サックスの奏法とインターネット

玉石混淆

皆さんに趣味はありますか?私には趣味ではなく本業としてサックスがあります。ここ最近は外出自粛の影響もあったりなかったりで特に人前で演奏する機会というものはめっきり減ってしまいましたが、その分家でゆったりと練習する時間が取れています。

さて、楽器にしろなんにしろ、分からないことがあったら大体皆さんネットで検索すると思うんですよ。私も練習している中で、他の人がどうしているかを参考にするためにインターネットで調べる機会がありました。そうした経験から音楽、特に楽器の奏法に悩んだ時にインターネットとどう付き合うべきかだんだんわかってきたことがあるので、今日はその話をしたいと思います。

まず、元も子もない話ですが、インターネットにある情報の中で具体的なデータ以外のものはほとんどが当てになりません。例えば、日本の人口や面積は調べれば国が出している公式の情報が手に入るはずです。もちろんそれさえもソースが怪しいものはあると思いますが、こちらが気をつければ正しい情報は手に入りやすいはずです。といっても楽器をやる上でこうした情報って、楽器屋さんが空いているかとか消耗品の価格を調べたりとか、知りたいことの中では割合が小さいものが多いです。

逆に個人の体験や実感、推測に基づく情報は基本的に疑ってかかるべきです。残念な事に、本当に知りたいことはほとんどこっち側にあります。例えばサックスなら、アンブシュアをどうしたらいいか、音色を良くするにはどうすればいいか、練習方法は?どの楽器、マウスピース、リードを選べばいいか?といったように切実で重要な問題の回答はこのカテゴリーに含まれます。

さらに難しい事に、インターネットで情報を探すときは自分の中で問題点がはっきりしていないと答えに辿り着けない可能性が高まります。楽器を吹く時頬が膨らむのは問題ないか?という疑問には答えているサイトが見つかります(ただしそのサイトがその人にとって正しい可能性は極めて低い)が、私のアンブシュアはこれで問題ないかな?と思ってもそれに答えてくれるサイトはおそらくありません。

それを理解した上で検索しましょう。そこまで理解していれば道から逸れることはそこまでないと思います。とはいえ、インターネットの情報はどうしても信頼性に欠けます。有名奏者のホームページに書いてあることが間違いということはおそらくないでしょう。しかし、それがあなたへの回答である可能性はほぼありません。

その理由は簡単です。あなたが使っているリードが柔らかすぎるのか硬すぎるのか、マウスピースを噛みすぎているのか緩みすぎているのかが分からないので、中庸の物を使いましょうとか噛みすぎないようにしましょうとしか言えないからです。それは仕方がないことです。タダでその情報が手に入るだけでありがたいとおもうしかありません。個人的な事に関してはレッスンを受けるしかないという事です。

今はコロナの感染拡大もあっていろんなプロがオンラインレッスンを行なっています。実際に生の音を聞く事以上のレッスンはないのではないと思っていますが、いい刺激にはなるかもしれません。オンラインレッスンの事についてはこちらも合わせてご覧ください。

じゃあどうするか?

インターネットの情報はあまり当てにならない。オンラインでもオフラインでもレッスンを受けられる状態にはない。そんな時は経験上、いくつかの方法があります。

一つ目は、とにかく全て試す事です。サックスはいろんなジャンルで使われているので、いろんな視点から奏法のことが書かれています。とにかく試しましょう。大体は役に立たないかもしれませんが、色々と試すことそのものが上達するきっかけになってくれることもあります。ただし、逆に混乱して訳がわからなくなる危険性も大きいので、迷子にならないように気をつけましょう。クラシックや吹奏楽をやっている人がファットリップを試すのはいいことですが、それをそのまま適用しようとするのはいい考えとは言えません。

二つ目は、多数決をとることです。結局どんな練習がいいのか、どんなアンブシュアがいいのかといった事に関して、いくつかサイトを回ってどの方法が多く出てきたかを調べる方法です。突飛なアイディアが載っているサイトも確かにありますし、それが助けになるひともいるかもしれません。しかし、最初はやはり一般的な方法を試すのが一番です。たくさんの人が採用するのにはやはり理由があります。プロのセッティングを見ても、みんなバラバラというよりいくつかの傾向があることがわかります。その上で自分に合うかを試した方が時間的にも金銭的にもロスが少なくなります。

まとめ

今回は、楽器の奏法とインターネットの関係や使い方について書きました。これを書いたきっかけは、最近自分がサックスの奏法についてちょっと調べた時にあまりにもたくさんの情報が出てきた上に、それぞれのクオリティに大きなばらつきがあることを知ったからでした。一つ一つは決して無駄とか有害とかいうことは決してないのですが、初心者や学生が自分に必要な情報をその中から掴み取るのは簡単なことではありません。なので今回は私が奏法について書くというより、どうすれば自分で上手くなれるかに焦点を絞りました。私が使っている奏法やセッティングについてはまた別の記事で紹介したいと思います。

それでは!

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