い音でレッスンを受ける環境を整えましょうという話です。

マイクとO/Iがあれば、あとはスカイプとかzoomとかをインストールすればレッスンは受けられます。音声の設定ができるので、おそらくパソコンのマイクなどになっている音声入力の設定をO/Iに変えるだけです。音量調整を自動にしてしまうと不具合が起こりそうなので、オフにして個別に設定した方がいいと思います。O/Iでも設定できますし、ソフト側でも設定できます。大きすぎて音が割れたり、小さすぎて聞こえないことがないように先に調整した方がいろいろスムーズです。

ただ、このやり方は普通の会議なら十分すぎるほどの音質だと思いますが、楽器のレッスンとなると話は別です。自分のスマホなどで試せばわかりますが、自分が出している音とマイクを通した音は別物です。しかも私の場合、マイクとO/Iで6000円という超安物なので尚更です。

そこで使いたいのがイコライザーです。簡単に解説すると、マイクから来た音の信号の任意の周波数帯を増幅したり減衰させるもので、簡単に言ってしまえば音色を変化させることができます。

私はイコライザー単品のソフトってあまり見たことがありません。そもそも私はLogic Proを持っていたので、どうにかその音をSkypeなどに送ることができれば音質も多少よくできそうだと考えたわけです。

多くの場合、イコライザーをパソコン上でかける場合はDAWを使うのが普通です。DAWというのは打ち込みの音楽を作るときや録音を編集するときに使うもので、有名どころだとPro Tools やLogic Pro X、Cubaseなどがあります。今回は詳しくは触れません。とにかく「DAW 無料」などで検索して一つインストールしてください。

MacユーザーならGarageBand一択です。充分すぎるほどの性能があります。Windowsユーザーなら、Studio One Primeなどが候補でしょうか。ソフトの音質もいいと評判です。今は全く関係ありませんが。

また、SteinbergというメーカーのO/Iを買うと、Cubaseの廉価版がついてくることもあります。トータルの値段は上がりますが、少なくともベリンガーのものよりは多分音質も上なはずで、日本トップシェアのDAWも手に入るならいい選択肢かもしれません。検索したときの情報量はCubase>Logic Pro>Studio Oneです(多分)。使い勝手などはここでは無視します。曲を作るわけではないので。

イコライザーを使ってみよう

マイクを買うところから始めてなんだか凄いところまできたような感じもありますが大丈夫です。もう少しで終わります。

まず、ソフトの設定のところに音声の入出力があると思いますので、入力をO/Iにしましょう。その後、ソフトによって違いがあるので一概にはいえませんが録音ができる状態にしてみてください。

Logic Pro(おそらくGarageBandも)は左上の+ボタンを押すと

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こういう画面が出るのでわかりやすいですね。録音開始ボタンを押すと波形が表示されるDAWがほとんどです。Logic Proの場合、録音中の自分の音が聞こえない場合は入力モニタリングというところを押してオレンジにすれば聞こえます。

イコライザーにも様々なタイプがあるのですが、使い方自体はそれぞれのソフトを調べれば出てきます。試しに何か演奏して、自分の録音にイコライザーをかけるのも使い方を覚える近道です。

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私の場合、音がペラペラに感じたので低音寄りを少し足しています。大体チューニングのA=440Hzなので、そのオクターブ下(220Hzあたり)を持ち上げるとちょっといい感じになりました。ここはそれぞれの楽器ごとに異なると思うので割愛します。色々といじって音の変化を聞いてみるのも面白いと思います。

可能なら、録音してイコライザーをかけた音と実際の音を他の人に聞いてもらうのが一番です。どう鳴っているかは奏者にはわからないので、客観的に聴ける人がいればより生音に近い音でレッスンが受けられます。

本題

さて、ここからが本題です。
DAWにマイクの音を録音できてイコライザーをかけられても、そもそも私たちはオンラインレッスンを受けるための準備をしていました(覚えてました?)。

つまり、DAW上で鳴っている、イコライザーをかけて音色の補正をした音をSkypeなりFaceTimeなりに送って、相手も聴けるようにしたいわけです。しかしDAWの音声出力を直接FaceTimeやSkypeに送ることは出来ません。そこで使うのが仮想オーディオデバイスです。

イメージとしては、パソコン上の仮想のデバイスに一旦音を出し、そこを経由してSkypeに送るのです。

仮想オーディオデバイスで検索すればいっぱい出てきます。YAMAHAが出しているものもありますが、Catalinaにはおそらく非対応でした。なので私はBlackHoleというものを使っています。

以下のものは結構有名どころっぽいですが、ダウンロード後の不具合は自己責任でお願いします。NETDUETTOはヤマハが出しているものです。

これ↓は少なくとも私のMac(Catalina 10.15.4)では使えてます。

インストール後、DAWの出力のところに仮想オーディオデバイスが追加されているはずです。もしなければ対応していない可能性があります。他のものを試しましょう。

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これはLogic Proの画面。出力デバイスがBlackHoleになっている。今はO/Iを外しているので入力はシステム設定になっているが、ここで入力も変更できる。


そうしたら、後はSkypeやFaceTimeの音声設定で、今インストールしたものを選べばおしまいです。

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これはSkypeのもの。BlackHoleが選べるようになっている。

イメージとしては、

マイク → O/I → DAW(イコライザー) → 仮想オーディオデバイス → Skype, FaceTime

という流れで音を出します。一から始めるとややこしい部分もあると思いますが、試しながらやると案外そこまで難しいことはありません。やってみる価値はあります。しかも今の時代調べればやり方はいっぱい出てきます。しかも時間もある。これはやる以外の選択肢はないでしょう。

ちなみにですが、この設定だと相手には自分の音だけではなく自分のパソコンのシステム音、例えば通知の音などもなってしまう可能性があるので注意しましょう。

終わりに

せっかくDAWを通しているので、自分の音と先生の音を分けて録音できないかと思っているのですが、今のところ難しいらしく出来ていません。何か方法があればまた紹介したいと思っています。

家にいる時間が長い時期です。練習ももちろんですが、こういった世界に触れることもスキルアップにつながるかもしれません。

おうちで楽しく、色々試しながら、みんなでコロナを乗り切りましょう。
それではまた!


5月16日追記
たくさんの方に読んでいただけて嬉しいです!
まだ一本ですが、YouTubeにサックスの多重録音を上げてます。
これからどんどん上げますので、是非チャンネルもチェックしてみてください!

質問もお待ちしています! それでは!

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